令和8年3月27日、MGH Simches Research Centerにて80名超の参加者をお迎えし、ミニシンポジウムおよびMGH日本人会懇親会が開催されました。シンポジウムでは高橋誠一郎総領事のご挨拶に続き、5名の登壇者が研究成果や米国でのキャリア形成について講演されました。Boston Medical Odyssey(BMO)の研修グループも参加し、ボストンの地で異なる省庁の取り組みが交差する場に立ち会うことができました。懇親会には初めて現地日系企業もご参加いただき、アカデミアと産業界・政府関係者が一堂に会する大変活気のある会となりました。専門や職種・世代を越えた日本人同士の交流がさらに広がっていくことを期待しています。
(BMO事務局・MGH 小児外科 / Goldstein Lab 堀田 亮 先生)
ヒルシュスプルング病のマウスモデルを用いた腸管神経再生の研究についてご説明いただきました。小児消化器を専門とする私の研究テーマとも重なる部分があり、腸管神経・免疫・上皮の相互作用という観点から多くの示唆を得ることができました。またオーストラリアで臨床経験を積んだ後アメリカで研究に取り組まれている先生のキャリアにも触れ、国や分野を越えた多様なキャリア形成についても学ばせていただきました。
(小児科 松岡 諒先生)
一時的血液キメリズムを用いた免疫寛容誘導という革新的なアプローチや、より臨床応用性の高いDelayed toleranceプロトコルについて詳しくご説明いただきました。「なぜ一時的なキメリズムが長期免疫寛容につながるのか」という未解明の領域にも強い知的興奮を覚えました。臨床と研究を両立しながら世界を牽引する先生の姿に大きな感銘を受け、「情熱を持って取り組み続ければ夢は叶う」という言葉は留学を志す私にとって大きな励みとなりました。
(医学科6年 石原 大翔さん)
米国に渡られた経緯や英語習得の具体的な方法、現在の研究内容について詳しくお話を伺いました。特に印象的だったのは、研究上の課題に対して徹底的に自ら調べ、必要な技術を持つ研究者へ迅速にコンタクトを取るという行動力であり、研究者としての姿勢に強く感銘を受けました。私の研究についてもご示唆をいただき、先生の研究室が持つ技術との接点も見えてきました。結果として約7時間にわたりお話しするほど非常に充実した時間となりました。
(産婦人科 森 祐介先生)
脳卒中や白質障害、オリゴデンドロサイトに関する研究について詳しくご説明いただきました。自身の研究内容を紹介させていただいたところ、今後の研究で迷いがあった部分に対して的確なアドバイスをいただき、進むべき方向性を定めることができました。NIHのグラント査読ミーティングが控える大変お忙しい時期にもかかわらず丁寧にご対応いただき、大変感謝しております。
(再生医学研究部/血管外科学 笠 兼太朗先生)
研究を通じて新しい発見をすれば多くの患者さんを一気に救うことができるかもしれないという実例を目の当たりにし、研究が臨床へとつながる時の威力を垣間見ることができました。市瀬先生ご自身の姿や研究から「研究がexcitingである」ということを肌で感じ、将来的に臨床だけでなく研究にも力を入れたキャリアを形成したいという思いを強くしました。
(医学科6年 奥田 りなさん)
エーテルドームにて
本学腎臓・高血圧内科の横尾教授の腎再生研究と深い関係がある異種移植の研究に興味を持ち見学に伺いました。林先生よりマウス移植モデルのWet研究とOmics解析のDry研究についてご説明いただいた後、研究室内を見学し、MGHの有名なエーテルドームにもご案内いただきました。参加者それぞれの質問や相談にも丁寧にお答えいただき、大変充実した訪問となりました。
(腎臓・高血圧内科 大庭 梨菜先生)
2025年11月のアメリカ腎臓学会でお目にかかった際に見学をお願いしており、当日は腎臓・高血圧内科の医師3名と医学科6年生の計4名で伺いました。AKI to CKD・ARPKD・オルガノイドを用いた創薬研究といった研究内容に加え、ボストンでの生活や多様なキャリアパスについても、参加者一人ひとりの質問に丁寧にお答えいただきました。Harvard・MGH/BWHでの研究者・PIとしての魅力と厳しさの双方を改めて実感いたしました。
(腎臓・高血圧内科 大庭 梨菜)
共同ホストとして迎えてくださった飯島先生・柏木先生
