長い教育を受け、難関の国家試験を突破し、歯科医師となり、研修期間を経て勤務医になられた皆さんが、次のステップを考える一助となればと、この冊子をつくりました。とりわけ開業とはどういうことか、開業医=歯科医師として歯科医業を行う者とは何かを、具体的に思い描いていただくことを目的としました。
歯科医師として、歯科医療に対する自分の理念や理想に向けて前進することと同時に、開業医は経営・雇用管理・税務など、経営者としての責務が大きくのしかかってきます。地域の人達と手を取り合う地域の医療機関、介護福祉機関・行政との連携や、患者を守り、従業員を守る先頭に立たなければなりません。歯科医師として、目の前の患者に全力を尽くすだけでなく、様々な業務を行うことが要求されます。
とは言っても、とても一朝一夕で、何をどのようにすればいいのかを理解したり、実行出来るようなものではありません。そこで大阪府歯科保険医協会(以下協会と略します)の出番です。協会は先生方の医院経営を守るために、いろいろな専門部活動を行い、顧問弁護士・税理士・社労士などと一緒に、講演会の開催や先生方の相談にきめ細かく対応しています。
保険診療は患者にとっても歯科医師にとっても歯科医療の要ですが、その制度や運営は複雑です。不合理な点や不当な内容も多く、協会は改善の取り組みを精力的に行い、保険医と患者の権利を守る運動に取り組んでいます。
同時に先生方の日々の保険診療での疑問点にお応えする体制をとっています。「分からない時は協会に電話」を掛けてください。また、新点数説明会や社保講習会でカルテ記載や算定方法を学んでください。
新規を含め個別指導にあたったときは、迷わず協会に相談してください。協会が蓄積してきた豊富な知識と経験で先生をサポートし、不安や悩みも共有します。
協会の機関紙『大阪歯科保険医新聞』には、歯科医師・歯科開業医にとって必要な様々な情報が満載です。その中の「行事案内」には、各地区で行われる行事や、学術講習会の日程が記載されています。会員はどの講習会や行事にも自由に参加出来ます。日常診療の向上のためにぜひご活用ください。
開業医にとっての最大の悩みの一つは、経営者としての責務をどう果たし、自分のライフプランをどう立てていくのかです。協会は医科協会・協同組合と共に、共済(休業保障、保険医年金、労働保険など)や、税務・雇用など開業医に必須の事項についてセミナーや個別相談を行っています。
予期しない障害や、勤務医時代には思いもしなかった事、言われてみてハッと気づいたり、もっと早くに知っていれば……ということが、協会の講習会への参加や相談をすることで、少しでも解消されることが協会の目的〝開業医の生活と権利を守る〟です。
協会の目的は、歯科保険医の権利と経営を守ることです。そのためにも、府民が歯科医療を受診する権利(受療権)を守ることが大切だと考えています。協会の大きな特徴は、多くの府民、多くの団体と協同して社会保障・平和・民主主義など歯科保険医療を支え、歯科医院の経営の基盤である社会インフラの充実に取り組んでいます。歯科医療を提供する側にも歯科医療を受ける側にとっても、より良い社会制度を目指しています。
大阪府歯科保険医協会への皆さんのご入会を心よりお待ちしてます。