「プレゼンテーションやスピーチがうまくできず悩んでいます。」という相談をいただくことがあります。いくつか、プレゼンのコツを伝えるだけでも、ぐっと良くなったと喜んでくれる子どもたちを見ているととてもうれしくなります。さらに興味がある子には、普段からできる上達方法を教えています。それが、質問の答え方を工夫する方法です。今日のコラムは、少し意識するだけでわかりやすく伝える練習になる「質問上手に答えるポイント」といったものを整理してお伝えしたいと思います。
では、順にやりやすいものから説明していきます。とその前に、まずは大切なことを2つおさえておきます。質問に答えるためには「質問の意図を正しく理解する」ことと「質問されたことに正しく答える」という立場に立つことがまずは必要であるということです。そのうえで、次の3つを心掛けてみましょう。
レッスン1:感想ではなく意見をできるだけ明確に述べる
(例えば)学習活動において、活動の振り返りの場面で「今回の活動について意見を出してください。」という質問が出されたとしましょう。よくある答え方として「今回の活動の計画はわかりやすくて、みんなとても頑張って取り組んだと思います。」といった形で感想を述べる方がいます。この場合、「今回のような活動は、今後も続けていくべきだと思います。他の学年の子にもわかるように計画をより分かりやすくまとめていくとより良いと思います。」などと肯定的な立場であることを「意見」を述べる形にして話すと、質問に答えていることになります。質問の意図は、意見を求めているわけで感想を求めているわけではないことを理解できるといいですね。これは、入試の集団討論や面接でも大切な点で、質問に感想を返しているようでは十分な成果は得られません。
レッスン2:否定的な意見と肯定的な意見のバランスをとる
(例えば)文化祭の準備をしている時に「今から教室の展示を始めるんだけど、今から手伝えますか。」という質問をされたとしましょう。その時、別の準備を頼まれていて忙しかったとしましょう。そんな時「すいません。今は別のことをやっているのでいけません。」と答えることが普通だという人、こう変えてみましょう。「すみません。今別のことをやっているので、終わり次第すぐに手伝いに行きます。」少し違うだけですが、質問の答えが肯定的な内容で終わっています。相手は、来てほしいので質問しているのですから、ただいけないと答えるのではなく、行く意思があること、行けるように努力することをしっかり伝える答え方が必要になります。
レッスン3:結局、結論は何?と思わせないようにする
(例えば)野球の試合について「今日の部活の練習試合の結果教えてよ」という質問をされたとしましょう。その時、次のように長々と順を追って「最初の打席は三振で、その後1点入れられて、途中でピッチャーが交代して、試合には勝った。」と答えたとします。あくまでこれは、例にあげたような聞き方の場合ですが、相手の質問の意図は、結果を知りたいという気もちにあるはずです。だとすれば、最初に結果を伝えてしまいましょう。「2対1で逆転勝利したよ。抑えのピッチャーも大活躍だったよ。」などと結果と特徴を先に伝えて、必要なら詳しく説明を加えていくと質問に対する答え方としては端的でわかりやすいものになります。他にも比較を加えたり、建設的意見を交えたりと様々な質問への答え方の工夫がありますが、まずは、この3つを試してみると質問に対して質問で返したり、感想で返したりするような答え方から脱することができます。
プレゼンテーションは一方的に話すことにかなりの時間を割きます。そのため、話しの組み立ても複雑になりますし、わかりやすく見せる方法も高度になります。日頃から質問に答える際に意図を理解し、わかりやすく適切に答える習慣を大切にしていくことは、プレゼンテーションや説明する場面へとつながる日常のトレーニングとなるはずです。よろしければ試してみてください。
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