イチジクの送粉システム

イチジクで最も有名な話は、イチジクコバチとの絶対送粉共生でしょう。イチジクはイチジクコバチというハチの仲間によってのみ送粉が行われ、イチジクコバチはイチジクの果実(果嚢)の中でしか産卵できません。つまり、イチジクとイチジクコバチ、どちらかが絶滅するともう片方も必然的に絶滅してしまう関係です。

ここでのお話は、栽培品種のイチジク(Ficus carica)以外の野生種です。日本で栽培されているイチジクは単為結果性で、受粉しなくても果実(果嚢)が成ります。食べてもイチジクコバチは出てきません。ガジュマル、アコウ、イヌビワなど日本の野生種の受粉には送粉イチジクコバチが必要です。

イチジクには、雌雄異株と雌雄同株という、雄花と雌花が別の木になるタイプ(雌雄異株)と、同じ木になるタイプ(雌雄同株)があり、異株と同株で送粉システムが異なります。