飯島先生・柏木先生が共同ホストとして迎えてくださり、それぞれの研究についてプレゼンテーションをいただきました。飯島先生からは変形性関節症および加齢変化のメカニズムについて、柏木先生からはレーザーを用いた新規治療法の開発についてご紹介いただきました。後半のラボ見学では、プレゼンテーションで紹介されたレーザーを用いた可視化技術を実際に拝見することができました。異なる専門性をもつ二つの研究室を同じ機会に訪問でき、研究内容を実際の設備・技術を通して理解を深められた大変恵まれた訪問となりました。
(小児科 松岡諒先生)
同じ運動器を扱う医療者として、変性のメカニズムや再生の可能性に踏み込んだ研究のお話に感銘を受けました。特に運動療法に対するレスポンダー・ノンレスポンダーを評価する手法については「そもそも評価すること自体が可能なのか」と目から鱗が落ちました。実臨床で運動療法の効果判定に悩む中で、今まで考えたことのない発想に出会えた大変貴重な訪問となりました。
(整形外科学講座 佐藤 眞先生)
OCT技術の研究を行うTearney Labを訪問しました。慈恵医大で取り組まれている消化管壁の透明化技術がまさにこの研究室で必要とされているとのことで、今後の国際共同研究への発展が期待される内容でした。異なる研究領域が交差する場面に立ち会えた印象深い訪問となりました。
(外科学講座 下部消化管外科 阿部正先生)
Ayata先生は神経血管疾患のトランスレーショナルリサーチに特化した研究をされています。訪問時にAyata先生はご不在でしたが、慈恵医大脳神経外科から留学中の府賀先生に研究室についてご説明いただきました。その後、SAHモデルマウスを用いた実験(頭蓋骨からプレパラートを留置しての脳実質リアルタイム画像撮影、大腿動脈カテーテル留置、頸動脈の露出、外頸動脈断端からのフィラメント挿入)を見学させていただきました。SAH発症直後の拡散性抑制(傷外性脱分極)に関するリアルタイム画像は大変興味深く、脳神経外科医としての府賀先生の臨床経験と技術が動物実験の手技にいかに活かされているかを目の当たりにする貴重な機会となりました。
(再生医学研究部/血管外科学 笠 兼太朗先生)
Neurologyをご専門とするMusolino先生は、遺伝子疾患・脳卒中・血液脳関門と脳血管機能への影響などに関する研究をされています。ミーティングが終日詰まっているお忙しい中、直接お話しいただける時間をいただきました。自分の興味や研究内容をお伝えすると、関連する研究者をご紹介いただき、研究環境や内容についてもご説明いただきました。また、脳動静脈奇形患者の脳葉切除検体を用いたin vitro動脈灌流実験の動画や解析内容も共有していただき、大変印象深い訪問となりました。
(再生医学研究部/血管外科学 笠 兼太朗先生)
抗体薬に関する研究についてお話を伺いました。また、自身の大学院での研究内容について発表し、治療薬の模索などについて有意義な意見交換を行うことができました。自身の研究テーマと接点のある議論ができた充実した訪問となりました。
(外科学講座 下部消化管外科 阿部正先生)
筋ジストロフィーとミトファジーの2つのテーマで丁寧にご講義いただきました。常とされてきたマジョリティの意見に対しても懐疑的な目を持ち、現象を曇りなき目で捉えようとする安原先生の姿勢に研究者としての良きプライドを感じました。「機能だけを見て判断しないこと」「原因と結果を混同しないこと」「全速力で走り続けること」など、臨床・研究・キャリアにおける教訓となる言葉をいくつもいただき、今後の人生の糧となりました。
(東京慈恵会医科大学6年 奥田 りなさん)
脳腫瘍研究を中心にされている先生より、研究室の見学と研究内容のご紹介をいただきました。手術の限界を感じたことが留学・研究への動機となったとのお話に、強い覚悟と情熱を感じました。また後進の育成にも積極的に取り組まれており、教育や日本人研究者同士の連携への貢献の姿勢にも深く感銘を受けました。
(医学科6年 山﨑 礼さん)
研究室の見学と研究内容のご紹介に加え、キャリアやボストンでの生活についても幅広くお話を伺いました。ハンチントン病をはじめ遺伝子の異常を原因とする変性疾患の研究が着実に進んでおり、将来的には治療が可能になる未来が訪れるとお聞きし、知らないところで医学が飛躍的に進歩していることを実感いたしました。また、「偉大な方は人間性も素晴らしい」という言葉を体現されるかのように、学生の私にも丁寧にわかりやすくお話しいただきました。初期研修・後期研修先の選び方や医局選びの視点、その先のキャリア形成についても具体的なアドバイスをいただき、自分の今後を考えるうえで大変参考になりました。惜しみなく与え続けるギバーとしての姿勢に深く感銘を受け、自分もそうあれるよう人間性を磨いていきたいと思いました。
