舌小帯形成術

舌小帯短縮症、舌癒着症

舌小帯というのは舌の正中の裏面で口腔底と繋がるように存在するヒダ状の結合組織です。舌小帯の両脇の口腔底には左右の顎下腺で分泌された唾液を排出するワルトン氏管が開口しています。通常では舌小帯は薄くて軟らかい粘膜のヒダですから、舌を動かす際に邪魔になったり突っ張るようなことはありません。

舌小帯短縮症というのは、舌小帯が短い為に何らかの障害が起きている場合に診断が下されます。一般的に新生児は舌尖部分の発育が未熟なために、舌小帯は正常でも太めで短く、舌尖端が口腔底前部に癒着している傾向があります。

乳幼児で一見すると短く見える舌小帯も、成長するにつれ、舌の発育と共に短縮傾向の舌小帯であっても自然に退縮して細長くなるのが普通ですから、弊害があって手術的治療を要するケースはそれ程多いものではありません。

舌小帯短縮症と診断される病状としては、新生児や乳幼児で哺乳障害がある場合、幼小児以降では舌の動きが悪いためにラ行の発音が悪い場合、歯並びに悪影響がでている場合、歯に当たって外傷を受けやすい場合、義歯を入れる場合に邪魔になる場合、日常生活上で舌が前に出せなくて困る場合などがあります。通常の耳鼻咽喉科診療においても、口腔・咽頭・喉頭の検査や治療をする際に舌を前方に引き出すことが必要になることがあり、舌小帯短縮症を手術的に治療する場合があります。

舌小帯短縮症の治療は、新生児や結合組織が薄くて軽度の舌小帯短縮症の場合は短くなっている部分を鋏やレーザーなどを用いて簡単に切離するだけでもよいでしょう。

標準的な手術法は、厚く短くなっている舌小帯を横に切開してから、縦方向に縫合し延長するものです。

切除するだけの簡単な場合は保険点数で450点、短縮を矯正する形成的手術(舌繋瘢痕性短縮矯正術)は2,650点の手術です。

舌小帯短縮症の手術

舌を出すと舌先がハート形(W字)にくびれる

短縮舌小帯を横切開して縦に縫合し延長する

舌小帯形成手術後、舌尖の延長と舌可動性の改善が得られる