対象バージョン : Aの魔法陣 バージョン3.x
この文書は、TRPG系のネットラジオにて好きなゲームをプレゼンするコーナーに投稿しようとして、結局投稿しなかった原稿のリライト版です。
面倒くさいので"話し言葉"を"書き言葉"に戻したりほとんどしてません。
どもーこんばんわ。たこすけと最近は名乗っております。
今回は、以前井上(仮)氏が紹介したAの魔法陣バージョン3を、オリジナルルールを作る上でのツールとしての観点からプレゼンしたいと思っています。
以前デザイナーの芝村氏がそんな内容のことをどこかでお話していて、かつ私が忘れていて、内容がかぶっている上に私が思いついたような口調で話す部分もあるかもしれませんが、カンベンしてください。
まー、そーゆー看板掲げて「Aマホはこわくないよー」といいたいだけなのですけれどね。
さて、まずはAマホのさらっとした説明から。
悪く言えば「スマートに口プロレスするゲーム」です。
よく言えば「自然言語をリソースとしたコミュニケーションゲーム」です。
あまりイイ印象もてませんね。
一応、ルールブック的には「相互理解」と「共通認識の構築」がAマホの目指すところです。
ンではどんな流れでやるゲームかっつーと、GM……このゲームではセッションデザイナー、略してSDって言いますけど、まーとりあえずSDってのは基本的に他のゲームでいうGMって認識でいいっす。
SDはプレイヤーに「お題」と、お題を解決するための「難易度」を発表します。
たとえば「遅刻せずに学校に登校する:難易度10」という感じです。
プレイヤーは、担当するPCの設定に沿って、その「お題」をクリアするために「行動判定」をします。簡単に言うと「遅刻せずに学校に登校する」というお題に対して、自分の持つ「成功要素」を使ってアプローチをする。
この判定を成功させることで、ゲームクリアに近づけていく。このやり取りの連鎖がゲームになっているわけです。
ンで、SDとプレイヤーの「お題」に対する認識がイコールに近づくと、すんなりとPCの行動を成功させることができるわけです。行動が成功すれば、「お題」が解決され、「お題」はセッションという“物語”となるわけですな。
さて、ここでTRPGでよくある話なんですが、プレイヤーにGMのココロを読むことを求めるGMっているじゃないっすか。……TRPGに限りませんけどね。
苦行っすよね。
Aマホのルールブックの多分3割くらいは、そんな苦行をプレイヤーにさせないための、SDベカラズ集になってるンすよ。
記述が理解しにくいだけで、ルール自体は簡単。それがAマホなのです。
ルールが簡単すぎて、事故らないためのハウツーいれてみたら読みにくくなった。っつーのが私のルールブックへの評価……かな。
ルール自体があちこちに散らばってて使いにくい。っつーのもありますが、時間がなかったんですかねェ。
今日はどっちかっていうとSD寄りの話なんで、もちっと続きます。
Aマホを遊ぶ際、SDはAマホという基本ルールと、A-DICというサプリメントを用意する必要があります。
ゲーム機とゲームソフトの関係みたいなモンです。ゲーム機がルール。ゲームソフトがA-DICっすね。
A-DICってのはSDがプレイヤーと遊ぶための「土台」です。もしくはコンベで卓立てるときの「お題」です。身内で遊ぶときは、プレイヤーからのリクエストもアリでしょうね。
A-DICは、公式から提供されているのは基本ルールブックに三つ「日常編」「ファンタジー編」「ウォードレス編」。リプレイブックに二つ「式神の城編」「ホラー編」。ガンパレードマーチ編として、一つ「ガンパレードマーチ編」。合計6個くらいかな。v2.5対応だと、ネットに公開されてるし、いちおうコンバートも可能だったりするのでもっとあるのかも。
さて、このA-DICってのはSDごとにカスタマイズされるモンです。基本ルールブックの範囲でも使うルール・使わないルールとかあります。なので、今回話しするのはA-DIC「タコスケ」みたいなもんです。
カスタマイズ可能ってことは、オリジナルでA-DICを作ることも可能です。
作るためのハウツーはルールブックに載ってなかったりしますが。
旧版であるv2.5のサイトに掲載されているので気になる方は調べてみてください。
今回はこのオリジナルのA-DICを作るってー話をメインにしていきまする。
とゆーことでAマホ自体の説明はこれくらい。
あとのほーでもまだ追加で説明とかすることあるんでカンベンヨロシクです。
で、オリジナルルール作成ツールとしてのAマホの話なんですが、オリルール作るときって、いくつかルートがあるじゃないっすか。
「新システム思いついたぜ」とか「世界観おもいついたぜ」とか。
で、Aマホを使うとよろしいかな? とか思うのは後者の「世界観おもいついたぜ」ってときなんですよ。
オリジナルルールを作るときに、「その世界観でTRPGのセッションが成立するのか?」を試すためにA-DICをでっち上げるのは、思いついてからテストプレイをするまでの期間短縮になるのです。
▼A-DICの書式にぶち込む
「世界の設定」「用語集」「キャラ作成データ」「スポットルール」といった項目にA-DICの書式にあわせて、思いついたワールドの用語とか設定をぶちこんでセッションを行い、セッションが無事クリアできれば、そのワールドはTRPGでヤれます。
これでセッションがスムーズに進行しない場合、世界設定とPCの設定とシステム、どこかに齟齬があります。
▼テストプレイの結果を検証
なぜそういいきれるのか? そも、Aマホ自体「失敗前提のセッション」を想定していて、「失敗の理由がわかりやすく」「次にうまくやる工夫を引き出す」ためのデザインがされているンですよ。
