省エネ行動のゲーミング
東京ガスとの共同研究

省エネ行動のゲーミング

「エコファンディングゲーム」

説得納得ゲーム(SNG:販売編)を応用して開発された、ベンチャー企業と投資家役を担いながらESG投資について学ぶゲームです。

東京ガス都市生活研究所Webサイト(ゲームキットのダウンロードができます)

学会発表

杉浦 淳吉・三神 彩子(2022) サステナブル社会の実現に関する学習教材「エコファンディングゲーム」の開発  第33回廃棄物資源循環学会研究発表会

紹介記事

塾生新聞 環境問題を楽しみながら考える:エコファンディングゲーム

「ウルトラ省エネかるた」

「ウルトラ省エネかるた」は開隆堂出版より販売されています。

https://www.kairyudo.co.jp/contents/10_goods/900005/index.php

「エコな住まい方すごろく」

出典

「エコな住まい方すごろく」は開隆堂出版より販売されています。

https://www.kairyudo.co.jp/contents/10_goods/463069/


論文

杉浦淳吉・三神彩子(2020)  住環境と省エネルギー学習教材としてのすごろくの開発と学習効果  30(1), 45-54. 


ゲームの概要

このすごろくは,住生活環境への関心および住宅リフォームに対する理解を高め,省エネルギー行動の促進につながるような生活を実現することを目的としています。ゲームは4名1組で行い,所用時間は25分程度,導入や振り返りも含め50分の授業で実施できるよう設計されています。


住生活における問題構造を「問題認識」,「住宅リフォーム」、「問題解決」、「行動改善」、「地球環境」の5つパートからなる時間的な流れとしてボード上に表現し,個々の内容について順に理解し,トータルとして住生活における省エネ行動や住宅リフォームのできるようになっています。


各マスの内容により当初持っている100ポイントが増減し,最終的にポイントが高いプレーヤが勝者となります。リフォームゾーンで住宅リフォームにポイントを投資するか否かの意思決定を行い,問題解決ゾーンでリフォームの効果が確認できるようになっています。こうした過程を通じてゲーム中でのポイントが現実世界の何に対応するのかを理解し,ゲームと現実とを関連づけられるよう工夫されています。このゲームは中学校や高等学校で実際に活用されている他,家庭科教員の研修などでの活用方法もあわせて利用できます。


「省エネ行動トランプ」

出典

省エネ行動トランプは開隆堂出版より販売されています
https://www.kairyudo.co.jp/contents/10_goods/311795/


論文

杉浦淳吉・三神彩子 (2016) 「カードゲームのデザインと実践による省エネ行動」シミュレーション&ゲーミング, 27(2), 87-99.


開発の概要

省エネ行動トランプを作成するきっかけは、東京ガス新宿ショールームで、グリーンパワーに関連するワークショップを研究の一環として実施してみないかという提案を受けてのことでした。2014年度、慶應義塾大学の杉浦(以下、杉浦研究室)は、東京ガス株式会社(以下、東京ガス)および一般社団法人日本ガス協会と省エネルギー行動の普及促進に関する共同研究を行っており、その一環で親子向けのイベントを企画することになったのです。このイベントは資源エネルギー庁のグリーンパワープロジェクトとのコラボレーションとして準備が進められました。


杉浦研究室ではゲーミング・シミュレーションを用いて環境行動をはじめ、社会における人々の様々な行動について検討してきています。とりわけ、杉浦が10数年にわたり開発と実践を重ねてきた「説得納得ゲーム」を用いて省エネ行動の促進と抑制の要因を検討し、あわせてゲームの参加者のエネルギー学習と行動実践の機会を提供する取り組みを2014年度に行ってきました。新宿ショールームでのイベントを企画するにあたり、当初はこの説得納得ゲームを子ども向けにアレンジすることを構想していました。


他方、トランプゲームによって社会問題を設定し、その問題解決について検討するという取組も行ってきています。トランプの「ダウト」をもとにした「廃棄物ゲーム」(広瀬, 1995)を長年にわたり大学の社会心理学の講義において環境問題の理解に活用してきていますし、日本シミュレーション&ゲーミング学会でも2014年に「カードゲーム研究部会」が設置され、カードゲームを社会問題の解決に生かす取り組みも進められています。このトランプという遊びを省エネ学習に活用ができないかということを考えた訳です。


省エネをトランプやカルタにする発想は、何も今回のプロジェクトが独自のことという訳ではなく、例えば京都府温暖化防止推進センターで「省エネトランプ」が作成されています(本プロジェクトでも、そのトランプを大いに参考にさせていただきました。感謝申し上げます)。ただ、そのトランプをどのような構成で作成するのかとか、どういった遊び方をしたらよいのか、といったことは様々考えることができます。ここでは、とてもポピュラーな「七並べ」を取り上げることにしました。


七並べは、大きく2つの特徴があります。一つはカードを規則に従って並べていくということです。もう一つは、その規則に従って並べる際に他のプレーヤを妨害することができるなど戦略性が要求されることです。こうした特徴をもつ七並べについて、2つの大学の講義で受講者の方々と社会心理学や環境行動の観点から検討を重ねました。七並べのルールについては、久留米大学文学部の人間行動心理学特講という集中講義の中で様々なルールのバリエーションを考案する取り組みをしました。また、慶應義塾大学文学部の社会科学特論という講義では、今回のクリスマスイベントの検討を前提に、省エネトランプの内容やイベントの内容を考えるという取り組みをしました。今回の省エネ行動トランプは、したがって久留米大学や慶應義塾大学の学生さんたちとのコラボレーションでもあったのです。


幸いにして、省エネ行動トランプは多くの方々に関心をもっていただき、家庭で遊んでいただきながら省エネについて考えるだけでなく、環境学習の研修にも活用されるなどしています。今後は、さらに活用範囲を広げるべく、新たなイベントや学校教育で活用していただくことも視野に入れて検討を進めています。


省エネ行動トランプに関する記事

オンラインジャーナル「オルタナ」で紹介されました。

  トランプで変わる?子どもの省エネ行動


関連サイト

ゲームで学ぶ省エネルギー行動