投稿日: Feb 27, 2015 6:28:25 AM
はじめに
菌学若手の会では,珍奇な菌類(=珍菌)の日本一を決し,これを表彰する「日本珍菌賞」を創設しました.昨年の日本菌学会第57回大会の開催に合わせて第一回珍菌賞の選考をソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のTwitterを利用して行い,大きな反響を得ました(詳細は第一回日本珍菌賞報告を参照).
そして前回に引き続き,2回目となる珍菌賞の選考を,日本菌学会第58回大会(2014年6月14日から15日)の開催にあわせ,大会1ヶ月前の5月1日から31日までの期間に行いました.
決定!第二回珍菌賞!
選考期間中は100以上の珍菌関連ツイートがあり,最終的に20種の珍菌賞候補がエントリーされました.去年と被るかと思われましたが,上位入賞菌は全く新しい顔ぶれとなりました.今年の珍菌賞に選ばれた上位3種の菌は,
第1位 "スイーツきのこ" Mattirolomyces terfezioides(和名なし)
第2位 "禍々しき冬虫夏草" Cordyceps ignota(和名なし)
第3位 "立ち上がった腹菌" Thaxterogaster porphyreus(和名なし)
でした.
栄えある第二回日本珍菌賞は,最も反響の大きかった M. terfezioidesに決定しました.今回上位入賞した珍菌たちは去年を大きく上回る反響で,3位ですでに前回の受賞菌であるエニグマトマイセスのポイントを超えていました.また,和名のついている菌が一つもランキングしていないという点も目を引きます.
今回も日本菌学会第58回大会の懇親会の場をお借りして,第二回珍菌床の授賞式を行いました.授賞式では,みごと第二回日本珍菌賞に輝いたM. terfezioidesに代わり,本菌の日本初報告者である村上康明さん(大分県農林水産研究指導センター)に賞状を受け取っていただきました.残念ながら当日は授賞者不在のため,共同研究者の保坂健太郎さん(国立科学博物館)に賞状を受け取っていただきました.また今回も副賞として,元祖珍菌研究者,南方熊楠のデスマスク3Dクリスタルを贈呈しました.続いて,日本産M. terfezioidesの食味試験を行った山本航平さん(信州大学)にも登壇いただき,本菌を珍菌たらしめたその"甘さ"についてご報告いただきました.山本さんには特別賞として,奇譚クラブネイチャーテクニカラーのキノコストラップを贈呈しました.
なお,今回も副賞の南方熊楠デスマスク3Dクリスタルは,昨年の菌学会大会会期中に設置した「募菌箱」に集まりました募金と,今年の会期中に集まった募金で購入させていただきました.多くの皆様のご援助に感謝申し上げます.
また,ネイチャーテクニカラーキノコストラップは,奇譚クラブさんのご厚意で寄贈いただきました.この場をお借りしてお礼申し上げます.
最後に
第二回珍菌賞を開催するにあたり,twitterで多くの方々にご協力をいただきました.参加して下さった方々にお礼申し上げます.二回目とあって前回と比較して盛り上がりに欠けるのではないかと懸念していましたが,それは杞憂に終わりました.それどころかさらに魅力的で興味のそそられる菌類の存在に気づかされ,その魅力を発信することの意義を改めて感じました.来年も菌学若手の会は日本珍菌賞を開催しますので,みなさまの多くのご参加をお待ちしています.
(追記)
珍菌賞がハフィントンポスト紙のブログ記事に取り上げられました.