アレルギー性鼻炎と手術治療

外来でも出来るアレルギー性鼻炎の治療手術について説明します。原則として鼻の中にある下鼻甲介粘膜が反応して鼻炎を起こすので、この表面の細胞を焼灼、あるいはこれを切除することが原則です。また小学生や安定期の妊婦さんにも可能な手術もあります。

1) レーザー手術:

これには炭酸ガスレーザー、Nd:YAGレーザー、KTPレーザーがありそれぞれちょっとずつ特性が違うので、これは後に書いておきます。これはいずれも『レーザー治療』として種類はどうであれ、同じ保険点数。(つまり健康保険も効きます。

利点は

· 小学生や安定期の妊婦さんにも可能な手術である。

· 操作性が良い。(手技が簡単)

· 入院不要(レーザー手術単独なら)。

· 出血や疼痛が少ない。

· 再発時反復手術可能

欠点は

· 装置が高価。特にNd:YAGレーザー、KTP/532レーザーはかなり大きな病院にしかおいてない場合もあります。

· 煙と臭いが発生(これはそれほどひどくはないにしろ)

· 眼の保護が必要(これはきちんと手術の時に対処します)

· 痂疲形成が遷延することもある。(術後に粘膜につくものです)

2) 凍結手術:

小学生や安定期の妊婦さんにも可能な手術。

安定期の妊婦さんにも可能な手術ですがこれは主治医の先生と相談ください

利点は

· 入院不要

· 出血は比較的少ない

· 再発時反復手術可能

欠点は

· 装置がやや高価(なので、おいていない所が多いです)

· 鼻甲介(ここがアレルギー反応を起こして鼻詰まりなどの原因になる)でも特に後端の操作が困難

· 手術後高度な鼻粘膜腫脹(はれが一時的にひどくなります)

3) 電気凝固術およびアルゴンプラズマサージェリー:

レーザーでなく周波の高い電力を出す電極を利用して粘膜下に挿入凝固するものです。小学生にも可能な手術。安定期の妊婦さんにも可能な手術ですがこれは主治医の先生と相談ください。

電気凝固は下鼻甲介手術だけでなく装置(端子)を変えたらハナタケなどの切除にも使います。一般耳鼻科ではレーザー装置より安価なのでこれを使う所も多いようです。

利点は

· 入院不要

· 出血が比較的少ない

· 手術時間が短い

· 再発時反復手術可能

· 装置が安価なので今の段階ではこれを装置してる病院が比較的多い。

欠点は

· 煙と臭いの発生

· 熱感を伴う

· 下鼻甲介(ここがアレルギー反応を起こして鼻詰まりなどの原因になる)でも特に後端の操作が困難

· 痂皮形成が遷延することもある。

4) 化学焼灼術:

小学生にも可能な手術。安定期の妊婦さんにも可能な手術ですがこれは主治医の先生と相談ください

トリクロロ酢酸を用いて外来で下鼻甲介中心に塗布します。

表面のアレルギー性鼻炎を起こす細胞を焼灼することです。

長所は

· 操作が簡便(塗るだけですから)

· コストが安価

· 入院不要

· 再発時反復手術可能

欠点は

· 塗布濃度が不均一になりやすい。

· 鼻中隔との癒着が起こる場合もある(稀ですが)

· やや疼痛を伴います。(これは一時的です)

5) 下甲介粘膜切除術

長所は

· 切除範囲が自由に決められる

· 肥厚して1から4のやり方で既に行ったとしても鼻詰まりが治りにくい人には一番適した方法。

· 手術時間が短い(手術室で行います)

またアレルギー性鼻炎だけでなく下鼻甲介の厚いために鼻詰まりが起こっている人には一番効果があります。また一緒に鼻中隔湾曲手術を行うこともあります。

欠点は

· 入院が必要(切除したところにガーゼをつめて止血するので)

· 出血が多い

· 粘膜を切除した後ガーゼパッキングをする(また数日後それを除去するときに出血や疼痛があります)

このどれかをするか、あるいはレーザー治療か、保存的治療にするか副鼻腔炎の治療

をどうするかなどは患者さんと相談になります。