(医学科6年 山﨑 礼さん)
腸–脳–免疫連関に関する統合的な研究アプローチに強い印象を受けました。オキシトシンを介した神経免疫調節や、腸内細菌叢とミクログリアの応答を結びつけた研究は独創的であり、トランスレーショナルな意義が高いと感じました。また、自身の研究について発表する機会をいただき、有意義な議論を通じて新たな視点を得ることができました。自身の粘膜免疫研究の視野を広げる大変貴重な訪問となりました。
(小児科 松岡諒先生)
これまで行ってきた多岐にわたる研究内容(Light-Powered Nanoplatforms for Disease Diagnosis and Therapy)について丁寧にご説明いただき、施設内のナノ医療と光医学を用いたイメージング機器なども実際に見せていただき、大変印象的でした。最後は雑談形式で、アメリカでの日々の生活の面白さや、自分の研究室を維持し続けていくことの大変さなども率直に教えていただきました。どの話も大変興味深く、質問に対しても大変丁寧にお答えいただきました。
(再生医学研究部/血管外科学 笠 兼太朗先生)
グループワークの様子
実際の授業に参加し、KJ法を用いたグループワークを通じて課題の構造化や本質的な問題抽出のプロセスを実践的に学びました。多様なバックグラウンドを持つ学生同士が科学的根拠に基づいて議論を深めていく姿勢から多くの刺激を受けました。臨床医としての経験を個々の患者にとどまらず集団レベルの健康課題へと昇華させる視点の重要性を学び、今後のキャリアを考えるうえで大きな示唆を得ました。
(研修医 大門 幸恵先生)
施設内の展示スペース
浦島先生がかつて留学されていたKen Anderson Labを訪問し、日本の多発性骨髄腫診療における現状と課題について発表する機会をいただきました。英語でのプレゼンテーションには大変苦労しましたが、発表後にDr. Munshiと研究室で検討中の研究について詳細にお話しすることができ、今後の診療へのモチベーションを大いに高めることができました。
(腫瘍・血液内科 長尾 陸先生)
留学中の研究内容とボストンでの実際の生活についてお話いただきました。データ収集から全て自身で行う必要がある日本とは異なり、与えられたコホートを用いた研究に集中できる環境という米国の最大のメリットを活かして研究をされた先生の姿勢は、大きな参考となりました。生活費や治安など実際に住んでみないとわからないことについてもお話いただき、日常生活のイメージを深めることができました。帰国間近のお忙しい中お時間を割いていただき、誠にありがとうございました。
(腫瘍・血液内科 長尾 陸先生)
CICUのラウンドをシャドーイングする機会をいただきました。特に印象的であったのは、医師によるプレゼンテーションを家族も同席して聞き、その場で質問が出る場面でした。米国では患者自身がアプリを通じて診療情報を閲覧できると伺い、医療情報は患者本人のものであるという考え方がより根付いていることに驚かされました。医療情報の共有のあり方について改めて考えさせられた訪問となりました。
(小児科 松岡 諒先生)
Boston Children's Hospitalの歴史を含めた院内ツアーに参加し、同院が小児医療分野において世界を牽引してきた背景について理解を深めることができました。未熟児網膜症に関する研究についてもご説明いただき、基礎研究と臨床が密接に結びつきながら新たな診断・治療法の開発へとつながっていく過程を学びました。小児患者という特性を踏まえた研究の重要性と社会的意義についても認識を深める貴重な機会となりました。
(研修医 大門 幸恵先生)
午前中にESDを2件、午後にEMRを2件見学し、最後にロボット内視鏡を体験させていただきました。米国内でESD指導医はわずか10名しかおらず、そのうち3名が日本人であること、相原先生は近隣5州で唯一のESD指導医であることに驚かされました。国際学会DDWでの面接から留学を実現し、約15年間アメリカで走り続けてこられた先生のキャリアは非常に勉強になるものでした。
(外科学講座 下部消化管外科 阿部 正先生)
