独自の有機無機ハイブリッド物質群を活用した量子マテリアル開発
エンタングルメント(量子もつれ)は、量子力学の本質を象徴する奇妙かつ深遠な相関であり、私たちの直感を超えた現象を物理として顕在化させます。現代の物性科学においては、こうしたエンタングルメントを電子スピンの自由度を通じて物質中に設計し、自在に制御することが最先端の挑戦課題となっています。
私たちは、かつて類を見ない設計自由度を有する有機無機ハイブリッド型物質群を独自に開発し、数千万通りにも及ぶ構造設計を可能にしました。この比類なき「構造の自由度」によって、革新的な巨視的量子現象を自らの手で創り出す、ボトムアップ型の物質科学を切り拓いています。
これまでに、多種多様な新奇量子状態の実現を実験的に実証し、その成果を物質設計へとフィードバック。量子化学計算との連携により、エンタングルメントがもたらす新たな量子物性の創発とその制御を目指しています。こうした取り組みを通じて、量子磁性材料の新機能創出や、量子物性科学の未踏領域の体系化に貢献しています。