特集蔵 動物たいこめ

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動物 たいこめ

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「まさかさかさま動物回文集」の復刊を記念して、同じモチーフでたいこめを作ってみました。すでに「たいこめの特徴」で試みていますが、ネコ、イヌといった2文字ではつまらないし、真ん中の折り返しで動物名をいれているとたいこめにはならないので、それらは外し、掲載順にやってみます。

例)「死にたいタニシ」→

「若稲田来たいタニシ」 「死にたいだ。汚い川」

回文とたいこめの違いや作り方のコツを実例に則して感じていただければ幸いです。


①「チンパンジィから怪人パンチ」

まず思うのは誰をなぐって、どうなったのかということ。

「カンカン、美人、パンチ食って」 「手着くチンパンジー、敏感か」

と、謝る格好をしても、

「叩けよチンパンジー。いたずら、また」 「たまらず退陣、パンチよけただ」

で、今度は餌でいじめて、

「よいバナナ、チンパンジィから取る。うれしい、もお!」 「思い知れ、ウルトラ怪人パンチ!七倍よ」

なんて反撃をくったという空想をしたのですが。

ついでに動物とは言いがたいのもできちゃいました。

<浮気にぎわう>:「夜、身持ち悪い、まるでチンパンジィ。あなた付け目よ」 「嫁、蹴ったな。愛人、パンチでる。参るわ、血も見るよ」


②「だらり午睡する、スイス・ゴリラだ」

はてな?スイス・ゴリラなんて存在しないのでは…。で、ちょっと改良型。

(午前)「強いな、示威か、叩いた胸もドン。ナイス・ゴリラだ」 (午後)「だらり午睡。なんとも眠たい。闘いしないよっ!」

たいこめではなさけない状況は後に持ってきた方が作りやすいのです。ただ、ナイス・ゴリラは変かも。もともと午睡はあまり使わない言葉なので、

「だらり午後、他でも楽」 「クーラーもで、過保護ゴリラだ」

なんていかが?


③「路地まる空き、アルマジロ」

なんで路地が空いているんだろうと考えてみます。

「角、並ぶことあるの?路地まる空きさ」 「先、アルマジロのる。後、コブラなどか」

毒ヘビがいたら空いてますよね。ついでに思いついたのですが<ラブコールするコブラ>なんてかなりインパクトありそう。「動物回文集」にはでていませんが、どこかにあるのかな。

