■学校名
嵯峨美術大学
■代表者名
鶴田小雪(大3)
■他メンバー
なし
■担当教員(指導者)
なし
1000年続く“馬のいる祭り” ― 宮崎県美郷町・御田祭
■作品概要
宮崎県美郷町で1000年以上続く「御田祭」は作物の豊穣を願うとともに、かつては農耕に欠かせなかった牛や馬を神田に入れて田を耕す「牛馬入れ」などを行う伝統行事です。現在、家庭で馬を見る機会はほとんどなくなりましたが、美郷町ではこの「馬が活躍する祭り」を守り続けています。私は御田祭で活躍する馬を育成する方に取材し、祭りの継承の裏にある努力や思いを記録しました。馬と人の関係が変わっても祭りが「生きた文化」として受け継がれる姿を現場の空気をそのまま封じた映像や熱気とざわめきが息づく生きた音の記憶と共に伝えます。
■探究の動機や目的
私の地元にも馬が活躍する祭りがあり、幼い頃から馬はとても身近な存在でした。そのため、近年そうした「馬がいる祭り」を持続していく難しさや現代人の価値観の変化などを感じ、どのようにすればこの文化を未来へ残せるのかを考えることがありました。
そんな中で、美郷町の御田祭は約1000年続いている祭りであり、「馬が活躍している」という事、継承の苦労があるとテレビの番組で知ったことから関心を持ちました。
実際に現地を訪れ、祭りの熱気や馬の息づかい、そして地域の人々の思いを直接感じ、その生の声を映像で記録することで伝統と馬との関わりを最もリアルに伝えたいと考えました。
■探究の方法や内容
本作品は、映像を通して御田祭の現場とそこに生きる人々の思いを伝えることを目的としています。実際に美郷町を2度訪れ、前夜祭と当日の祭りの様子を記録しました。取材では、祭りに関わる地元の方々や馬を育成する関係者の方々に直接お話を伺い、映像と音声で「生の声」を収録しました。祭りの準備や進行、馬と人との関わりを多面的に撮影することで、伝統行事としての姿だけでなく、そこに込められた地域の思いや努力を映し出す構成としました。
■感想と今後の課題
取材を通して、御田祭ではかつて家族の一員として働いてきた馬が、今では地域の象徴として人々に誇りをもたらしていることを感じました。馬を飼い続けるには多くの費用や労力がかかり、後継者などの課題もありますがそれでも人々が「馬がいる祭り」を守ろうとする姿に強く心を動かされました。
映像制作者として、私はその「今まさに続いている努力」や「変わりゆく瞬間の美しさ」を残すことに意味があると考えています。祭りはいつか形を変え、馬が関わることも難しくなるかもしれません。しかし、映像という記録は現場の空気や音、人の声を最も生々しく未来へ伝えることができます。だからこそ今この瞬間を見つめ、丁寧に撮ることが大切だと感じました。
また、現地で実際に人々と対話しながら撮影することで、資料やネットでは得られない“生の熱”を体で感じることができました。今後も現場に足を運び、映像の力で「馬と人の関係」を記録し続けたいです。