8. 良性発作性めまい症と理学療法

良性発作性頭位めまい症 (BPPV)

めまいの中でも、比較的完治が早いのでそれほど深刻にならなくて良いでしょう。

(症状)

良性発作性頭位めまい症は、一番多いめまいです。寝ていて起き上がるなど姿勢を変えるなどで頭を動かすと、突然回転性のめまいが起こります。

めまいを誘発する頭の向きが決まっていたり、短時間で収まるのも特徴です。

(原因)

耳は外耳・中耳・内耳と分けられ、その中の内耳にある三半規管が平衡感覚をつかさどる器官になります。

三半規管はリンパ液に満たされているのですが、そのリンパの流れが乱れた時に刺激となりめまいが起こると考えられています。

最も多いのが、耳石器から耳石が剥がれ落ち半規管に入り込んで、頭を動かす事によりリンパの流れ、耳石の移動によりめまいが起こると考えられています。

(検査法)

■問診

・めまいが起きた姿勢

・めまいの症状

・嘔吐・耳鳴り・難聴などの有無

■平衡機能検査

・開眼・閉眼で静止できるか(直立検査)

・閉眼で50歩ほど足ふみできるか(足ふみ検査)

■眼振検査

めまい発生時には目が勝手に動いてる事が多く、それを専用の

メガネを掛け見ます。(フレンツェル眼鏡)

(治療法)

■エプリー法 <Epley法>

良性発作性頭位めまい症は、耳石の位置は眼振を見る事によりわかります。そして、眼振を見ながら体勢や頭の位置を変えながら三半規管内の耳石を排除しめまいを止めるという方法です。

ただ、めまいを誘発し探っていくので、つらい場合もあります。

(エプリー法は個人ではおこなわず専門医の指導のもとやりましょう)

■運動療法

この良性発作性頭位めまい症の特徴で、めまいの起こる姿勢を繰り返しおこなっているうちに、次第に発作が起きなくなるという事が知られていますので、この特徴を利用し、繰り返しめまいを起こし、慣れさせる療法です。

■薬物療法

内耳の機能を改善する目的で、抗めまい薬や循環改善薬などを処方します。

めまいに対する恐怖感が強いときは、抗不安薬を処方することがあります。

■カイロプラクティック

めまいは原因不明な場合が多くあり、良性発作性頭位めまい症と

診断された場合でもなかなか治らずに長引くケースが多々あります。

この様な場合は、首や頭などの歪みも関係していると思われます。その場合はカイロプラクティックによる矯正が有効です。

(良性発作性頭位めまい症に似ているめまい)

・頚性めまい :

頚椎の変化で起こるめまいは椎骨動脈の狭窄による小脳,内耳の循環障害が原因だといわれています。椎骨動脈は第6頚椎の左右の椎骨動脈管に入り、上位頚椎を通りそして体のバランスを司る小脳動脈に枝分かれして脳底動脈に達します。頚椎症に見られる骨棘による椎骨動脈の圧迫による小脳への循環不全が頚椎症によるめまいを引き起こすといわれています。

・椎骨脳底動脈循環不全症 :

椎骨脳底動脈は脳や平衡感覚に関係する部位への血液提供する血管で、首の左右を走るのが椎骨動脈といい、脳の下部で1本になり、脳底動脈となります。この2つを合わせて、「椎骨脳底動脈」といいます。これらが、何らかの理由で血流障害をおこすと、脳に十分な血液がいかずに、めまいが起こります。頭や首を回旋・伸展・屈曲などの動作によりめまいが起こりますが、安静状態でも起こる事があります。回転性めまいが多いですが、ふらふらとしためまいや、一瞬フラーっと目の前が暗くなるめまいが起こることもあります。また、頭痛・気が遠くなる・脱力感・しゃべりにくい・物が二重に見えるなどの症状も人によっては起こります。耳鳴り・難聴などは起こりません。めまいはすぐおさまりますが、何度も繰り返す傾向があります。