土屋範芳
本日は,白石市長また本学からは大隅副学長,さらに宮城県,関係する多くの方々にご列席いただきまことにありがとうございます.主催者を代表して,御礼申し上げます.
環境科学研究科は,2003年に設立されましたが,独自の建物というものはなく,各研究室は,それぞれのキャンパスに散在しており,研究科独自の建物が悲願でありました.環境科学研究科のこの建物ですが,紆余曲折の末,青葉山新キャンパスに平成28年度末にようやく完成いたしました.しかし,なんとそのときは,予算不足により,いまみなさんがいるこの部屋は,天井もない,床もコンクリート剥き出しで,実は使える状態ではありませんでした.先ほど私が紆余曲折と申し上げたのは,よんどころない事情で,大学の校舎としてははなはだ不本意ながら,竣工時に使えない部屋があるというものでした.29年度に,当時の吉岡研究科長が,いろいろ事情があるにせよ,新築建物を使わないわけにはいかないでしょうということになり,大変なご苦労をされて,事務室と講義室,そして文系教員室の供用開始にこぎつけ,この部屋も,とりあえず天井を張り,見てくれだけは一応使えるようにはなりましたが,殺伐とした感じは否めないものでした.エントランスもしかりで,この建物の内装は白を基調にしているせいでしょうか,なんというか,目に刺さる,とげとげしい感じ,寒々しい感じの建物でした.これでは,研究科の顔としてなんかきついなあ,冷たいなあと感じるものでありました.
まずはエントランスから何とかしようと思いました.いろいろな学部や研究所の建物を見て歩きましたが,1階ホールは,だいたい,研究の成果の展示室だったり,その学部の歴史とか沿革といったようなものを掲げるのが一般的だということがわかりました.それはそれで意味があるものですが,おそらく誰も見ない,もしくはなんか象牙の塔として,えらそうだなあというか,自慢話はそれはそれでいいけど,なんかカビが生えてる感じがなくもないなあと思いました.
この建物に入り,この部屋に入り,この雰囲気に何かを感じていただければ,もうそれで充分です.人それぞれ感じ方に違いがあるし,それがとても大切です.豊かな感性.ありきたりな言葉で恐縮ですけれども,さまざまなオブジェやインテリア,それに何か感じていただく力を持っていてくれればそれでもう充分です.
しかしここまで来るのに4年かかりました.多くの方々のご協力の賜物です.改めて御礼申し上げます.また,今日,このお披露目の会にご列席いただきまことにありがとうございます.ここに来て,触れて,感じて,少しホンワリとしていただけたらありがたいです.
世の中では,おぞましい戦争が行われています.とげとげしい社会が,少しでも和らぐように,豊かな感性を育む場所でありたいと考えています.