夏期スクーリング「社会心理学」は終了しました。講義内最後に行ったレポート作成について、書ききれなかったところで何かあれば、その他質問なども含めて、別途お送りください。最終日にお伝えするつもりで予定であった杉浦のドイツ留学に関する社会心理学的考察の講義は、時間の都合で割愛しました。その代替を検討しました。第6日の講義記録のところをご覧ください。2023.8.12
テキスト:安藤香織・杉浦淳吉 編著(2012)『暮らしの中の社会心理学』ナカニシヤ出版
当初のシラバスを演習(ゲーミング)中心に再構成
社会心理学とは―その歴史と方法(配布資料)
対人認知と対人魅力(1章、配布資料)
実験の発想と倫理の観点から
対人認知と対人魅力(続き)
社会的ジレンマの演習(廃棄物ゲーム)と解説(3章)
一次的ジレンマ(グループ内競争)
二次的ジレンマ(グループ毎にルール設定)
集団の形成と集団間関係(2章)
社会規範の演習(Read and Play)と解説(4章)
説得と環境リスクの演習(エコファンディングゲーム)と解説(7章, 8章, 9章)
説得と環境リスク(続き)
集団意思決定の演習(NASA, 6章)
集団意思決定の解説(6章)
以下の内容については、講義で十分に時間を取ることができませんでした。資料の購読で補っていただければと思います。また、以下に示すような過去の動画についても、ご希望の方はご連絡ください。
特別講義:ドイツの記憶(利用終了)
ぜひ感想をメール等でもお寄せください!
過去の講義動画:ドイツの話、講義の最後で行うとお伝えしながら、受講者の皆さんからの質疑の時間などを優先した結果、時間が取れない結果となってしまいました。個々に楽しみにしていたということをお伝えいただき、私自身も申し訳ない気持ちと是非お話しできたら良かったという思いでおります。その代替に必ずしもならないかもしれませんが、私がドイツから帰国して4ヶ月後の2022年中旬に、社会心理学の講義において、今回行う予定だった講義と同じ内容をオンラインで配信した動画が残っています。今回の受講者の方でご希望の方には、その講義動画のURLをお伝えしますので、ご希望があればメールでご連絡ください。メールアドレスは初日の講義資料の中にもあります。(2023.8.12, 13:12)
総括/まとめのレポート
講義内で紹介した参考書、言及したトピックに関連する参考書
小坂井敏晶 (2013) 『社会心理学講義:<閉ざされた社会>と<開かれた社会>』 筑摩書房
山岸俊男 (1990) 『社会的ジレンマのしくみ―「自分1人ぐらいの心理」の招くもの』 サイエンス社
シェリング, T.(著) 村井 章子(訳) (2016) 『ミクロ動機とマクロ行動』 勁草書房
チャルディーニ, R. B. (著), 社会行動研究会(訳) 『影響力の武器[第三版] なぜ、人は動かされるのか』誠信書房
今井 芳昭 (著) (2020)『影響力の解剖 パワーの心理学』福村出版
今井 芳昭 (著) (2018) 『説得力―社会心理学からのアプローチ』新世社
広瀬幸雄(編著) (2008) 『環境行動の社会心理学:環境に向き合う人間のこころと行動』北大路書房
広瀬幸雄(1993) 環境問題へのアクションリサーチ :リサイクルのボランティア・グループの形成発展のプロセス 36(3), 373-397.
杉浦淳吉(2003) 『環境配慮の社会心理学』 ナカニシヤ出版
亀田達也(1997) 『合議の知を求めて: グループの意思決定』共立出版
杉浦淳吉・広瀬幸雄(1998) 廃棄物処理における監視と罰則のジレンマを理解するための廃棄物ゲーム シミュレーション&ゲーミング, 8(1) , 51-56.
Thiagarajan, S. (2006) Barnga: A Simulation Game on Cultural Clashes - 25th Anniversary Edition. Nicholas Brealey.
吉川肇子・Thiagarajan, S. (2018) 『ゲームと対話で学ぼう: Thiagiメソッド』ナカニシヤ出版
杉浦淳吉 (2005) 説得納得ゲームによる環境教育と転用可能性 心理学評論, 48(1) , 139-154.
杉浦 淳吉, 吉川 肇子, 鈴木 あい子 (2006) 交渉ゲームとしての『SNG(説得納得ゲーム):販売編』の開発 シミュレーション&ゲーミング, 16( 1), 37-49.
杉浦淳吉(2014) リスクコミュニケーションとしての説得納得ゲーム (広瀬幸雄編著(2014) 『リスクガヴァナンスの社会心理学』, 第6章) ナカニシヤ出版
杉浦淳吉(2007) ゲーミングによる協働知の生成 (やまだようこ編著 (2007) 『質的心理学の研究法と教育法:語りを聞く』第18章, Pp.270-281)新曜社
矢守克也(1997) 集団意思決定の合理性・非合理性 (広瀬幸雄編著 『シミュレーション世界の社会心理学:ゲームで解く葛藤と共存』第6章 Pp.89-104) ナカニシヤ出版
ジャニス, I. L. (著) 細江達郎(訳) (2022) 『集団浅慮ー政策決定と大失敗の心理学的研究』新曜社(Janis, I. L., (1982) GROUPTHINK: Psychological Studies of Policy Decisions and Fiascoes, 2nd Edition, Cengage Learning Inc., Boston, MA : USA)
社会心理学とはどのような学問であるか。このことを日常生活における様々な事例を探索しながら、なぜ人々はそのような行動をとるのか、なぜ人々はそのように考えるのか、といった問いを探求する。こうした作業を通じて、社会心理学という発想を身につけていく。最初に、社会心理学とは何かについて、その歴史と方法からアプローチする。その上で、社会心理学の基礎と応用について展開させていく。前半の基礎に関しては、1)個人が他者をどうとらえるか、2)個々人によって形成される集団の機能や意義をとらえつつ集団間の葛藤とその解決、3)個人と集団との関係としての社会的ジレンマの発想、を学ぶ。さらに、4)社会と文化との関係、5)社会におけるコミュニケーションの機能、6)集団意思決定の特徴、について学習する。後半の応用については、最初に説得と態度変容の理論を学んだ上で、1)消費行動、2)環境行動、3)リーダーシップとキャリア、4)インターネットという社会、について検討する。
本講義では、以上のように社会心理学が対象とする現象やそれを理解し将来を予測するための理論を学んでいく。時間に限りがあり、そのすべてを扱うことはできないが、特に次のようなことは重点的に検討する。社会における個人の行動がどのように生じるのか、そうした個人の結果が積み重なってどのような社会が形成されるのか、個人や社会の在り方に問題が生じた時にどのような解決策がありうるのか、そうした集団や社会の中で個人は何を考え行動するのだろうだろうか、個人の行動の結果,集団や社会はどのように変化していくのだろうか、といったことである。このことについて,日常生活にかかわりの深い事例を取り上げながら社会心理学的な発想を紹介し、不可思議だった考え方や行動がなぜ生じるのかについて理解することを目標とする。
受講人数やその他の状況にもよるが、講義の一部に「ゲーミング・シミュレーション」というゲームを活用した問題解決手法を導入することがある。対面での講義でなければ実現できない方法を用いた講義を目指す。受講者で小グループを形成し、話し合いなどを行うことがあるので、履修に際してそのことへの了解をいただきたい。