ISO 6709:2022 Standard representation of geographic point location by coordinates
現行
履歴
ISO 6709:2008 withdrawn
ISO 6709:2008/Cor 1:2009 withdrawn
対応OGC標準:なし
対応JIS規格:なし
原文URL
https://www.iso.org/obp/ui/en/#iso:std:iso:6709:ed-3:v1:en
地理的点位置(GPL: Geographic point location)によって、単一の座標組 (coordinate tuple) を用いて明確に定義された地理的位置が記述される。GPLデータを効率的に交換するには、普遍的に解釈可能で、地球表面上、上空、地下の点を識別できる形式が必要である。様々な分野のユーザーはそれぞれ異なる要求事項を持っている。例えば、緯度及び経度の記録には、従来の度・分・秒に加えて、度及び十進度が使用されている。ユーザーアプリケーションは様々な精度レベルを要求する場合があり、高さを省略して緯度及び経度を使用することもある。
ISO 6709:1983 は、緯度及び経度、並びに、オプションとして高度の特定の書式表現を定義した。
ISO 6709:2008 は、1983 年版の書式表現を次のように改訂した。
— 座標が参照される座標参照系(CRS)を識別する機能を追加した。CRS がないと位置が不明確になる。
— 高度の使用範囲を拡張し、楕円体又は重力に関連する高さや深さも考慮できるようにした。
この規格の初版が 1983 年に発行されて以来、測地学の分野は、他の関連する測地学や地理情報科学の規格の継続的な開発とともに、大きな技術的進歩を遂げてきた。
この版の目的は、これらの新しい進歩や規格に対処し、以前の版(付録 B)の要求事項を引き続き利用可能にしながら、デジタル表現に適した座標文字列(箇条6)を改訂することである。
箇条7では、人間可読の形式で GPL を明確に表現するためのより単純な構造を定義する。
さらに、以下の内容を含む一連の付録が提供される。
— 附属書A(規定)は、適合性試験に使用される抽象試験項目群を定義する。
— 附属書B(規定)は、ISO 6709:2008との後方互換性を維持した緯度経度座標の表現を定義する。
— 附属書C(参考)は、CRSを使用せずに座標の位置が曖昧になる可能性がある場合の説明と例を示す。
— 附属書D(参考)は、緯度及び経度の分解能の数学的精度値の表を示す。
— 附属書E(参考)は、ISO 6709の以前の版と比較した、この規格の変更点について説明する。
— 附属書F(規定)は、この規格で必要な文字列及び区切り文字の符号化法を規定する。
この規格の利用者には、次に示すオプションを強調したい。
a) 後方互換性が必要ない場合、この規格では、箇条6の GPL 表現、又は箇条7の人間可読のGPL 表現で指定された方法及び規則を使用することを推奨する。
b) ただし、ISO 6709:2008 との後方互換性が必要なシステム及び環境では、付附属書 B に指定された方法及び規則を使用することができる。
さらに、附属書B を使用する場合は、この規格内又はこの規格の以前の版では定義されていない適切かつ包括的な補助規格を準備して、後方互換性を主張する地理的点位置の文字列及び人間可読の表現のすべてのインスタンスに添付することを推奨する。
この規格の使用により、以下のことが実現する。
— 測地学及び地理情報の現在の概念及び規格を利用可能にする拡張点位置表現文字列の形式を確立する。
— 必要に応じて、この規格の以前の版(ISO 6709:2008)との後方互換性を維持することにより、既存のユーザーコミュニティのニーズに継続的に応える。
— データ交換コストを削減する。
— 標準的交換形式に関する事前の知識を提供することにより、交換の準備として非標準の符号化構造を変換する際の遅延を削減する。
— 地理的点表現を柔軟に利用可能とする。
この規格では、ISO 6709 の以前の版と互換性のある緯度及び経度、並びに、オプションで高さ又は深さの表現を規定する。
この規格では、一つ以上の座標参照系 (CRS) を通じて定義された座標に関連付けることができる他の座標タイプ及び時間の表現も利用可能にする。
この規格は、電子データ交換に適した、任意の点の座標を表す文字列について記述する。この文字列には、その点の位置を座標が明確に表すことを保証するための参照系識別情報が含まれる。複数の点が単一の共通の参照系識別情報を持つファイルは、この規格の対象外である。また、この規格では、点の位置を表す座標をより人間にとって読みやすい形で表現するための、より単純な文字列構造も示す。
次に示す規格は、その内容の一部又は全てがこの規格の要件を構成する形で、本文中で参照されている。日付が記載された文献については、引用された版のみが適用される。日付のない参照については、引用規格の最新版(修正を含む)が適用される。
ISO 8601-1, Date and time — Representations for information interchange — Part 1: Basic rules
