2016年

2月、2014年・15年の2年にわたって実施した稲鯨祭りの民族誌的調査および映像記録を、地元の人々を前に報告しました。佐渡市地域振興課主催の「地域活動報告会」の助成を頂き、稲鯨集落での発表、佐渡中央会館での発表と2回に分けて実施。稲鯨祭りに関する社会人類学的調査を実施した首都大学東京の4年生2名の発表、杉本の基調講演、映像記録『H26・27年稲鯨祭り』を作成した東海大学生3名の報告があり、大いに盛り上がりました。佐渡中央会館での報告会では、廃校プロジェクトのこれまでの歩みを写真パネルにしたミニパネル展も開催しました。映像記録は2016年度に再追加収録を予定しています。

2月、別枠の博物館調査の一環で、門田・杉本が周防大島と内子の調査へ向かいました。島崎信・武蔵野美術大学名誉教授や高藤一郎平・佐渡学センター長らも同行しました。小木民俗博物館は民俗学者の宮本常一が設立を後押しし、地元宿根木の住職であった林道明が中心となって運営していました。大島は宮本の、内子は林の郷里です。両地において、故人と親交があったりその教えを受け継いで地域活動をやっている方々にお会いし、文化を活かした社会開発に関する知見を得ることができました。

3月、佐渡調査。稲鯨祭りのDVDを地元の集落、またNPO法人・佐渡芸能伝承機構の松田代表に進呈しました。また引き続き小木民俗博物館の調査を実施し、初代館長・林道明の日誌を整理しました。

5月、佐渡調査。博物館設立に関わる資料調査のため、初代館長・林道明が住職をしていた称光寺を訪問しました。またこの夏の調査計画のため、各所に挨拶回りを行いました。

8月、佐渡調査。今夏のプロジェクトは盛りだくさん。①旧二見小学校で実施した恒例の夏学校は、子供・大学生・地域のお年寄りが思い入れのある道具をカルタにした「思い出カルタ」の制作と、カルタ大会。大いに盛り上がりました。②宿根木での博物館調査は、大学院生チームによる文化資源調査が大詰めを迎え、報告書の上梓に向けて最終の合同調査を実施しました。③アースセレブレーションではDAY CAMPという子供中心のイベントに、大学生スタッフが参加。小木民俗博物館で竹細工を学んだり、鼓童のプレイヤーから音作りを学んだりするサポートを行いました。④中心となったフィールドワークは、宮本常一写真を使った「フォトグラフィーの人類学」。宮本が撮影した写真を素材に、地域の人から話を伺い、景観の変容、当時の記憶の想起、といった写真という媒介物を通して広がる世界を描く試みを行いました。