「管理・運営計画策定業務委託」と「基本設計計画」の公開プレゼンテーションに参加して〜事務局の感想
「管理・運営計画策定業務委託」と「基本設計計画」の公開プレゼンテーションに参加して〜事務局の感想
プロポーザル
「管理・運営計画策定業務委託」と「基本設計計画」の公開プレゼンテーションに参加して
2024.1.22
【OURプロジェクト・プロポーザル】
時期ハズレの厳しい熱暑の中、OURプロジェクトの「管理・運営計画策定業務委託」と「基本設計計画」の公開プレゼンテーションがそれぞれ6月15日と、22日の日曜日に行われました。
参加された方もいらっしゃるとは思いますが、まずはその場に参加した3人の事務局メンバーの感想をお伝えします。少し長いのですが、ご参照ください。
■①6/15、②6/22とも参加することができました。
①6/15管理・運営計画策定業務の回は、
一次審査で藤沢市が求めている要素を3グループとも網羅している内容のプレゼンテーションとダイアローグでしたが、それぞれに「強み」として持っている分野があり、同じようなベースでありながらこんなに違った印象になるのだと感じました。
「合意形成のプロセスの工夫」というところでは、3グループとも「市民との協働」ということで複数回のワークショップの開催を掲げていました。それはとても大切なことと思いますし是非参加したいと思いますが、話し合われた内容の、企画を進める側に都合の良いところだけをいつのまにか切り取られて「あなた達はこれに賛成されていましたよね」と共犯者にされていくのは嫌だなぁと思いました。
全ての意見を取り込むのは無理な話ながら、きちんと話をし理解した上で、市民が活動したい、足を運びたいと思う場を一緒に作っていけるところが選ばれることを期待しています。
②6/22の基本設計の回では、
近隣で利用したことのあるホールを思い描きながら「あ、あんな感じかな?」とイメージを膨らませながら聞いていました。
市民会館だけが素敵にポコっとあるだけではなく、奥田公園とのつながり、藤沢駅から新林公園までの流れをどう作るかも街づくりとして大切だと感じます。
そしてどんなに素敵な会館の設計でも、そこをどんな風に使っていきたいか、「大きな舞台芸術作品を観たい」「市民が自分達の手作りの活動を広げたい」「子どもと図書館や公園でのんびり過ごしたい」といった様々な想いを広げられる空間を創ることを共有し後押ししてくれる企画運営の団体の質が問われると感じました。
決定した事業者と一緒に創りあう立場である藤沢市と市民が丸投げにせず、市民のための施設をつくるにあたって「ここは大切‼️」というところはブレないようにしっかり見つめ働きかけていくことが、計画中も建設中も完成後も自分達の文化と暮らしを守るために重要なカギになると思います。
■6/15と22の公開プレゼンテーションを傍聴しました。いずれも3グループによるプレゼンで、厳重な時間設定、審査選定委員と傍聴者の接触の禁止、資料の回収等、緊張感のある会場でした。参加事業者はいずれも公共施設やホール、まちづくりについて豊富な経験をアピールするプロ集団という印象でしたが、今回のように管理運営者と基本設計者を同時並行的に選定することは特殊なケースのようです。管理運営者、基本設計者、どの事業者も、決まったら両者の連絡を密にしていくことが不可欠と口をそろえていました。また、公開プレゼンテーションの場を設けるという方法はまれなようでした。これまでの段階でOUR Projectの進捗状況が市民の立場からはよくわからず、シンポジウムや公開討論会に出席しても具体的なことが不透明であるという不満を抱いていましたが、二次審査を公開することは市民にとって良いことだと感じました。しかしながら両日とも60名の傍聴者の枠が埋まらなかったようで空席が目立ちました。各事業者が藤沢市のポテンシャルやOUR Projectの可能性をしきりに讃える一方、肝心の私たち市民の興味関心が広がっていない現状を自覚させられました。
プレゼンテーションの進め方として、各事業者とも20分のプレゼン→40分のダイアローグ(対話)というプログラムで、ファシリテーターは“一問一答ではなく対話で進めたい”という方針を説明しましたが、さして対話にはなっておらず一問一答の印象でした。管理運営者のプレゼンは複合施設として横軸を通すやり方や手がけた実例などの内容になるので3事業者の具体的なイメージの違いはあまりありませんでしたが、設計の方は図面や外観イメージが提示されるため、それぞれの構想について具体的に知ることができました。
