「BA Economics」 School of Oriental and African Studies, University of London

(ロンドン大学 東洋アフリカ研究学院 「開発と経済 学部間交換留学」)

柴垣 文香(しばがき あやか)さん

執筆:2017年5月

1. 自己紹介

私は九州大学経済学部経済工学科に4年生として所属しており、昨年の9月より交換留学制度を利用してSOASにて留学生活を送っています。また今回トビタテ!留学JAPANというプログラムに参加させて頂いています。留学前は計量経済を中心に経済学全般を学んでいました。インドのNGOでボランティアをしたこと、バングラデシュでグラミングループや現地の大学生と農村の衛生環境や経済状況を調査したことなどをきっかけに開発分野に興味を持ち、留学に至りました。南アジア地域について学べることからSOASを選びました。


2. 所属コースの概要

交換留学生は基本的にすべての学部から年間を通じて4単位分の授業を履修することができます。私は主に経済学部の授業を履修していました。高学年向けの授業を履修する際には基礎科目を学んでいることが条件となっている場合がほとんどですが、日本の大学での成績などを教授に提出し個別に相談すれば履修許可をもらうことができました。各学期に1回のペースで交換留学生のパーティーなどはありましたが、日常で交換留学生に対する特別なサポートなどはないです。ただし留学生が大半を占める大学のため、英語の授業を別途受講することは可能ですし、教授との距離も近く質問しやすい環境でした。


3. 授業の概要

・授業名:Economic Development in South Asia

内容:インド、パキスタン、バングラデシュの独立後から現在に至る政治経済と開発についての授業です。英国植民地時代の影響からはじまり、土地改革や政治体制、汚職や労働規制等についていくつかの理論や議論と3か国のケーススタディを比較しながら当時の政策や政治体制の効果を分析するといった内容です。

感想:15人ほどの少人数のクラスかつ大学院生との共同授業であったため内容が非常に高度で、課題の量、内容ともにタフでしたが、政治経済の概論と3か国を取り巻く状況の両方を効率よく学習できるように設計されていたと思います。使用した文献は計量分析を使用したものが多かったです。

・授業名:Issues in Development Economics

内容:開発経済の理論に関する授業です。前期は開発経済とは何かという議論からスタートし、マルクスやケインズ、従属論や構造派理論など開発経済理論の基礎を。後期はもう少し具体的に「経済発展に工業化は不可欠か」「アフリカの人口問題と経済発展の関連」「資本の自由化が途上国に与える影響」など毎週異なるトピックで授業が展開されました。

感想:開発の全体像をつかむことのできる内容でした。チュートリアルはディベートやある国の状況から仮説の政策を考えるロールプレイングを通して実践的に理論を取り込むことができる内容でした。

・授業名:Econometrics

内容:計量経済の授業。講義では理論を学びチュートリアルにて演習問題を通じて理解を深めるとともに計量ソフトSTATAを用いてデータを分析する方法も学びます。

感想:専門用語に苦労しましたが、教授の説明の仕方がわかりやすく各モデルの概念でき、満足度の高い授業でした。ただ「SOASらしさ」に欠けることは否めないので、よりユニークな授業を取りたい方にはお勧めできません。

・授業名:Hindi 1

内容:南アジア学科のヒンディー語の授業。毎週2回の講義と3回のチュートリアル、つまり毎日授業がありました。

感想:言語の授業はクラスの雰囲気が非常にフレンドリーでした。内容自体はかなりスパルタで「とにかく発言させる」スタイルだったので簡単な会話ができるレベルにはなっていると思います。DiwaliやHoliなどインドのお祭りの際には授業でも伝統菓子を食べたりすることもありました。


4. 大学紹介

留学生が4割程度を占める大学で、日本国内ではなかなか出会うことができない、多様なバックグラウンドを持つ学生と友人になりお互いの文化や価値観を共有できることが大きな魅力だと思います。大学内ではイベント(主にアジア、中東、アフリカに関する)が多く開催され、またSOASならではのサークル(私はHiking Society, Indian Society, Samba Societyに所属していました。)がたくさんあり、授業以外でも新しい発見がある日々でした。


5.留学をめざしている人へ一言

私はこの1年間、「我慢せず、やりたいことを貫く」ことを大切にしていました。ロンドン、SOASでの留学は勉強面でもそれ以外の点でも充実した、自分の世界が本当に豊かになった1年でした。いつかこの大学に戻ってきたいと思う大学です。留学前の準備はやることがたくさんあり大変かと思いますが、想像を超える素敵な出会いが待っていると思います。