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表紙の絵について

岡眞澄

化学教室を正面から描いたこの水彩画は絵の購入などほとんど経験のなかった私があるきっかけで17年前に購入した桑原綾子氏によるものです。

以下そのいきさつを少々記します。

1997年、所用で三越本店に行った時、6F の画廊で 「桑原綾子水彩画展」の案内を見て立ち寄ってみました。

明治大正時代に建築された洋館の絵が20点ほど展示されいずれも観ていて心和む作品でした。

鑑賞客も比較的少ない会場を見渡すと画家ご本人が私に話しかけられました。

物静かな口調で話される、私とほぼ同年代の女性に親しみを覚えて感想などを述べると、御自身について ご主人の看護で絵筆をしばらく握る機会もない生活をされてきて、やっとこれから絵を描ける環境になったこと。テーマとして歴史ある洋館を描いたのが今回の個展の作品であり、今後も洋館を描き続けたいと話されました。

私もつい調子に乗って「東大の本郷キャンパスにある理学部化学教室の建物も関東大震災後に残った美しい建築ですよ。」と話をしました。

展覧会場で作者と話をする経験は中学の同級生の個展以来でした。

その後連絡があり「化学教室」の建物を見てきたが、建物の前の木の葉が生い茂っているので葉が少し落ちたころ描くことにすると言われました。

2000年に三越で2回目の個展のご案内を受けてこの絵に出合った時、何かの縁と思い購入することにしました。

絵画を評価する能力は私にはありませんが、ベッドルームの壁に掛かったこの絵を眺めると今でも学生時代のさまざまな事を思い出し心が豊かになります。

ホームページの表紙にという話になりご本人に連絡すると「光栄なことです。どうぞお使いください。」と電話をいただきほっとした次第です。

(20171214)