二酸化硫黄は身近な例でいえば「温泉のにおい」「腐った卵のようなにおい」と表現されることがあり、比較的低濃度でもその刺激臭に気づくことができます。
しかし、濃度が高まると気づかぬうちに深刻な呼吸障害や目への影響を引き起こすことがあるため、実験時の扱いには十分な注意が必要です。
化学式:SO₂
分子量:64.06
比重:2.26(空気より重い)
色:無色
におい:腐卵臭(温泉のにおい)
濃度による刺激と損傷
二酸化硫黄は湿った皮膚や粘膜と接触すると亜硫酸に変化し、酸として作用することで刺激や障害を引き起こします。主に呼吸器系に影響を及ぼし、濃度によって段階的に症状が強まります。
【濃度と症状(皮膚・眼)】
濃度 主な症状
0.3~1 ppm においを感じる(感知可能なレベル)
5 ppm 上気道(鼻や喉)に刺激感、気道が通りにくくなる(気道抵抗の上昇)
20 ppm 眼に強い刺激を感じる
30~40 ppm 呼吸困難が現れる
400~500 ppm 生命に危険:窒息死や肺水腫のリスク
※肺水腫とは…肺の毛細血管から水分が漏れ出し、肺胞に液体がたまり、酸素を十分に取り込めなくなる重篤な状態です。
呼吸器に異常を感じた場合
直ちに新鮮な空気の場所へ移動させてください。
呼吸困難の症状が見られる場合は、医療機関での診察が必要です。
目に刺激を感じる場合
15分以上、流水で目を洗浄し、医療機関で診察を受けましょう。
安全めがねを着用し、目を守ることは必須です。
二酸化硫黄は空気より重いため、低い位置に滞留しやすく、換気が不十分だと危険です。
必ず換気のよい環境で実験を行いましょう。
【参考】
荒木俊一(2002):『中毒学 -基礎・臨床・社会医学-』朝倉書店