もうひとつ、

「路地まる空き、柵ですか?」 「ガスで臭きアルマジロ」

ガスのネタはたいこめの定番です。


④「そう若くない、おいおい泣くカワウソ」

定跡どおり入れ替えて、なぜ泣くのか考えてみます。

「入れ、打つメッセージ。泣くカワウソ」 「そう若くなし、絶滅憂い」

もうひとつ、

最後の写真:「田へ来ては、そう、若い時いた。こいつは意外、長くさ」 「策がない開発以後、大義問いカワウソ 果て消えた」

暗くなっちゃいましたがこれが現実です。


⑤「菓子あたえ、肥えたアシカ」

このように原因→結果のような展開ができているものはやりづらいのですが、定跡どおり入れ替えてみます。

「寝る間、肥えたアシカ」 「菓子あたえ、困るね」

もうひとつ、今度は素直な順で

(芸しないアシカ)「二度ほんとに菓子あたえ、懇願か」 (芸のないアシカ)「ガンガン肥えたアシカ、2トンほどに」

まあ、こんな手もあるということです。


⑥「罪、ヒツジ、事実、秘密」

回文の大家、土屋耕一氏も干支の中で羊が難しいといっているそうですが…。ヒツジと秘密の関係は何かが問題です。

「出汁でんな。火いれ、クズ肉で罪。ヒツジ、ジンギスカン鍋だ」 「食べ、なんか過ぎん。事実、秘密で苦に。スクレイピーなんでした」

BSEは狂牛病として牛ばかり騒がれていましたが、もとはヒツジのスクレイピーでしたよね。

どうも罪と秘密の関係が強すぎて、逆順にするのは思いつきませんでした。そこで

「リードした罪、ヒツジ。実は手品でクローンかい」 「いかん、ろくでなしでバツ。事実秘密だし、ドリー」

まあ、そんなことはないと思いますが。


⑦「ビン取ったら、腹立つトンビ」

これも話ができあがっていますが、トンビがビンをとるなんてイメージではないですよね。そこで、

「ビン取ったらいたずらか」 「カラスだ。苛立つトンビ」

ビンをとるのはやっぱりカラスのイメージですよね。

逆にトンビのイメージはあまりなく、"♪輪を描いた~♪"ぐらいでした。そこで

病室の窓:「今、見たい顔は花瓶とったら外に」 「二度、空たつトンビが輪を描いた見舞い」

まあ、珍しくキレイ系になりましたが、その分インパクトには乏しいかも。


⑧「苦労モンキィ、最近もうろく」

話ができあがっていますが、「苦労も→もうろく」は定番なので最近に注目して、

「サバンナ・モンキィさ」 「最近もナンパさ」

サバンナ・モンキーはアフリカでよくみられます。

ペットとしては最近人気が低下しているようです。

ペットショップにて:「よいなら飼う。モンキィさ」 「最近儲からないよ」

他に「最近モロ影響も」 「もうよきイエロー・モンキィさ」なんていうのも考えましたが、動物ではないですね。


⑨「タイガー、あがいた」

「タイガーがいた」とすれば完全回文なのですが、さすがに面白くないのでしょう。まずは素直になぜあがくのかを考えてみます。

とらわれのトラ:「タイガー、歩けぬ草原(クサハラ)問いたげに」 「逃げたい虎は柵抜ける。あがいた」

返しの文にもトラをいれてみました。

逃げたいのであがいたという設定ですが、それほど意外性はないですね。こういう時は順番を逆にしてみます。

<サーカス出すがさ>:「立つ虎使いからあがいた」 「タイガー抗い、カツラ取った」

あがくのはトラより人間の方がおもしろいようですね。


⑩「キリン、寝ていて念力」

取り合わせが意外すぎるかなと思っていたら、会員作にありました。

「キリン寝かすさ」 「さすが念力!」

回文例だとキリンが寝ながら念力を使うようで、それがナンセンスでいいという向きもあるでしょうが、さすがに不自然では。

次はむりやりつじつま合わせで。

動物イリュージョン:「手離して、キリンねじれさ。また引田テンコー氏だね」 「ネタ仕込んでた機微。だまされじ念力、手品は手」

ついでに、念力といえば「できず身の念力は解け去ったわ。会うユリ・ゲラー氏」 「シラけ、理由。『泡立つ酒とはキリンね。飲みすぎで…』」なんて、動物ではないですが。


⑪「夜の通路くふう方法。フクロウ募るよ」

回文例だとフクロウが工夫したいのですが、どちらかといえば餌になる小動物のほうが工夫したいのではないかと思い、立場を変えて作りました。

「私が野ネズミ。わたいら通路工夫したわ」 「私、追うフクロウ。つらいわ、ミスね。逃したわ」

フクロウといえば知恵の象徴で長老のイメージがありますが、森も高齢化社会になってきたらこんなことに。

<出来ん答え。フクロウももうろく増えた。今期で>:「耳と目も悪い。もうフクロウ老年かい」 「いかんね、ウロウロ。工夫も要るわ、揉めと耳」


⑫「だめなカラス、安らかな目だ」

カラスはずる賢いイメージがあり、一般的には安らかな印象はないですよね。都会では増えすぎていますし。そこで安らかとなると、こちらに連想がいってしまいます。

「よしなカラス。やめな、くどいか、ノル鳴き方」 「敵(かたき)なるのかい。毒なめ、安らかな死よ」

ちょっと怖いですかね。今度は入れ替えてみます。

「島か。安らかな かの岸側さ」 「騒がしき野かな。カラス喧し」

まったく関係ないのですが、作成中にできちゃったので、一応書きます。

「ミル・マスカラス、冷淡言うも」 「もう引退レスラー、化す丸み」


⑬「懇意なインコ」

懇意にするのはやはり人間ですよね。そこでこんなぐあいに。

二人で育てた鳥を…:「懇意だった人。確かに割といい別れか」 「彼、かわいい鳥は逃がした。飛び立ったインコ」

昔の歌謡曲の歌詞みたいな展開ですね。今度は入れ替えてみます。

<留守にする>:「ご機嫌か。舞い戻る、巣にインコ」 「懇意にする友、今、感激後」

なんとなく前の作品の結末みたいになりました。でも、いまとつ面白みがないと感じます。「懇意」が平凡なのかも。そこで別なパターンも入れてみました。

「この娘(コ)の来るあてもでき、合コンいつだ。メンバー足しにインコ」 「懇意にした晩、目立つインコ。動きでモテ、歩くノコノコ」


⑬「大半モグラ、だらだら愚問吐いた」

モグラの愚問とはなにかを考えてみます。

「よく見たい?だめだめ『太陽、空』愚問談義」 「禁断モクラ、そうよ、傷めた目だ。痛み苦よ」

モグラは太陽を見ると死んでしまうといいますが…。今度は入れ替えてみます。

なぜ穴を掘るの?:「トンネルほど掘るね、盛ん。モグラかいた手もそこに住めばこそ」 「そこは雌にこそモテたいから、愚問重ねるほど掘るねんと!」

モグラになせ穴を掘るのかきくのは愚問でしょう。そこに土があるからだ!なんてね。おまけに別なパターンも。

<世のモクラは和らぐものよ>:「穴だとモグラ、スヤスヤ居眠りよ」 「より胸癒す。安らぐもとだなあ」


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