6.耳管狭窄症、混合性難聴に対する耳管通気処置
耳は鼓膜の外側を外につながる外耳道、鼓膜の内側が骨で囲まれた中耳腔という広い空間であり、空気が入っています。正常な状態のときは外の外耳道と中の中耳腔は気圧のバランスが取れていて、耳が塞がった感じはしません。
外気圧と中耳腔圧を調節しているのは耳管という成人で約3.5㎝の細長い管で、鼻の奥の鼻咽腔というところに開口していて中耳と交通しています。通常は閉じていますが、つばを飲み込んだりあくびをしたりすると、一時的に開いて中耳の内と外の気圧のバランスを取っています。
風邪をひいたりすると、耳管開口部のある鼻咽腔にまで炎症が波及し、粘膜の腫れや鼻汁の増加により耳管の通りが悪くなり、つばを飲み込んだり、あくびをしても中耳に空気を送り込むことが出来なくなります。この状態が耳管狭窄症です。こうなると中耳腔の空気は粘膜からどんどん吸収され、陰圧になっていきます。ひどくなると組織液が浸み出してきて滲出性中耳炎という中耳に水が溜まった状態となります。また自分の声が患耳に強く響くことがありこれを自声強聴と言います。
滲出液が溜まったいわゆる滲出性中耳炎の状態です。
左が鼓膜が陥凹して滲出液が溜まった状態、ここまでひどいと鼓膜チューブ留置の適応となります。
耳管通気処置とは
a.耳管カテーテルを鼻の奥まで挿入
する。
b.耳管咽頭口(開口部)にカテーテル
の先を合わせる。
c.耳管咽頭口(開口部)にカテーテル
がはまり、空気を耳管より中耳に
送り込む。
以上のような処置であり、耳管粘膜の働きを整え、中耳腔に溜まった液体を抜くために行います。一度の処置で効果が数日続く人もいれば、一時的な効果のみの人まで個人差があります。いずれにせよ根気強い継続が重要です。