Onoda et al. 2008 Annals of Botany 101: 727-736
葉の強度のコスト・ベネフィット (Onoda et al. 2008 Annals of Botany 101: 727-736)
葉の強度は、植物-動物相互作用の研究などで時々測定されてきましたが、「植物がどのくらい細胞壁にバイオマスを投資して、どの程度の強度を達成しているか」という葉の強度のコスト・ベネフィットの視点はありませんでした。そこで、パンチ強度(パンチ面積あたりの最大荷重)を以下のように評価するようにしました。
パンチ強度 = (葉重/葉面積) x (細胞壁/葉重) x (最大荷重/細胞壁)
つまり、葉の強度は、面積あたりの葉重(LMA)、細胞壁の割合、細胞壁あたりの強さの積で表せるわけです。このフレームワークを3つの光強度で栽培したオオバコの葉に適用してみました。強光で育った葉は、パンチ強度が高いですが、これはLMAが高いことによるもので、細胞壁の割合や細胞壁あたりの強さはむしろ、弱光で育った葉のほうが高いことが分かりました。