ISO 8601-2, Date and time — Representations for information interchange — Part 2: Extensions
ISO/IEC 10646:2020, Information technology — Universal coded character set (UCS)
ISO 19111, Geographic information — Referencing by coordinates
ISO 19162, Geographic information — Well-known text representation of coordinate reference systems
この規格の目的に応じて、次の用語及び定義が適用される。
ISOとIECは、規格化に使用する用語データベースを次のアドレスにおいて維持・公開している。
— IEC Electropedia: http://www.electropedia.org/
— ISO オンライン閲覧プラットフォーム: http://www.iso.org/obp
3.1
accuracy
正確度
試験結果又は測定結果と真の値との一致の程度
[ISO 3534-2:2006 3.1.1を参照 —注記は削除した]
3.2
altitude
高度
選択された基準面が平均海面となる高さ
3.3
compound coordinate reference system
複合座標参照系
少なくとも二つの独立した座標参照系を用いて位置を示す座標参照系
注記1:一方の座標参照系の座標値が他方の座標参照系の座標値に換算又は変換できない場合、二つの座標参照系は互いに独立しているという。
[ISO 19111:2019 3.1.3を引用]
3.4
coordinate
座標
点の位置を指し示す数の列のうちの一つ
注記1:空間座標参照系では、座標を示す数は単位によって修飾される。
[ISO 19111:2019 3.1.5を引用]
3.5
coordinate reference system
座標参照系
原子によってオブジェクトに関連付けられた座標系
注記1:測地及び鉛直原子は基準フレームとして関連付けられる。
注記2:測地及び鉛直基準フレームにおいては、オブジェクトとは地球のことである。惑星への適用については、測地及び鉛直基準フレームは他の天体にも適用することができる。
[ISO 19111:2019 3.1.9を引用]
3.6
coordinate set
座標集合
同一の参照系、及び、同じ座標エポックをもつ動的な座標参照系に関連する、座標組の集合
[ISO 19111:2019 3.1.10を引用]
3.7
coordinate system
座標系
点にどのように座標を割り当てるかを規定する数学的規則の集合
[ISO 19111:2019 3.1.11を引用][翻訳はJIS X 7111:2014 4.10を引用]
3.8
coordinate tuple
座標組
複数の座標で構成する組
注記1:座標組内の座標の個数は、座標系の次元と等しくなる。座標組中の座標の順序は、座標系の軸の順序と同一である。
[ISO 19111:2019 3.1.13を引用][翻訳はJIS X 7111:2014 4.12を引用]
3.9
datum
reference frame
原子
基準フレーム
座標系の原点の位置、スケール、及び軸の向きを定義するパラメータ又はパラメータの集合
[ISO 19111:2019 3.1.15を参照][翻訳はJIS X 7111:2014 4.14を参照]
3.10
depth
深さ
選択した鉛直基準面から、その面に立てた垂線に沿って下方向に測った点までの距離
注記1:線の方向は直線の場合もあれば、地球の重力場やその他の物理現象に依存する場合もある。
注記2:鉛直基準面より上方の深さは負の値で表される。
[ISO 19111:2019 3.1.17を参照][翻訳はJIS X 7111:2014 4.15を参照]
3.11
ellipsoidal height
geodetic height
h
楕円体高
測地高
h
楕円体面からそれに垂直な線に沿って測ったある地点までの距離で、楕円体の上側又は外側に向かう場合を正とするもの
注記1:三次元楕円体座標系の一部、又は三次元投影座標参照系内の三次元直交座標系の一部としてだけ使用しそれ単独では使用しない。
[ISO 19111:2019 3.1.24を引用][翻訳はJIS X 7111:2014 4.19を参照]
備考1)"ellipsoidal height"は推奨用語、 "geodetic height"は許容用語である。"h"は、これらの略語である。
3.12
geographic point location
地理的点位置
一つの座標組によって記述される、明確に定義された地理的な場所
[ISO 19145:2013 4.1.11を引用]
3.13
geographic point location representation
地理的点位置表現
