■学校名
青森県立三本木農業恵拓高等学校
■代表者名
斉藤こうろ (高2)
■他メンバー
安田敬斗 (高2)、見付琴音 (高2)
■担当教員(指導者)
鶴ヶ崎世結
動物由来資源の活用法~馬炭+α編~
■作品概要
本県唯一の学科「動物科学科」では全国でも珍しい「馬学」という授業があり馬に関する学習に取り組んでいます。その中でも馬術部があり、馬を現在6頭飼養しています。日常管理の中で、ボロ(馬糞)が1日1頭当たり約15キロ排出されている中で、堆肥としての利用の他にボロ(馬糞)の用途がないか課題研究「馬学研究室」でのテーマとして掲げ、動物由来資源の可能性探求として「馬糞の炭化」に着目しました。PRポイントとして、炭化させることにより、脱臭効果、敷料の代替に置き換えることが可能である。また、堆肥に混ぜることで良質なミネラル分を含んだ土壌改良材としても期待が持てる。限りある資源を有効活用した新しい馬糞活用法の確立を目指しています。飼養環境改善に炭化+αとして本校敷地内に自生し落葉している杉の葉を回収し、害虫の忌避効果として効果のある「フィトンチッド」成分の効果検証にも合わせて取り組み、馬の行動観察を通しての検証に繋げていく。
■探究の動機や目的
動機は、毎日排出されている馬糞の用途が「堆肥」のみであり、他に馬糞の有効な活用法があるのではないかと考えた。家畜の敷料として使われている敷料に籾殻があるが、籾殻くん炭として利用すると畜舎の臭気が軽減されることが報告されていた。堆肥としての利用もあるが、馬糞を炭化させることができれば敷料の代替だけでなく、臭気対策にも繋がるのではないかと思い探求テーマとした。馬糞の水分を飛ばし、乾燥状態にしてガスコンロにて炭化させることによって、馬房内における臭気対策および、敷料の代替として利活用することを目的とした。また、防虫対策として本校に自生している杉を用いて葉に含まれる「フィトンチッド」も合わせて検証し、忌避剤としての可能性を探ることとした。
■探究の方法や内容
①馬糞の回収。
②自然乾燥とし(48時間)かけて乾燥させた。
③家庭用ガスコンロにて馬糞の炭化を行う。
→焼成温度:700℃、焼成時間約3~10分として100g当たりの炭化量を求めた。
④対象区、試験区を設けて敷料に馬炭を散布し臭気対策改善調査を行う。
→検知器によるアンモニア濃度測定の実施(馬匹2頭)の馬房内
⑤本校敷地内に自生し落葉している杉の葉を回収し、粉末状に加工。杉葉香を作製する。現在、本校馬房内では害虫忌避として蚊取り線香を焚いているが、代替品として使用することでの害虫忌避効果を検証する。防虫成分であるフィトンチッドを含んでいるため効果があるか検証する。
■感想と今後の課題
①馬糞の炭化に時間がかかり、敷料代替に可能な量を確保することは現実的ではなかったため、燻炭器を活用して大量に製造していきたいと思ったプロジェクトである。
②馬炭と並行して害虫忌避剤効果検証として「杉葉香」の作製に取り組み、実際の馬房内に燻煙処理したところ、馬に寄り付いていたサシバエが寄りつかなくなった。10分間の検証時間を設け、馬の行動観察から一定の効果があることが分かった。課題としては、燃焼時間が短く、効果はあったものの持続しないため円錐型から抹香型へ変更して再度、燃焼時間、防虫効果の持続時間を確かめていきたい。
③馬房内のアンモニア濃度の低減においては、対象区では測定濃度が比較的高く、試験区では馬炭の消臭効果が発揮され、低濃度となり、馬炭を混ぜ込んだ敷料の方においてアンモニア濃度の低減が見られた。また、各地点においての測定では排尿時の場所が特定されているため、一定地点のアンモニア濃度が高くなることが分かった。場所が特定することができれば、馬炭を散布し消臭効果が期待できる可能性が高いと思った。今回のプロジェクトを通しての課題を次年度に繋げて改善していけるよう今後も挑戦し続けていきたい。