高貴なαは救われないΩを飼育する

～バース王国物語編～

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　　タイトル【高貴なαは救われないΩを飼育する

～バース王国物語編～】

⛄あらすじ
　産まれたその瞬間、人は必ず〈バース診断〉を受ける。Ω・β・α――その区分は、かつて「バース国」が築いた研究施設によって定められ、いまや国家制度として揺るぎなく根づいていた。この世界では、最も多いのは△＝Ω。だが、豊富に存在するがゆえに、Ωはしばしば低く見られ、とりわけ〈男Ω〉は珍しさと同時に卑しいものとされ、性的な奉仕や身の回りの下働きを強いられることが多かった。さらにその中でも、15歳を迎えた男Ωは〈モア〉と呼ばれる発情期を持つため、ひときわ貴重な存在とされる。多くは貴族や王族のもとに引き取られ、番としてではなく奉仕のために身を捧げさせられるのが常だった。だが、その日を迎える前に命を落とす者も少なくなく、「10歳まで生きられれば幸運」とまで言われている。一方、βやαは幼い頃から研究施設により厳密に選別され、それぞれの道を歩む。βは国家の基盤を支える存在として、騎士・医師・警備・料理人・獣医など多様な職を担うための教育を受ける。αは「高貴なる者」として貴族の屋敷に送られ、政務や武術を磨き、支配階級としての未来を約束される。――産声をあげたその日から、人生は決められてしまう。「運命」を制度化したこの国で、抗おうとする者の物語が始まろうとしていた。