2012-13年度 国際機関就職ガイダンス

外務省/IDDP主催・国際機関就職ガイダンス

    • 開催概要

    • 2013年2月24日(日)14:00-17:00(開場13:30)

      • 日本クラブ 大会議室

    • 講師ご経歴

本田 英章 (ほんだひであき) 氏

外務省在ジュネーブ国際機関日本政府代表部 二等書記官

1983年生まれ。大阪大学法学部卒業後、人事院に採用。人事院給与局、同人材局、

厚生労働省労働基準局に勤務し、主に国家公務員の人事制度を担当。2012年より

外務省在ジュネーブ国際機関日本政府代表部にて国際機関における日本人職員

増強・人事支援業務に従事。

和泉 寿之 (いずみひさし) 氏 :(ロンドン会場のみ)

Project Management Specialist/Programme Manager.

Joint Conflict Reduction Programme (JCRP)

危機予防・復興ユニット(Crisis Prevention and Recovery Unit)

UNDP スーダン事務所


国際機関への就職ガイダンス

<はじめに>

  • 本日は国際機関就職に関する包括的な説明を行う。

<国際機関について>

  • 認知度の高い国連事務局やUNDP、UNICEFの他、100以上の機関が世界各地に存在している。

  • それぞれ加盟国の分担金をもとに活動を行なっている。

  • あらゆる分野において、何らかの形で国際機関は存在している。

<国際機関職員とは>

  • 一般的には、国籍の利害を超えて、国際社会の共通の利益のために活動する職員。

    • あくまで、国際機関加盟国の総意のもとで決定された職務を実施する。

    • フィールドのみならず、本部勤務を含め、世界各国で専門分野を通じて活動。

  • Pスタッフ:専門知識を生かして業務を遂行

    • 空席については、全世界に対して公募

    • 即戦力でなければ採用されない

  • Gスタッフ:一般職

    • 補助業務、秘書業務を行う

    • 国際的な公募は行われず、オフィス所在地での現地採用が多い

  • 皆さんの場合には、一般的には、Pスタッフとして専門知識を生かしながら、それぞれの機関のプログラムに関わっていく事がを目指すことになる。

  • 三万人以上の専門職がいるが、日本の経済的なプレゼンス、金銭的な貢献に比べると、日本人は非常に少なく756人程度(2.5%)。

    • 10年間で1.5倍くらいにはなっている。


<国際機関の採用の仕組み>

  • ポストごとの個別人事、求められるのは即戦力、出世は個人の自己責任。

  • 日本の企業による雇用慣行とは大きく異なる。

    • 例えば、新卒一括採用という概念は存在しない。

  • 人員数は予算に基づき、ポストの数も決まっている。したがって、そのポストに何らかの空席が発生した場合に、適宜公募が行われる事が多い。

    • 募集のタイミングは各ポスト次第。

    • 採用時点でのバックグラウンドを問わない日本の企業とは違い、国際機関は専門性を重視する。前任の担当者の職務をすぐにこなせる人員が必要。

  • 定期的な人事異動もない。人事部が雇用者の能力を見ながら異動を進めるということもない。

    • ポストが空かない限りは異動も昇進も存在しない。全て自分に任されている。

  • 応募ポストに合致した学歴、職務経験などが必要。

    • 希望するポストの適性に合うような人材となるよう、キャリアを重ねたり、学位を取得したりするといった個人の努力が必要。

  • Pスタッフのランクにそれぞれの職務経験年数等の目安があるが、それぞれの空席によってすこしずつ異なる。

  • 一般的に、英国で留学して就職を目指すという人は、P2を目指すことが多い。

  • 空席公募については、どの機関も何らかの公募をしているため、つねに公募状況のチェックをする必要がある。

    • このプロセスは、異動・昇進の際も同じである。

    • まずは応募書類を提出することとなるが、その次の難関が応募書類選考。その書類選考に残るための工夫が必要。

    • 面接に残るのは5名程度の場合が多く、また採用されるのは1名のみ。

<YPP:Young Professional Programme>

  • 国連事務局が実施

  • 国連事務局によって、望ましい職員数に足りていない国を対象に実施している。

    • しかし依然としてハードルは高く、米国人等とも競争しなければならないため、日本人にとっては厳しい試験であることには変わりない。

  • 年齢制限は32歳。

  • 学士号のみ取得者でも応募可能。

  • 募集分野については、応募開始されるまでわからない。

  • 競争率は高いが、募集時期がある程度予測できるため、準備はしやすいと思われる。

  • 筆記試験については、一般試験と専門試験に分かれる。一般試験については、700文字くらいの文章の要約や、国連に関する基礎的な知識を問うような問題が出題されたとのこと。

  • 過去の受験者の体験談によると、国連が出している一般的な資料をきちんと読み込んでおく必要はあるとのこと。

  • YPPについては、定期一括採用に近い。

<国際機関で求められるもの>

  • 学歴:関連する分野での修士号は必須と考えたほうが良い。

  • 職歴:職歴も重要。関連分野の職歴であるか否かがかなりシビアに評価される。

また、同じような職歴の中でも関連性の強弱は重視される。

(例:他の機関で同じような職務を行なっていれば最も強い。)

  • 語学:まずは英語が出来れば問題ない。とはいえ最近、特にジュネーブの機関等ではフランス語があることが望ましいといったようなことが記載されることも多い。

  • 書類選考

    • 公正な選考という観点から、書類については結局上記の3点を事務的に評価されてしまうことが現状である。

  • 面接

    • 面接に進むとまた異なるスキルが求められる。また、書類選考を行った人と面接官が同じとは限らない。また、中には応募書類に十分目を通さずに臨む面接官も多いため、いかに限られた時間で自身をアピールできるかが重要。

    • もともと控えめな性格であることもあり、日本人にとっては難易度が高いことが多い。また、英語で100%自身の言いたいことを的確にコミュニケーションをとることも非常に難しい。

  • 採用後

    • 採用されたからといって安泰ということではない。キャリアアップや昇進については、確実な職務遂行に加えて、人脈構築、経験値アップ、自身の評判構築を積み重ねていく必要がある。自分が優秀だということを、応募先ポストの関係者や上司となる人に知ってもらう必要がある。

<JPO派遣制度>

  • 日本政府負担による2年間の派遣。

  • 応募資格等の詳細については3月に公表される募集要項参照。

  • 単に国連を経験したいというだけではなく、国際機関の正規予算の中において長年にわたって勤務する意志のある応募者を採用していく方針である。

  • 2013年8月時点で修士号を取得している必要がある。

  • 筆記試験については、コンピュータベースで行う。要約やエッセイ等が出題される予定である。

  • 面接は英語と日本語。

  • メリットとしては、正規職員と同様の経歴がつめること、政府代表部や大使館から、一定のフォローも得ることができる。

  • しかし、JPOに合格したからといって安泰ということはない。自分自身で、継続的に空席ポストを探していく必要がある。

  • 国際機関での職務の積み方としては、インターンやUNボランティアなども有意義。また、在外専門調査員なども選択肢の一つ。

<まとめ>

  • 語学力の向上は非常に重要。特に書く能力は非常に重要。プロジェクトの提案書や報告書の作成能力が求められる。

  • 面接対策については、難しいにも関わらず、対策を十分にしない人が多い。

  • 国際機関のWebサイトなどを通じて情報収集をおこなうことが、「この人は即戦力である」と思わせるためにも重要。

  • 具体的なポストを一度特定してみて、そのために自分に必要な経験が何かを考えながらキャリア構築を進めていく必要がある。

以上