中野区松ヶ丘にある哲学堂公園は、井上円了博士が「哲学をテーマにした精神修養」の場として創設した、世界でも珍しい公園です。園内には哲学に由来する建築物や碑、池や坂などの風物などが点在し、哲学世界を視覚的に表現しています。また哲学堂公園は都内でも有数の花の名所として四季折々の風情が楽しめ、地域の散策・憩いの場として多くの人々に親しまれています。
1904(明治37)年、四聖堂の建設を皮切りに、六賢台・三学亭・哲理門が建設、大正時代に宇宙館と絶対城の建設をもって落成しました。実はこの地は狭隘となった当時の哲学館(東洋大学の前身)の新校舎予定地として用意されたものですが、その後の事情により大学移転は行われず、現在のような庭園となりました。
1944(昭和19)年に東京都に移管され、1975(昭和50)年からは中野区立公園となりましたが、その後も古建築物の修復、中野区有形文化財への指定など、積極的な保護活動が続けられています。
2009(平成21)年2月、哲学堂公園は東京都教育委員会より東京都の名勝に指定されました。
東洋大学のゆかりの地である哲学堂公園。本学では11月第1週土曜日、井上円了博士の遺志により哲学の普及を願う「哲学堂祭」を哲学堂公園内で開催し、井上円了博士の建学の精神を今なお受け継いでいます。
(11月 哲学堂祭/「宇宙館」内「皇国殿」における講話の様子)
園内の建築物・石碑・風物
哲理門(てつりもん)
瓦に哲マークが刻された哲理門(妖怪門)を抜けると、正面に四聖堂、右手に六賢台という、哲学堂公園の象徴的な建物が目に入ります。
六賢台(ろっけんだい)
「東洋的六賢人」として聖徳太子・菅原道真・荘子・朱子・龍樹・迦毘羅を祀っています。
四聖堂(しせいどう)
本堂に孔子と釈迦、西洋哲学のソクラテスとカントの「四哲人」を祀ります。各キャンパスにある「四聖」のオブジェと同じです。
東洋大学の碑
四聖堂前にあるこの碑は、『心を養う公園』と題し、井上円了博士の偉業を讃えています。
髑髏庵(どくろあん)
休憩所にまでこんな名前が。俗塵に汚された精神を清め、いよいよ哲学的雰囲気に浸るための準備の場所、という意味を持ちます。
宇宙館(うちゅうかん)
哲学とは宇宙の真理を研究する学問。ということで、その講話を行う場所としてこう名付けられています。哲学堂祭(毎年11月第1土曜開催)の講話が行われる場所です。
絶対城(ぜったいじょう)
図書室です。「万物の書物を読み尽くすことは絶対の妙境に到達する道程である」という意味から名付けられています。
先天泉(せんてんせん)
この泉の水が心の池へと流れる時は、先天の命令が心に伝わってくることを表しています。
哲学堂公園へのアクセス
所在地:〒165-0024 東京都中野区松が丘1-34-28
Tel/03-3951-2515
Fax/03-3951-2280
交通:西武新宿線「新井薬師前駅」から徒歩12分
都営大江戸線「落合南長崎駅」から徒歩13分
映像で見る哲学堂公園
中野区により制作された映像「国指定名勝 哲学堂公園『井上円了と哲学堂公園~現代を生き抜く哲学のすすめ~』」が2020年3月23日に公開されました。
本学の三浦節夫教授(元本学教授)が制作に協力し、映像中にも出演しております。
国指定名勝 哲学堂公園「井上円了と哲学堂公園~現代を生き抜く哲学のすすめ~」(26分)
映像説明(動画サイト 紹介文より)
中野区立哲学堂公園(国指定名勝)は世界でも例を見ない個性的な公園です。ドローンによる空撮映像を通じ、哲学堂公園の魅力を存分にお楽しみください。