無形資産評価法のまとめ

無形資産の価値評価-評価法の分類と詳細

特許庁は2003年(平成15年)10月16日、(2003年(平成14年度)に(社)発明協会へ委託して実施した「特許流通市場における特許価値評価システムに関する調査」の結果を公表した。以下の表はその第3章-3、「価値評価システムの分析・比較」を参考にまとめている。

本節で参考資料には以下の2点が記載されていた。

鈴木公明,「特許価値評価法の変遷」,特技懇,2002.
刈谷武昭, 山本大輔, 『入門リアル・オプション―新しい企業価値評価の技術 (ニューエイジ・ファイナンス・シリーズ)』, 東洋経済新報社, p79, 2002.

 

  • 各種評価法のまとめ

分類

評価方法

特徴

特徴から考えられる利用分野

インカムアプローチ

DCF

(確実性等価法、リスク調整法)

将来キャッシュフローの変動性や事業やR&Dに失敗するリスクをすべてキャッシュフローに見積もり反映させる方法(割引率は安全利子率、確実性等価法)。

これに対して、割引率を事業リスクに応じて変化させる点に特徴があるのがリスク調整法。

安定的な収益が見込める開発分野。成熟、規制産業(確実性等価法)、医薬など開発フェーズでリスクが異なる産業(リスク調整法)

DCF

(モンテカルロ法)

将来利益に影響を与えるファクターを識別し、変動の影響に確率論的な要素を取り込む。

医薬、情報技術

リアルオプション

基本的には、利益に結びつくシナリオを描き、そのシナリオに基づき評価を行う。その際に、ブラック-ショールズ式を用いて行うブラック-ショールズ法、実現可能性を樹形図に考慮し、算定するデシジョンツリーアナリシスがある。また、1期後のシナリオが上昇、下落の二通りしかないと仮定した場合にオプション価格を求めるのは、バイノミアルアナリシスで可能である。

医薬、情報技術、電力・ガス、天然資源採掘など不確実性が高い産業

段階的に事業や開発が区切られている場合(バイノミアル)

25%ルール

特許から得られる税引前粗利益などの25%を実施料とする方法。

この慣行が行われている産業。

マーケットアプローチ

TRRUTechnology Risk Reward Unit)メトリクス(pl-x社)

ブラック-ショールズ式を用いて価値評価を行う。技術主体で収益を挙げている上場企業の株価を、現在の資産価値としてとらえる手法。

単一の製品を提供するピュアプレイ企業が存在する産業。

コストアプローチ

再調達原価法

特許などの無形資産を創造するために必要な原価に注目する方法。

基本的には、知的財産がもつ経済的価値は評価できない。

ヒストリックコスト法

実際の知的財産の使用者における過去のキャッシュフローを、インフレ率を用いて調整し、現在の価格に引き直す方法。知的財産を開発するに要した期間、及びその資産の有効期限を定義し、それに基づいて価値を算出する。

 

<関連リンク>
○価値評価の目的
○種々の評価法について
○関連書籍

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