(1)イネと米

1.イネの種類

イネ属(Oryza) イネ科(Poaceae)の植物である。

野生種(起源種)は24種、栽培種は2種(アジア種、アフリカ種)である。アジア種は、インディカ(indica)、ジャポニカ(japonica)、ジャヴァニカ(javanica)の3つに分けられる。

なお、アジア種は遺伝学的にはインディカとジャポニカの2つであり、更にジャポニカが熱帯ジャポニカと温帯ジャポニカに分類され、ジャバニカは熱帯ジャポニカに属する。

※新しい品種(ネリカ:NERICA)

乾燥や病害虫に強いアフリカ種(オリザ・グラベリマ)の稲と収穫の多いアジア種(オリザ・サティバ)の稲を交配したもの。 "New Rice for Africa:NERICA"(アフリカのための新しい稲)の略で、1994年に、アフリカの食糧安全保障問題に取り組む「西アフリカ稲開発協会(WARDA)」(本部:コートジボワール)で開発された。

図:イネ分類図

2.世界の穀物における米

とうもろこし、小麦、米は「世界の3大穀物」といわれており、食用の他に家畜の飼料、とうもろこしにいたってはバイオ燃料の原料として生産されている。

(1)とうもろこし

国別生産量では米国が全体の36%を占める。ほとんどは国内での消費され、そのうち7割は飼料用とエタノール用である。

(2)小麦

国別生産量では中国が最も多く、次いでインドである。食料としての消費の他、家畜用飼料として利用され、両国ともほぼ100%国内で消費している。

(3)米

世界的にみると生産量は増加傾向にあるが、日本国内においては減少している。湿潤な気候が適していることから全体の9割をアジア(中国、インドで53%)で生産されている。また、世界で生産されている米の8割はインディカ米であり、日本を産地とするジャポニカ米は2割程である。

表:世界の3大穀物の生産量(農林水産省データより)


表:2015 米の生産・消費ランキング(農林水産省データより)

3.米の利用

米の栽培は湿潤な気候が適していることから、日本をはじめ中国やインドなどのアジアで全体の9割が生産されている。また、米は栄養価も高く栄養バランスも良い。そして、ひと粒の籾から1000倍の実がなり生産性が良く、乾燥させることで保存性も良い。

インディカ米の生産量は全体の8割、ほとんどは中国やインドで生産されている。なお、日本人が主食とするジャポニカ米の生産量は全体の2割程度である。

表:世界のお米の比較(農林水産省データ及び熊本県立農業大学校講義より)


写真:お米の粒形