英語の理解度や活用力を判断する方法として、いくつかの検定や資格試験があります。例えば、今日お話しする、実用英語技能検定もその一つです。他にも、国際ビジネスコミュニケーション協会が主催しているTOEICや通信教育事業を展開するベネッセコーポレーションが主催するGTEC、米国非営利教育団体が運営するTOEFL(TOEFL iBT)など 様々な機関が英語の力を測る取り組みを後押ししています。
英検をはじめとする英語の習得状況を測る取り組みへの関心は年々高まりを見せています。では、それぞれはどのような特徴があり、どのように学習を進めていったらよいのでしょうか。そうした疑問にすべてお答えはできませんが、参考までに少しまとめてみたいと思います。
まず、特徴についてですが、日本では、一番なじみのある方が多い、実用英語技能検定(英検)からお話しします。なんといっても、日本の義務教育、高等教育で学ぶ英語の内容や進度に準じて各級が構成されているという点が、受けやすさの要因だと考えられます。例えば、3級は英語の基礎の集大成として中学校で学ぶ内容がその出題レベルとなっています。
これが、準2級となると英語の応用力、つまり使える英語を習得していくための級となるわけです。3級は中学卒業までに学ぶ、2,000語前後の語彙数を理解しておくことが必要なのに対して、準2級は3,000語前後の語彙数が必要となります。レベルも高校中級となりますからそこには、かなりの差があります。
このように取得している級(段階)を聞いただけで、どのくらいの英語への理解が備わっているのかがわかるわけです。この「どの程度の習得具合なのかがわかる」ということを利用しているのが大学入試や就職試験となるわけです。ですから就職の際の履歴書には2級から記載するのが通例となっています。また、中学校受験では小学校終了程度の4級または、中学校終了程度の3級以上を記載しますし、高校入試では3級、準2級以上を記載します。
先に述べたほかの検定についてもその目的や特性に応じてみていくと各検定がどのようなものかわかります。例えば、TOEICは、リスニングとリーディングの2つの技能が問われる試験であり、ビジネス英語に特化しています。この特徴から、大学生や社会人の方が多く取得を目指している英語資格となります。また、GTECは、英検と同じく英語4技能を測定する検定で、比較的新しい英語検定です。私立中・高一貫校の多くで採用されているなど中高生の受験者に人気です。最後のTOEFLは、母国語が英語でない人たちの英語力を判定を目的に開発された試験です。こちらも英検と同様、英語4技能を測定します。このスコアは、英語圏の大学や大学院に留学する際の合否判定に用いることができる資格です。
それぞれの検定や資格試験が、目的に応じて少しずつ特徴があることが分かったかと思います。また、合格に必要な得点の目安を英検を基準にして比較することもできます。日本国内での活用を目的として作られてきた英検ですが、国際基準の資格試験ともしっかりと比較できるようになっています。例えば、英検準2級のレベルをGTEC CBTのスコアに換算した場合、1400点満点中およそ510~879点程度になりますし、TOEICのスコアに換算した場合は、990点満点中およそ385~785点に該当します。
英検のスコアそのものを採用している海外の大学や大学院もあることからも、英検の内容自体が国際標準へと進化している側面があります。加えて、英検の学習はただ習得の程度が証明できるという点だけではなく、大学入学共通テストにもつながる学習なのです。準2級の学習には、日常生活に必要な英語を理解し、使用できることが求められています。3級までとは違い、英語の応用力を身につける必要があることは先ほどお話ししました。問題に扱われる題材は、身近なトピックに加え、専門的な話題や科学的な題材を用いた長文の穴埋め問題などが加わります。問題文や用いている内容自体のレベルが上がるのです。そして、この問題の形式が、大学入学共通テストの形式と非常に共通点が多いのも特徴です。
一昔前であれば、英検をはじめ多くの検定が年に数回しか受験機会がなく、会場も非常に限られていました。しかし、今日では会場や受験機会も増え、オンラインでの受験など様々な受験方法を選択できます。必要なのは、受験の方法や学習の方法をしっかりと身に付け、検定という目標設定のしやすい段階別の力量形成の仕組みを有効活用することです。合格する体験は自信につながりますし、失敗しても目標が明確になります。英語をただ学習するだけでは、なかなか身についた力を測れない、実感できないという悩みも英検を通して解消されます。
英語は世界を広げるツールです。「やったもの勝ち」といった感覚でどんどん学んでいってほしいと思います。
動画ではもう少し詳しくお話しています。
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