A1グループの様々な四角を重ね合わせる設計は特徴的に感じましたがA4グループ・A2グループは基本的に四角っぽい全体像で、共通するのは大ホールと図書館は基本的な設計、小ホールに関しては基本的な小ホールに加えて可変性の高いホールをもう一つ設置したり、小ホール自体の可変性を高めたりなどの違いはあるものの、ホール機能と図書館はメイン施設とする。その他の施設機能は回廊、エンガワ(縁側)など、様々な方法でつくっていくなどの提案でした。藤沢市の提示するシンプル、ベーシックで可変性の高いものという条件通りです。当初から心配していたようなたくさんの施設の複合化で高層化するのではという懸念は払拭されましたが、その背景には選定委員からの質問に何度も出た予算の問題があることがよくわかりました。昨今、全国の劇場施設の建て替え計画が頓挫している状況からも、上限額を設定しています。予算をかけずに既存の多くの施設機能を入れ込むため、しきりに「重ね合わせ」「空間・時間のシェア」などがうたわれていましたが、利用者側からすると会議室などは相当減ることになるだろうし、どのケースにしても現在の市民会館大小ホールと展示ホール2つという訳には到底いきません。青少年会館や市民活動推進センターなど著しく縮小されることになるのではと感じました。
両日とも、関心をもって耳を傾けていたのは市民参画についてです。どの事業者もその点は力をこめて進めていくと言っていました。手法としてはほとんどがワークショップを行なうとしていましたが、その回数は2-3回から50回までいろいろでした。直接市民と話す、活動の様子を見に行く、聞き取り調査などの言葉が6事業者全てから度々出て、市民参画のプラットフォームづくりが意識されていると感じました。管理運営ではM1グループの「ゴールとしては一緒に走るアートNPOをつくる、その理事は3年ごとに交代してほしい、市民全員が一生に一度は関わるのが理想」という発言が印象的でしたが、むしろ設計事業者の方が“つくって終わりとは思っていない、ずっと管理運営の横にいないといけない”ということを強調していて、「建設中も市民対話の場所として0ffice Hourを用意する(A1グループ)」「クリエイトセンターを設け日常的にコミュニケーションをとりながら進める(A4グループ)」など、市民と共に進めることを明言していました。しかし、市民の希望を全て取り入れていては巨大化してしまう、市民と一緒に進めることでいかに諦めてもらうかが実現するというような発言も複数あり、本音であると同時にやむを得ないことかとも思いました。
設計事業者はいずれも駐車場は解体せずにリフォーム、奥田公園周辺の植栽はなるべく変えず、藤沢駅から新林公園に至るルートを大切にしたい、川べりの桜も既存のままという構想は共通していました。公共性をおしつけるのではなくよさをみんなでつくりあげる、文化的コモンズ。ここを歩けば市民が藤沢を理解できる場所に。「希望の家A4」。「文化の丘A2」。など、市民がつくる文化ゾーンにしていくという趣旨は望ましいと感じました。今後はもっと市民の興味関心を拡げたいです。
■6/15:管理運営計画策定業務委託という事ですが、当事者の中から「キュレーター」の役割・意味について確認の質問があったので、実際に進めていくのは大変なことだろうと思います。どのグループも「市民とともに」とは言っていましたが、実際にどういうものになるのか関心を持ち続けなければいけないと思いました。
公民連携の「民」は市民はもちろんだが、民間事業者の民だと言う説明もあり、また「稼げるところで稼ぐ」というような話もあったので、収益優先になってしまわないか心配です。工事が始まったら関係なくなるのではなく、開館までのワークショップ・仲間づくりは大事だと言う話もありました。「ここでくらっそ」がつながるではないかと思います。
6/22:どのグループも高層の建物は想定していないようなので、4階建てぐらいのイメージなのは良かったと思います。境川の方に目を向けていたり、藤沢駅と新林公園をつなぐ位置づけをしていたりといろいろありましたが、素人にはわかりやすいように建物の模型とかCGの映像が必要なのではと思いました。
また作り込みすぎないとか、機能の融合とかオープンスペース的なものが流行りなのかもしれませんが、例えば、市民団体の総会や集会、市民の少人数読書会のための部屋があるのか気になります。バリアフリーとか環境への配慮とかいろいろ難しい問題があり、コストも抑える中で再整備計画が順調に進むことを願うばかりです。