ケアレスミステーク、通称ケアレスミスは見落としや見間違い、慌てているときの些細なミスや油断している時、読み間違えた時の不正解まで様々です。今日のコラムでは、最近のニュースを通して感じたことをこのケアレスミスという視点から考えてみたいと思います。テストや仕事でケアレスミスをしたことのある人には共感していただけると嬉しいです。
さて、ここ最近のニュースで、マイナンバーカードに関する話題がありました。具体的には厚生労働省の調査で、2021年10月から22年11月末にかけて、約7300件の特定の情報が、本人以外の人のマイナンバーと結びついていたといった趣旨の内容です。本人以外がその情報を知ることができてしまうわけですから、非常に大きな問題として取り上げられています。具体的には、病院や薬局などで保険証として使用したときに、自分ではない人の薬の使用状況や治療にかかった費用つまり、医療費などが見えてしまう、または、見てしまうということでした。今は対応がとられていますし、今後の再発を防止する対応も始まっています。
国が進める、マイナンバーカードと健康保険証を一体にした「マイナ保険証」を医療機関で原則として使えるようにするこの取り組みは、大変便利であるだけではなく、社会的なコストを削減していくことにもつながる重要な政策の一つです。行政のデジタル化につながるもので、利用者である私たちにとっても、証明書の発行や社会保険の手続きなどなど様々な点でベネフィット(恩恵)を得ることができます。
今回の問題は、この新たな仕組み自体に問題があるのでしょうか?それとも別のところに問題があるのでしょうか。問題の本質はどこにあるのかを考えることはとても需要な社会的視点です。
まず、問題の原因は、ほかの人の健康保険証の情報が、本人ではない人のマイナンバーにひもづけられてしまったところにあります。そのミスが発生した原因は、健康保険組合などの保険者が被保険者の健康保険証とマイナンバーカードをひも付ける際に、同姓同名や生年月日が同じ別の人の登録をしてしまったことが原因だと考えられています。個人を特定する要素として氏名と生年月日の両方が一致するだけでは十分ではないということです。逆に考えれば、氏名と誕生日、年齢が全く同じであってもマイナンバーさえ正しく登録できていれば、別人の診療や処方箋の情報などが間違って知らされるということは防げるわけです。
新しいシステムを運用しようとする中で人間が作業を進めていくとき、このようなミスが起こるときがあります。発生して初めて気が付くミスもありますが、今回のようなケースはあらかじめ予想できる、想定内の問題だったでしょう。それは、日本では過去に紙からパソコンに処理や記録の方法を移行していく際に、年金の登録、土地の台帳、様々な面で似たようなミスをしているからです。例えば「消えた年金問題」はその代表的なもので、大きなニュースになったことを覚えている人も多いかと思います。
それ以降、様々な対応がとられ、この問題の改善に努めてきました。便利で親切で安心な生活を新たなソリューションによって手に入れていく過程では、転換期(変わり目)に注意が必要なのです。教育界でもギガスクール事業により一人一台のPCやタブレットといった端末機器が配られました。使用頻度や使用方法の研究が進んでいる地域や学校がある一方でそうでない地域もあることが問題となり始めています。そうです。これも時代の変わり目に起きる現象の一つです。変化は一律ではなく、変化についていけない部分が出てくるのです。
ケアレスミスを辞書で調べると、「知識や能力の不足ではなく、不注意による誤り。 そそっかしい間違い。」と記されています。せっかくの努力、新たソリューション、それらの力を発揮させるためには、「不注意による誤り」は「そそっかしい間違い」という軽い言葉では済まないのです。ですから、ケアレスミスをチェック体制の強化や作業工程のスリム化で防ぐ努力は世界中、様々な企業でも取り組まれています。
ケアレスミスを通して学ぶことが、ミスを防ぐ方法を学ぶことにつながり、よりよい成果へとつながるのです。試験や日頃のテストで不注意やそそっかしい間違いを防ぐ方法を工夫していくことは、減点を防ぐこともそうですが、このミスとの向き合い方を学ぶことができます。自分なりのケアレスミスの防ぎ方をたまに考えてみるのも大切な学習の一つにしてみてください。