2024年10月26日(土)、27日(日)サイエンスアゴラに出展
https://scienceagora.jst.go.jp/2024/booth/409.html
https://scienceagora.jst.go.jp/2024/
化学反応ゲームのお問い合わせ先: jsugiura@keio.jp
参加者の皆さんは、それぞれ水素元素、酸素元素、炭素元素になり、水、二酸化炭素、メタンを作ったり、化学反応を人間同士で表現することを行っています。多くの皆さんが体験してくださっています。
化学反応ゲームは、人と人とのつながりやグループの形成・分裂などを化学反応のパターンにたとえ、人々が元素の役割を演じながら理解していくものです。
日常生活には「CO2の削減」など,化学の知識で直接説明されることもあれば、社会活動における共同作業の創発性が良い具合に「化学反応」した結果であるかのように語られることもあります。化学研究者と社会心理学研究者のコラボレーションとして、人々を化学の元素と見立て、化学反応を人と人とが結合(手を繋ぐ)したり分離(手を離す)したりすることを経験できるゲーミング・シミュレーションを開発しました。ゲームでは、日常生活に欠かすことのできない化学を理解しようとするだけでなく、化学反応のパターンを人間の社会にあてはめることで人々の葛藤やその解決といった社会心理学現象を理解できるようにすることを目指しています。
「化学反応ゲーム(Chemical Reaction Game; CRG)」では、参加者が対面状況で化学における元素の役割を担い,個々人が集団を形成したり(化合)解散したり(分解)を繰り返しながら,集団のダイナミックスを体験するゲーミング・シミュレーションです。参加者は元素記号のカードを手に持ち(あるいは名札ケースに入れて首から吊り下げ)、プレーヤー自身を化学の元素と見立て、相互にカードを示しながら、化学反応のルールに基づいて分子化合物としてグループを形成できるかどうかを判断します。例えば、プレーヤー AはH(水素)、プレーヤー BもH(水素)、プレーヤーCがO(酸素)のカードを持ち寄って集まればH2O(水)を作ることができます。それぞれの元素の重量の合計を得点として計算しますが、勝利条件はこのほかにも様々に設定することができます。
化学反応ゲームを経験することで、対人関係や集団間関係を学べたことがプレーヤーの感想からわかっています。例えば、化合の法則(結合のルール)は決まっているので「相手が見つからずに仲間はずれを作ってしまう」状況が生じますが、「求められる人と求められない人がいるといる時に、その場で出現したリーダーがどのようなグループで結合したらよいかうまくコーディネートしてくれた」といった協力行動も見られるようになりました。
このゲームの応用として、どのような条件のもとでどのようなグループ(化合物)を作るかは、目的に応じて様々な設定が可能です。プレーヤーが作成した化合物(グループ)の分子量を得点とするのであれば、それは多くの参加者によってグループを作成することで勝利に近づくを意味します。このゲームでは化学反応のルールに基づいて他のプレーヤーと結合することができないプレーヤーが出現することもあります。その場合においても、化学のルールが原因であり、対人的な好みによって仲間外れになったのではないという点で心理的安全性も保証されます。ルールの設定次第で化学と社会心理学の融合による様々な応用的な展開が可能となります。
科学技術振興機構(主催)サイエンスアゴラ2024
2024年10月26日(土)、27日(日)
https://scienceagora.jst.go.jp/2024/booth/409.html
https://scienceagora.jst.go.jp/2024/
ドイツニュースダイジェスト No.1212 (2024年2月16日)
化学反応ゲームで社会の分断と統合を考える
http://www.newsdigest.de/newsde/regions/reporter/hannover/15215-1212/
文・写真:田口理穂
Sugiura, J. & Renz, F. (2024) Gaming of chemical reactions as metaphors to enhance understanding of interpersonal relationships and group dynamics. The 55th ISAGA conference. (University of Canterbury) 2024年7月9日 ポスター発表+ライトニング発表(Best Poster Award 授賞)
杉浦淳吉・フランツ レンツ (2023) 「化学反応から社会を考えるゲーミング」, 『日本シミュレーション&ゲーミング学会2023年度秋期全国大会発表論文集』, Pp.16-17.
杉浦淳吉・フランツ レンツ (2021)「気候変動問題の理解を目指したゲーミング:メタファーとしての化学反応」 『日本シミュレーション&ゲーミング学会2020年度秋期全国大会発表論文集』, Pp.76-77.
杉浦淳吉(2024) 「化学反応ゲームという発想」環境文明21会報 2024年2月 Vol.32 No.2
以下のようなオリジナルS&Gの調査研究を行う有志による研究会です。
SNG研究/エコファンディングゲーム(EFG)
利害調整ゲーミング(ステークホルダーズ,市民プロフィール,ハッピーマイホームなど)
省エネゲーミング (東京ガス株式会社との共同研究)
ボードゲーム活用方法の開発
化学反応ゲーム(CRG)
社会心理学とS&Gとの関係