大学評価担当者集会2017> 全体会(勉強会)
日時:平成29年8月24日(木)13:30-17:2*
会場:立命館大学 大阪いばらきキャンパス A棟中ウイング1階 レクチャールームAC130
参加者:138名(スタッフ13名を含む)
[参加者について(PDF:186KB)リンク切れ] [実施概要(PDF:396KB)]
今年の全体会のねらい
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昨今、大学に強く求められている数値目標や指標の設定において、現状把握は不可欠となります。その一環として、組織内外の様々なデータを収集して経年で分析したり、他大学と比較したりといった作業が必要になります。これらの作業はファクトブック・データ集の作成に通じる部分があります。
そこで、今回の全体会では、現状把握の一手段である「ファクトブック・データ集の作成」に焦点を当て、そのプロセスであるデータの収集・管理及びその有効活用について、評価担当者とIR担当者がどのように連携できるのか、各々の業務をいかに効率化・迅速化できるのか、といったことを議論します。例えば、評価報告書の作成がメインである評価担当者は、生データをあまり扱わず、各部署から上がってくる単年度の集計データを基に、評価作業を行っている場合が多く、評価作業から派生した追加データ分析の要求等に直接対応することはできません。そのため、都度、他部署へのデータ照会等が発生する恐れがあり、業務の効率化を阻害すると言えます。一方、IR担当者は評価担当者よりも広範囲に、また生データを扱う場合が多く、派生するデータ分析の要求に応えやすいと考えられます。このような状況を踏まえて、ファクトブック・データ集の作成を中心テーマとして、評価担当者とIR担当者が取り扱うデータの違い、目的に応じた効率的なデータ収集・管理方法、データを有効活用する際の障壁等について、講演者・話題提供者による講義やグループワークを通じて討議し、皆様に実践のためのヒントをお持ち帰りいただきたいと考えております。
13:45-14:15 話題提供1「ファクトブック・データ集とは? ~解説と実践事例の紹介~」
全体進行・講演:浅野茂(山形大学 学術研究院(企画評価・IR担当))
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多くの大学において、評価やIR業務に必要なデータの収集が困難であり、収集したデータの分析や活用に十分には至っていない、という現状がある。
本パートでは、ファクトブック・データ集を突破口のひとつとして位置づけ、大学概要との相違点、さらには作成過程において評価及びIR部門が連携する必要性と効用などについて解説する。加えて、大学評価コンソーシアム幹事の所属機関において実践している事例を中心に紹介し、ファクトブック・データ集の構成や収録項目などについて具体例を提示する。
[全体会趣旨説明(スライド+内容)(PDF:1.43MB)] [全体会趣旨説明スライド(PDF:935KB)]
14:15-15:30 演習1
事前配布の作業様式及び当日、会場で配布する付箋紙を用いて、以下の背景と課題に沿って個人ワーク及びグループワークを行っていただきました。
背景
評価大学では、学内に様々なデータが存在しており、各種委員会の根拠資料、評価報告書におけるエビデンス、計画の進捗管理における数値目標や指標等、徐々にではあるが学内の各種業務においてデータが活用されつつある。しかしながら、大学全体としてまとめた「公式データ集」のようなものはなく、各部署からその都度提出されるデータは毎回数値が異なっている場合もあることが多い。
課題
学長から「次年度、本学の新たな将来構想を発表したい。その検討をするため、学内に散在しているデータを使って、本学の課題や特徴を示すもの(ファクトブック・データ集)を作ってくれ」という指示がありました。
さて、それを作成する担当者となったあなたはどうしますか?
[ワークシート1(PDF:421KB)]
Q1 現在、手元にどのようなデータがありますか?
まずはこの設問について、「集計データ(帳票、集計表など)」と「生データ(データベースから抽出した未集計データなど)」に分けて、個人ワークをしてもらいました。評価系の方にはピンク、IR系の方には青色の附箋紙にそれらの内容について転記してもらい貼りだしました。
Q2 学長の指示に応えるため、ファクトブック・データ集をどのような構成にしますか?