よく知られた書式による、地理的点位置の構文的記述
[ISO 19145:2013 4.1.12を引用]
3.14
gravity-related height
H
標高
H
地球の重力場に依存する高さ
注記1:これは、特に正標高(orthometric height)と正規高(normal height)のことを指し、これらはいずれもある地点の平均海面からの距離の近似であるが、正規正標高(normal-orthometric height)、動的標高(dynamic height)又はジオポテンシャル(geopotential)の数値も含まれる場合がある。
注記 2: 基準面からの距離は、重力方向の影響を受けるため、必ずしも直線ではなく曲線を描く場合がある。
[ISO 19111:2019 3.1.37を引用]
3.15
height
高さ
選択した基準面からその面に垂直な線に沿った上向きを正とする、任意の地点までの距離
注記1:基準面から下向きの高さは負の値で表される。
注記2:楕円体高(h)と標高(H)を一般化した言葉である。
[ISO 19111:2019 3.1.38を引用]
3.16
measurement precision
precision
測定精度
精度
指定された条件の下で,同じ又は類似の対象について,反復測定によって得られる指示量又は測定量の間の一致の程度。
注記1:測定精度は通常、指定された測定条件下での標準偏差、分散、変動係数などの不精密さ (imprecision)の尺度によって数値表現する。
注記2:「指定された条件」には、例えば、繰り返し条件、中間再現条件又は再現条件がある(ISO 5725-3参照)(JIS Z 8402-1:1999参照)。
注記3:測定精度は、測定の繰り返し性、中間再現性、及び再現性を定義するために用いる。
注記4:「測定精度」は誤って測定正確度(4.17)を意味するものとして誤って用いられることがある。
[ISO/IEC Guide 99:2007 2.15を引用]
備考1) ISO/TS 19159-1:2014 4.19にも同じ用語定義が見られる。
3.17
metadata
メタデータ
資源についての情報
[ISO 19115-1:2014 4.10を引用]
3.18
resolution (of a coordinate)
(座標の)分解能
座標の最下位桁に関連付けられた単位
注記1:座標分解能は、座標系の特性に応じて、線形単位または角度単位を持つ場合がある。
3.19
sexagesimal degree
六十進度
度、分、秒の数値の列で表される角度
注記1:緯度または経度の場合、半球を示す文字も含まれる場合がある。
例:50.0795725十進法の度は、50°04'46.461"と表される。
備考1)"decimal degree"は「十進度」と訳すことが多いので、ここでは「六十進度」とした。
3.20
tuple
組、タプル
順序をもつ値のリスト
注記1:組の中の値の順番は変更できない。
[ISO 19136-1:2020 3.1.60を引用]
[1] ISO/IEC GUIDE 99:2007, International vocabulary of metrology — Basic and general concepts and associated terms (VIM)
[2] ISO 19107, Geographic information — Spatial schema
[3] ISO 19109, Geographic information — Rules for application schema
[4] ISO 19115-1:2014, Geographic information — Metadata — Part 1: Fundamentals
[5] ISO 19136 (all parts), Geographic information — Geography Markup Language (GML)
[6] ISO 19145:2013, Geographic information — Registry of representations of geographic point location
[7] Geodetic Registry ISO., (ISOGR) [website]. Available from: https://geodetic.isotc211.org
[8] OGC CRS Definition Resolver [website]. Available from: https://external.ogc.org/twiki_public/CRSdefinitionResolver
[9] EPSG Geodetic Parameter Dataset [website]. Available from: https://epsg.org
[10] IGNF, (IGN France) Registry [website]. Available from: https://registre.ign.fr/ign/IGNF/
(2025-10-02)