アンモニアは身近な化学物質のひとつで、家庭でも洗剤や肥料などに含まれていることがありますが、高濃度のアンモニアは強い刺激性を持ち、特に眼や呼吸器に対して重大な影響を及ぼすことがあります。
化学式:NH₃
分子量:17.03
比重:0.59(空気より軽い)
色:無色
におい:刺激臭(鼻にツンとくる)
※アンモニアは空気より軽いため、上方に拡散しやすいという性質にも注意が必要です。
濃度による刺激と損傷
アンモニアは非常に水に溶けやすく、湿った粘膜に触れるとただちに刺激症状を引き起こします。
目への影響
少量でも痛みや涙、結膜炎を引き起こし、重症化すると潰瘍や視力低下につながることがあります。
呼吸器への影響
鼻・喉の痛みや咳、むせ感などが現れます。
高濃度では肺水腫やチアノーゼを起こし、重篤な場合は呼吸困難で死亡することもあります。
【濃度と症状】
濃度 症状・影響
50 ppm においを感じる
100 ppm 鼻や喉に痛み、咳、むせる感覚など粘膜への刺激が出る
150~200 ppm 目に刺激(しみる)を感じる
600 ppm 約30秒で涙が出る
700 ppm 数秒で涙が出る
1,000 ppm 瞬時に涙が出て視界が悪化、皮膚への刺激、肺水腫・チアノーゼによる呼吸困難
2,500 ppm 声帯の浮腫やけいれん、窒息を起こし生命の危険
呼吸器に異常を感じた場合
直ちに新鮮な空気の場所へ移動させてください。
呼吸困難の症状が見られる場合は、医療機関での診察が必要です。
目に刺激を感じる場合
15分以上、流水で目を洗浄し、医療機関で診察を受けましょう。
安全めがねを着用し、目を守ることは必須です。
アンモニアは空気より軽いため、上方に拡散しやすく、換気が不十分だと危険です。
必ず換気のよい環境で実験を行いましょう。
【参考】
荒木俊一(2002):『中毒学 -基礎・臨床・社会医学-』朝倉書店
池田靖弘(1994):「冷媒アンモニアに対する安全対策」『Techno Marine』pp.892-895