これは序文に書いてあります。ただし同じページに「セッション失敗したらルールのせいにしろ」「だけどそのルール運用したのはSDだよね」「SDが悪い」とも書いてあるンですけどね。
システムが悪い場合、もっと相応しいシステムを開発しましょう。もしくはアドバンスドファイティングファンタジーとかで回してみたらどうか。あるいはモンスターホラーショウ。
そうじゃない場合、世界設定とかコンセプトにユーザーの理解を阻むブレがある可能性があります。
特に、プレイヤーが「行動宣言」ができてない場合、A-DICにおける「世界の設定」と「用語集」とSDが提示したゲームの「お題」の方向性に不具合があります。
また、プレイヤーが「行動宣言」の時に「成功要素」を提出できないという場合、それはA-DICの「キャラ作成データ」に不具合があります。
▼不具合の検証とフィードバック
そもそもAマホのPCのキャラデータってのは、基本的に「キャラ設定」と「成功要素」しかありません。さらに言えば判定に使用する「成功要素」は「キャラ設定」から導き出せるものしか登録は認められません。たとえば「キャラ設定:伝説の勇者」だから「成功要素:勇者の剣が使える」とか、そんな関係になっています。
PCがもつ「設定」を十分理解して「成功要素」として変換し、みんなに明示する。それがAマホにおけるキャラクターメイキングなのです。
前述の通り、行為判定の成功は、SDとプレイヤーの「設定」に対する認識をいかにイコールに近づけることができるかにかかっています。
SDから見て、プレイヤーが自分のキャラの「設定」をどんなふーに理解しているのか? ってのは「成功要素」を見ればある程度想像できます。でもそれは、自分の勘違いかもしれない。
判断するには、そのプレイヤーさんが「行動宣言」のときに提出する「成功要素」の使い方を見ればいい。
誤解だったらそれを修正したり、質問してさらに理解を深めたりしながら、参加者間の共通認識を作り上げていく作業こそがセッションそのものだともいえます。
つまり、うまくセッションを進行させるためには、キャラクターデータの根幹である「設定」が参加者間で共有可能なものでなくてはなりません。
そのためにSDはプレイヤーが誤解や誤読をしにくい「キャラ作成データ」を提示してキャラクターの「設定」を作らせ、そのプレイヤーが「成功要素」をSDや他のプレイヤーに理解させやすいものとして変換できるよう受け皿を作る。
そーすれば、プレイヤーはそのゲームでどう動けばいいかわからない。とゆー事態は防げます。
積極的に共通認識を作っていかないと確実に、システム自体が回らない構造になっているので、設定の齟齬を見つけ出すのに適しているのです。
なんだか難しい話をしていると思われるかもしれませんが、キャラメイク用のデータさえ用意すれば大方プレイは可能です。世界設定は口頭かメモで説明できるくらいでいいじゃないっすか。
アイディアをばらばらにして書式に落とし込む過程で一人ブレインストーミングもできますよ。
オリジナルルールを1から作るとき、ちょっとしたデバッグ用ツールとして導入することで、少し楽が出来る。そういう使い方もありではないかと私は思うのですよ。
しかし。Aの魔法陣は万能の魔法の杖ではありません。
欠点があります。Aの魔法陣でオリジナルルールを遊ぶときに、最大の障壁になる欠点があります。
それは「プレイヤーに優しくない」ところです。
「一定のコミュニケーション能力が要求される」ことです。
「インプットとアウトプットが均衡している必要がある」ことです。
疑問があれば質問し、質問されたことに返答する。
この姿勢が、この能力が、SDにもプレイヤーにも要求されるのがAの魔法陣なのです。
半分寝ながらなんとなく能力値+サイコロ振って判定成功でお役目完遂!なんてこたぁできません。
※まぁ、SDが無限の優しさを発揮すれば「そのプレイヤーをいないものとして扱う」ということでなんとなくテーブルに存在することを許すことはできます。
Aマホのセッションに参加するプレイヤーは、真摯に自分のキャラの「できること」を分析し、実力が発揮できる「状況」を設定し、SDの提示するムチャ振りを打ち破る必要があります。それがゲームのコンセプトから引き出されるプレイ風景です。
ただ、始めはうまくいかないかもしれません。
むしろ、うまくいきません。
でも、「次はうまくやろう」
そう思うヒトには、うまく出来るようになってる実感を与えてくれる。
Aマホってそんなゲームだと思います。
実際、私はそこらへんの「ルールを乗りこなしてる感」を気に入ってるのでしょう。
これを聞いてくださっているヒトのなかで、ルールブックを買ったヒトもいるでしょう。
解読に手間取っているうちに遊ぶ気力を失ったヒトもいるでしょう。
でも、ちょっとでも「あそんでみよかな」と思うキモチがあれば、遊んでみてください。
偏っているSDですが、呼んでくれれば私もお手伝いできます。偏ってますが。
SDやってください。茨の道ですが。
あなたのゲームライフに不要なモノかもしれません。有用だったらなおOKです。
なれど、不要であるとわかったという情報は、きっとあなたのゲームライフにより強いベクトルを与えてくれるモンだとおもいます。
だって、TRPG好きなら、好きなルールあるよね?
おいらはまー、手軽なオリルール作成ツールとして、グダグダなA-DIC作って遊んでます。だから「Aマホこわくないよー」っていいたい。で、もそっと遊ぶ量増やしたい。5%くらい。ってことで、タイムラインとかでつぶやいてたら、なんか反応くれたりすっとうれしいです。
以上、プレゼンを終了させていただきます。
ご清聴?ありがとうございました。