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①医療法(第8条)上の「診療所開設」の届出と、②健康保険法(第65条)上の「保険医療機関指定」申請――手続きが必要です(自由診療のみを行う場合は「保険医療機関指定」は不要)。手続き(届出)には順序があります。診療所開設届(所在地管轄の保健所・保健センター)を提出し、受付印を押した診療所開設届と保険医療機関指定申請を近畿厚生局(大阪市中央区)へ届出します。
診療所の移転や継承も原則的に手続きは変わりません。新規開業にかかわる以下の書類の他、前院の「廃止届」などを追加することになります。
③その他、所得税法による個人事業の開廃業等の届出書、所得税の青色申告承認申請書の届出が必要です。
医療法第8条では「臨床研修修了医師、歯科医師又は助産師が診療所又は助産所を開設したときは、開設後10日以内に、診療所又は助産所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない」とあります。つまり、保険医療機関指定申請との関連で、何月から保険診療がしたいのかを確認のうえ、その前月の1日から10日までに開設届などを提出する必要があります。
1 用紙と提出先
用紙は所在地管轄の保健所・保健センターまたはホームページからもダウンロードできます。用紙は基本的に大阪府下統一の様式ですが、政令指定都市や中核市で様式が若干異なります。ただし、大阪市は形式が独自ですのでご注意ください。
2 提出書類と部数(3部)
1.診療所開設届出書(図1・2)関係
2部提出(正本と副本)。別に1部写しを作成し、写しに保健所・保健センターで受付印をもらいます。この写しは近畿厚生局へ提出します。
①「診療所開設届出書」
②歯科医師免許証の写し(原本持参、提出時に照合)
③臨床研修修了登録証の写しまたは再教育研修修了登録証の写し(原本持参)
④履歴書(図3)
⑤敷地平面図
⑥周囲の見取図
⑦建物(診療室内部)の平面図
⑧診療用エックス線装置備付届
2.その他の届出(公費負担医療関係)
①「被爆者一般疾病医療機関指定申請書」(提出は保健所または保健センター)
②「生活保護医療機関指定申請書」(提出は福祉事務所または子ども家庭センターまたは保健センター)
※「介護保険」は、健康保険法による保険医療機関の指定があったときは介護保険法による居宅療養管理指導の指定があったものとみなされます(届出は不要)。
健康保険法第65条では、保険医療機関または保険薬局の指定は「政令の定めるところにより、病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により行う」とあり、診療所開設者の申請にもとづき厚生労働大臣が「保険医療機関」に「指定」します。「指定」を受けてはじめて保険診療を行うことができます。
1 用紙と提出先
用紙は近畿厚生局またはホームページからもダウンロードできます。提出先は、近畿厚生局指導監査課審査グループ。
2 提出書類と部数(1部)
①「保険医療機関指定申請書」(図4)と保険医登録証(提示用)
②「診療所開設届出書」(保健所・保健センター受付印のあるもの)
③歯科医師免許証の写し
④履歴書(勤務医を含む)
⑤敷地平面図
⑥周囲(付近)の見取図
⑦建物(診療室内部)の平面図
⑧賃貸借契約書(テナント)または不動産売買契約書(本人所有)の写し
⑨施設基準等各種届出
・基本診療料関係:歯科点数表の初診料の注1、歯科外来診療環境体制加算
・特掲診療料関係:クラウン・ブリッジ維持管理料、CAD/CAM冠、レーザー機器加算、歯科訪問診療の注13――ほか
⑩専ら往診・在宅訪問診療を行う診療所における指定申請書添付書類(在宅医療のみを実施する保険医療機関の指定申請)
⑪近畿厚生局における指定申請に係る連絡票・指定希望日記載票
⑫社会保険及び労働保険への加入状況にかかる確認票
1 税務署への届出
通常は事業主として開業後1カ月以内に、以下のような届出が必要になります。
①個人事業の開廃業等届出書
②所得税の青色申告承認申請書
③給与支払事務所等の開設届出書
④青色事業専従者給与に関する届出書
⑤源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書
2 社会保険(労働保険)関係
社会保険は、その目的によって大きく4つに分かれます。①労働保険(労災保険と雇用保険)②医療保険(健康保険や国民健康保険)③年金保険④介護保険――です。スタッフの人数などによって加入する社会保険が異なります。
歯科衛生士や歯科助手、受付など従業員を1人でも雇うと、労働保険(労災保険と雇用保険)の加入手続きが必要になります。
労働保険及び社会保険への加入が保険医療機関等の指定の要件ではありませんが、近畿厚生局では新規指定申請時に申請者の労働保険及び社会保険の加入状況について確認を行っています。
※なお、保険医協会では労働保険事務組合を設立しており、事務代行をしています。