先輩に聞く!第6回

誰かの役に立つ製品の開発にたずさわる

オートリブ日信ブレーキシステムジャパン(株) 技術部 小暮 佳奈子 さん (2011年学部卒業,2013年大学院修了)

-現在のお仕事の概要をおしえてください。

クルマの走る・曲がる・止まるを安全・快適にする製品(ESC:Electronic Stability Control)の制御部分開発です。

-大学院を修了されていますが、大学院進学のきっかけを教えて下さい。

進学のきっかけは、就職活動をして自分のスキル不足を感じたことです。進学を決断したのは4年生の4月頃でした。就職活動を進めていく中で「これをやった」と自信を持って言えず、問題解決までの考え方や知識が不足していると感じました。そこで、大学院の2年間で日々の研究や発表などを通して少しでも自信が持てればと思い、大学院に進学しました。また、所属研究室の大学院の先輩方のようになりたいと思ったこともきっかけのひとつです。先輩方は分からないことを聞くと一緒に考え、教えてくれました。研究発表も誰にでも分かりやすい資料と説明の仕方でした。そのような姿を見ている中で、自分も先輩方のようになりたいと思いました。

-大学院2年間の生活はどうでしたか?

大学院での2年間はとても充実していました。毎週、研究の進捗報告のため輪講があり、それに向けて研究を進めて資料を作成し、指摘されたことを確認しながら進めていきました。研究自体は必ずしもうまく進むことばかりではありませんでしたが、先生や先輩、同期からアドバイスをもらい、根気強く進めることができました。学会発表や修論発表もあり事前練習を何度もすることで発表する力をつけることにつながりました。また、大学院生になると研究室内に後輩ができますので、進捗や資料の確認をすることもありました。振り返ってみると、いくつかのことを同時進行させるという良い経験ができたと思います。

-大学院に行って良かったと思うことや、現在の業務に活きていることなどはありますか?

仕事をする上で「報告・連絡・相談」は必須であり、自分の考えを理解・納得してもらえるための簡潔な説明や資料が必要です。私は大学院生の時に、一週間の取り組みや成果を資料にまとめ、毎週、定期的に進捗報告をしていたので、報告の仕方を身につけることができました。また、学部生に分かり易く教えることを意識していたことも、現在の仕事の「報・連・相」に活かせていると考えています。

-現在、製品開発の仕事をされていますが、開発業務を目指したきっかけは何でしたでしょうか?

大学・大学院での研究内容がロボットの制御だったため、制御関係の仕事がしたいと考えていました。生産技術など他の部署でも制御関連の仕事は出来るかもしれませんが、自分が携わった製品が市販の車に搭載され、事故の防止につながり誰かの役に立つような仕事がしたかったため、それが比較的直接実現できる開発を選びました。

-学生時代の取り組みが今に活かされていると感じることはありますか?

大学では車輌型ロボットの制御をしていましたが、自動車に関してはまったく知識がありませんでした。初めは会議などに参加しても略語や専門用語などが飛び交って何を話しているのか分かりませんでしたが、学生時代を思い出し、ある程度乗り越えることが出来ました。大学のときの技術や知識をそのまま活かすことは中々難しいかも知れませんが、経験を活かすことはできると思います。どのように工夫するか、説明方法や資料のまとめ方などはレポート作成や卒論を進める中でも身につけることができると思います。

また、業務でMATLABを使用しています。大学で使用経験があったため、使い方などは違いますが取り掛かりやすかったです。

-研究・開発職を目指す後輩達へのアドバイスをお願いいたします。

大学での経験が、直接的ではないかもしれませんが、必ず活きてくると思います。多少のミスをしても学生のうちであれば問題ないと個人的には思っていますので、色々なことを試してみてください。そこから得た成功や失敗を次の機会で改善できれば良いと考えています。

また、開発に限らないとは思いますが、仕様設計の際には必ず社内で整合をします。そこでは詳細内容を把握していない方にも自分の考えを理解、納得をしてもらう必要があります。そのため、説明資料の作り方、説明方法のスキルが求められます。大学生のうちに進んで様々な経験を積み、そして積極的に試行錯誤してみてください。

-学生時代にやっておくと良いと思うことなど、在学中の後輩達へのアドバイスをお願いします。

私は開発の仕事に就いてからまだ3年弱ですので、まだまだ不十分なことばかりです。ただ、仕事をするなかで重要なことは、知識や技術ももちろんですが自分の考えを人に納得してもらえる力だと日々感じます。知識や技術は会社に入ってから身につける部分も多いと思いますが、説明力は大学内で上げることができると思っています。

また、今年度から外資系企業との合弁会社に所属することとなり、今まで以上に英語の必要性を実感しています。まだ英語の会議に参加したことはありませんが、英語を使う機会は格段に増えています。社内でも英語研修はありますが、今からでも毎日少しずつ英語に触れる時間を作ってみてください。

今回の先輩が勤めている会社

日信工業株式会社