1F 壁面オブジェ
1F 壁面オブジェ
「ヤブ漕ぎ」という山登りのやり方があります。
文字どおり、ヤブの中、道なき道を、本当に漕ぐように進む登り方で、「沢登り」とともに、日本の山地の特性に対応する登行方法です。「ヤブ漕ぎ」も「沢登り」も、山、森、ヤブ、沢と一体化します。ヨーロッパで始まった、近代アルピニズムとは、方法論も精神的にも異なる山登りになります。近代アルピニズムが、自然に挑む、未知なる領域の征服といった挑戦的行動であるとしたら、「ヤブ漕ぎ」は、自然との相対化、山との融合といった協調的行動であるかもしれません。
環境科学研究科に新しい顔を作ってみました。
54種類の樹を使ったこの飾り樹の製作は、長野県の建具職人 有賀恵一さんにお願いしました。有賀さんは、多種多様な樹の特性を活かして、家具から建具、さまざまなものを製作しています。この飾り樹には、樹を見る力、それぞれの樹の特性を踏まえた乾燥、製材技術など、豊かな経験に裏打ちされた確かな技術が詰まっています。
有賀さんの製作信条は、「いいかげん」だといいます。異なる個性の木を組み合わせピッチリ作ると狂ったり反ったり割れたりするので、ある程度いい加減に作ることが大切とのこと。有賀さんはいいます。「どんな木にも欠点はありますが、いいところもあります。いいところを引き出すように挽けばいいのです。」*
この飾り樹は、同窓会「紫水会」の援助により作製されています。
同窓生ならびに関係各位に感謝申し上げます。
* 清和研二,有賀恵一『樹と暮らす 家具と森林生態』築地書館,2017年,185頁
1Fホールのマガジンラックに常備されている『環境科学研究科 NEWS LETTER No.20』で詳しくご紹介しています。
ぜひお手に取ってご覧下さい。