続いて、この設問について、大分類と小分類(項目・指標名など)に分け、まずは個人ワークをしてもらい(10分)、その後、4名グループで議論してもらいました。全体を代表して数班に報告をしてもらいました。
[演習1のまとめ(PDF:1.95MB)]
(15:30-15:45 休憩)
15:45-16:15 話題提供2「データカタログによるデータの所在把握と定義の統一 ~データ収集に対する評価担当者とIR担当者の違いとは~」
講演:大野賢一(鳥取大学 大学評価室)
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データ収集は目的を持って行われるべきであり、学内に散在するデータを闇雲に集めれば良いというものではない。データの収集目的や活用方法が明確であれば、対象となるデータや保有している部署が特定され、収集方法や管理方法も決定できる。その結果、評価やIRの部署だけでなくデータ保有部署においても業務の効率化が図れる。
本パートでは、これらを実現する方法として「データカタログ」について説明するとともに、収集するデータに対する評価担当者とIR担当者の考え方の違いを示し、機関別認証評価の自己評価書の作成プロセスを例に各担当者の役割分担について提案しました。
16:15-16:55 演習2
演習1の議論の結果及び成果物を題材に、データカタログの作成を実践する個人ワークとグループワークを行っていただきました。
[ワークシート2(PDF:177KB)]
1.毎年更新していく前提で、以下のデータカタログについて記入してください
まずは、個人ワークでデータカタログの各項目[大分類、項目名(小分類)、保有部署、データ作成時期(基準日)、データ形式、データ定義、備考]を模擬的に埋めてもらいました。
2.自大学におけるファクトブック・データ集の継続的な作成手順について記入してください
続いて、こちらも記入してもらった上で、4名グループで議論してもらいました。今回も全体を代表して数班に報告をしてもらいました。
[演習2のまとめ(PDF:416KB)]
16:55-17:15 話題提供3「データマネジメントの必要性と実践」
講演:藤原宏司(山形大学 学術研究院(IR・データ分析担当))
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学内外のデータを「収集」しても、それをそのまま有効活用できるとは限らない。その所以は、学内であれば部署毎にファイルのフォーマットや定義が異なる場合や、担当者の交代に伴いデータ項目が変更されること等の要因が考えられる。また、学外であれば調査票形式でのデータ公開がほとんどで、しかもデータ形式が一様でないケースも見られる。ファクトブック・データ集を継続的に作成しようとすると、データを適切に整理・加工して管理する必要があり、その際、データマネジメントの重要性が浮上してくる。
本パートでは、公開データ(学校基本調査、科研費データ等)を例に、データを入手したあと、それらをどう加工・分析・可視化して、評価書作成やIRの分析業務(ベンチマーク)の活用につなげたか、その事例を紹介しました。 □
○ アンケート結果
参加されたみなさまにお願いしましたアンケート結果はこちらからご覧ください。
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[全体会アンケート結果(PDF:325KB)リンク切れ]
このセッションの実施、成果のとりまとめ、報告書作成にあたり、参加されたすべての方に感謝申し上げます。
◆ この分科会のプログラム構築については、以下の科学研究費補助金を使用しました。
平成27年度科学研究費助成事業(科学研究費補助金)基盤研究(B) 「大学の評価・IR機能の高度化のための実践知の収集・分析とその活用に関する研究」 (課題番号:15H03469、研究代表者:嶌田敏行)
平成29年度科学研究費助成事業(科学研究費補助金)基盤研究(C) 「IRを活かす学内データ管理に関する研究:統合型データベース構築への第一歩として」 (課題番号:17K04603、研究代表者:藤原宏司)
○ 当日のスタッフ
浅野 茂*(山形大学 学術研究院 教授)、 大野 賢一*(鳥取大学 大学評価室 准教授)、 小林 裕美*(徳島大学 国際課 課長)、 小湊 卓夫*(九州大学 基幹教育院 准教授)、 末次 剛健志*(佐賀大学 企画評価課 係長[IR主担当])、 山本 幸一*(明治大学 教学企画部 評価情報事務室 副参事)、 藤井 都百*(名古屋大学 評価企画室 講師)、 藤原 宏司(山形大学 学術研究院 教授)、 藤原 将人*(立命館大学 教学部学事課 課長補佐)
○ 準備スタッフ
佐藤 仁*(福岡大学 人文学部 准教授)、 嶌田 敏行*(茨城大学 全学教育機構 准教授) 関 隆宏*(新潟大学 経営戦略本部評価センター 准教授)、 土橋 慶章*(神戸大学 企画評価室 准教授)、 [*は大学評価コンソーシアム幹事/監査人]
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