3月22日から26日までの5日間、手術見学を中心に臨床の場に参加させていただきました。心臓移植から始まり、弁膜症手術・冠動脈バイパス術・緊急大動脈解離手術に至るまで幅広い手術を見学し、日本よりも合理的で無駄のない術式から実践的な多くの学びを得ることができました。最も印象に残ったのは甲斐先生のAcademic Surgeonとしてのマインドセットです。常に患者を第一に考え、移植心臓の輸送デバイス開発のための臨床研究にも取り組まれている先生の姿勢に深く感銘を受けました。日本人がアメリカで臨床を続けることの困難さとそれを乗り越えてきた経緯についてもお話しいただき、大変参考になりました。
(心臓外科学講座/分子疫学研究部 雨谷 優先生)
椎間板変性や軟骨再生の研究について、日々の脊椎荷重を模倣できる独自開発のティッシュバイオリアクターを見学しながらご説明いただきました。訪問直前にin vitroモデルに関する内容でNIHの大型グラントを獲得されたとのことで、研究の勢いを肌で感じました。水野先生からは研究者としての在り方について直々にお話しいただき、大変貴重な機会となりました。
(再生医学研究部/血管外科学 笠 兼太朗先生)
留学に対して抱きがちな華やかなイメージとは対照的に、これまでの地道で困難を伴う努力の積み重ねについて率直に語っていただきました。数多くの悔しい経験や苦しい状況を乗り越えながら現在のポストに至っているというお話に深い感銘を受け、留学の本質的な意義について深く考えさせられる訪問となりました。
(産婦人科 森 祐介先生)
Brigham and Women's Hospital救急部門を見学しました。70名以上の医師が在籍し、研究費を獲得している医師にはその規模に応じて臨床・研究・教育のエフォートが配分されるなど、研究時間が制度的に保障された環境に強い印象を受けました。実際の救急現場では、外傷患者への対応においてルート確保・エコー・カルテ記載それぞれの担当が明確に分かれており、医師が全体の把握と意思決定に集中できる体制の合理性を実感しました。日本との違いを肌で感じながら、今後の医療体制のあり方について深く考えさせられた訪問となりました。
(小児科 松岡 諒先生)
「神経インターフェースで生理機能を再配線する」をキャッチフレーズとする研究室を見学しました。研究室メンバーの方から、消化管の神経調節を目的とした経口デバイスに関する研究についてご説明いただき、そのプロトタイプを実際に見せていただきました。医工連携の重要性と面白さを強く実感する訪問となりました。
(再生医学研究部/血管外科学 笠 兼太朗先生)
研究内容やこれまでのキャリアについてお話を伺い、米国における研究環境やキャリア形成への理解を深めることができました。日々の研究活動における考え方や取り組み姿勢についてもご教示いただき、研究を継続・発展させていくための重要な視点を学ぶことができました。国際的な研究環境に身を置くことの意義と、キャリアを主体的に築いていくことの重要性を改めて認識する機会となりました。
(産婦人科 森祐介先生)
初めてMITおよびBroad Instituteを訪問しました。フローサイトメトリー機器が何台も並ぶ光景には大きな衝撃を受け、このような環境への憧れを感じました。一方で「研究者の多い環境では、自ら計画を立て実行する力が求められる」というご助言は、自分にとって適切な環境を冷静に見極める視点の重要性を改めて考えさせてくれるものでした。また、先生ご自身のIBD関連研究についてもご紹介いただき、臨床の視点からも非常に興味深く拝聴しました。大規模研究機関の環境を知るとともに、今後の研究環境やキャリアについて考える大変貴重な訪問となりました。
(小児科 松岡諒先生)
KIT遺伝子変異関連疾患を専門とするバイオベンチャーを見学し、全身性肥満細胞腫に対する分子標的薬研究の現状と課題についてお話いただきました。日本ではなかなか見学できない企業内の研究環境に触れただけでなく、血液内科医としての立場から日本の診療の現状について意見交換ができたことは、学術的にも大変貴重な機会となりました。
(腫瘍・血液内科 長尾 陸先生)
グローバルに展開する事業の概要や、医療・ヘルスケア分野を含めた幅広い領域での取り組みについてお話を伺いました。研究や臨床とは異なる視点から社会に価値を提供する仕組みについて理解を深めるとともに、企業において求められる視点もご教示いただきました。医療分野に携わる者として、より広い視野で社会との関わりを捉えることの重要性を改めて実感した訪問となりました。
(産婦人科 森祐介先生)