たいこめの特徴

たいこめの特徴

呼応しなくてはダメ

たいこめは2つの文の意味の呼応が原則です。呼応というのは問いに対して答えたり、漫才のボケとツッコミのようであったり、本音と建前であったり、過去と現在であったり、広いパターンがあります。タイトルで状況を限定して呼応をつけることもできます。たとえそれぞれは意味が通った文ができていても、呼応していないのは好ましくないのです。だめな例を次に示します(当会の事務局が作成)。

「知らぬ?ワシのことを。しらざあ言ってきかせあしょお」

「およし、汗かきで、ついアザラシ男のしわ濡らし」

旧たいこめとの違い

旧たいこめ(区別のため深夜放送の頃のたいこめをあえてこう呼ばせていただきます)では普通の文が逆さにすると無関係にとんでもない文になる意外性を楽しむわけですが、新たいこめでは関連づけが必要で、はじめから関連あるものが見つかればいいですが、ないときには技が必要になります。つまり、前後で関連をつけてしまうのです。旧たいこめの思い出の中には「0.6(レイコンマろく)」または「√0.6」という作品例がありましたが、これを使うと

「勃てば0.6メーター。照り、凄みたった」(ここの返し文は下品なので省略します。NGの見本だと思ってください)。

これが作り方の一つのコツでもあります。

回文との違い

会員の中には回文も作る方が多いのですが、勝手が違うといいます。まず、最も有名な回文「たけやぶやけた」のように奇数の音で折り返すことができません。回文でもたいていは端に対応しない字(音)が余ってしまい、そのつじつま合わせに「だ、よ」などの助詞を入れたりするのですが、たいこめでは両端とも処理しなくてはならないのです。それから、広い意味でオチをつけないといけないことでしょうか。竹やぶが焼けたとしても十分ありうることで、それだけです。これをたいこめにするとなると

「竹やぶ焼けた。水で済み」 「ミスで炭だけや。ふやけた」

てなぐあいに、それでどうしたの、ということが必要です。ちなみに「みずですみ」も回文ですから、回文だけ使ったたいこめもできるわけです。

回文の中にもちょっと不条理なものもありまして、そういうものが好きな方はたいこめ適性があるのではないでしょうか。例えば「死にたいタニシ」(「動物回文集」や複数のHP)っていうのはわけがわかんないけどなんかおかしいですよね。ちょうど1コマ漫画のようです。挿絵では金槌で自分を叩こうとしているタニシになっていました。でも、これをそのままたいこめにしても、なんで死にたいかわからないため、落ち着きが悪いのです。たいこめは2コマ漫画のように展開がほしいのです。例えばこんなふうに。

「若稲田来たいタニシ」 「死にたいだ。汚い川」

回文との類似

違いをいっておいて類似とは何だ、といわれそうですが、回文の方から近づくことはできるのです。いい例として、島村桂一氏が「回文ことば遊び辞典」P.167の中で同じ材料を使って2通りの作り方をしているので、紹介しておきます。”水源化 無駄ないなダム 歓迎す”と”「ダム 歓迎する」「水源化 無駄」”で、後者は”る”を省けばたいこめといってもいいと思います。前者のような無難な話を、後者のようにツッコミをいれて展開しています。つまりQ&Aとか掛け合い型のたいこめは「」をつけてひとつの回文だ、と主張すれば回文にできるわけです。

では、たいこめは回文の一部なのかというとそうでもなく、私が対比型と呼んでいる本音と建前、過去と現在のような組み合わせはさすがに回文として読むのは無理でしょう。対比型は掲載作品の中にいくつもありますから、捜してみてください。

余談ですが、こういった会話型の回文を作りたくなるというのは、たいこめという形式が魅力的である裏返しではないでしょうか。

02/05/11更新


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