「MA Education and Development, School of International Development」University of East Anglia

(イーストアングリア大学「教育と開発修士課程」)

後藤 麗(ごとう れい)さん

(執筆日:2017年4月)

1. 自己紹介

学部生の頃は、英語の教員の免許を取ることと、国際関係学が学べることということで、教育学部の中でも国際関係を学ぶことができる大学を選びました。卒業後は、英語の教員として5年間、都内の中学校に勤務していました。もともと開発学を学ぶために海外の大学院を考えていたことと、休みの間に東日本大震災で被災した子供たちやインドネシアの売春街に生きる子供たちへのボランティア活動をきっかけに、教育を通じて子供が未来を選ぶ選択肢を持てるようにしたい。という思いから、教員を辞め、留学をし、今にいたります。


2. 所属コースの概要

所属コースですが、毎年だいたい12~13名で構成されているようです。今年のクラスメイト12名のうち、私を含め日本人5名、中国人1名、韓国人2名、イギリス人3名、ポルトガル人1名です。コースの特徴としては、秋・春のモジュール内で、必須科目が1科目20単位ずつ、それ以外の2科目40単位ずつを選択講義として受講します。ですので、自分の興味に応じて自由に講義を組み合わせることができます。必須科目については、秋・春のモジュールを合わせた試験が5月末に行われます。これが20単位分で、卒業論文が40単位分あります。

コースの弱みは、本年度に限っては、国籍が偏っていたことが挙げられると思いますが、授業内では様々な国籍の生徒がいるので、あまり気にはなりませんでした。毎年日本人は多いと聞いています。強みとしては、コースの人数に対して、教授の数が多いことと、コースメイト間、教授との距離感が近く、困ったことをすぐに相談できる環境にあることです。コースの人数が少ないため、必修科目についてはリーディンググループを作って、毎回与えられたリーディングに関するディスカッションを行っていました。これは、プレゼンテーションのスキルにもつながりましたし、とてもよい機会だったと感じています。また、生徒12名に対し、教授が3人おり、教授もとても面倒見がよいです。春からは2週間に1回のペースでミーティングを行い、卒業論文やexamについての疑問や対策、進め方を教えてくれます。


3. 授業の概要

・授業名:INTRODUCTION TO EDUCATION FOR DEVELOPMENT

内容:教育と開発を学ぶ上での基本的なコンセプトと、その考え方を学びました。授業内ではグループディスカッションの時間が多く、友人との意見の交換はとても有意義なものとなりました。多くの回で、セミナーがあります。課題は3000字のエッセイと、評価がつかないグループプレゼンテーション1つです。

感想:とても概念的な話が多く、リーディングで著者が何を言いたいのか明確ではないときがありました。友人とリーディンググループを作って議論したことが、この授業をよく理解する上でとても役立ちました。

・授業名:RESEARCH TECHNIQUES AND ANALYSIS

内容:リサーチ方法(quantitative/qualitative)について、どのような分析方法があり、その利点や欠点などを学びました。また、実際にグループワークを通じたケーススタディも行い、実際のリサーチにどのようにアプライするのかを考えました。また、毎回、セミナーと、パソコンを使用した統計学の授業があります。課題は2500字のエッセイ1つです。ただ、ドラフトを2回ほど提出しなければなりません。

感想:統計学の知識が全くない中で実践的なことをしなければならなかったので、予習と復習がとても大変でした。この授業を受けるのであれば、統計学の基本的な知識をあらかじめ身につけておいた方がよいと思います。また、個人的にですが、話す内容に対しての講義時間が短く、かなり詰め込みな授業だなと感じました。講義を理解するのには復習が必要です。

・授業名:LITERACY, DEVELOPMENT AND ADULT LEARNING: AN INTRODUCTION TO THE CONCEPTS

内容:成人の識字教育に関して、そもそも識字ということは何なのか、学びとはどういうことなのか、根本から考えさせられました。また、学びというのは日常の中で起こっており、私たちは知らず知らずのうちに学んでいるという観点から、移民・難民の人への英語クラスや、刑務所での授業を実際に観察し、人類学的な研究方法(研究者が参加者としてアテンドし、観察する方法)も学びました。

感想:前期のモジュールの中では、最も実践的だったと考えています。登録者も8名ほどと少なく、教授と学生の意見交換が最もなされていたように思います。自分が普段行っていることからの気づきというのは、これからも学問を行っていくうえで重要ですし、そのことを学べてとても有意義だったと考えています。課題は個人のプレゼンテーションとliterature review2000字で、評価がされます。

授業名:EDUCATIONAL POLICY AND PRACTICE FOR DEVELOPMENT

内容:教育と開発を考える際の課題と、教育が開発になしうる貢献の仕方、とりわけ政策・暴力の阻止・教育の質の向上について学びます。また、セミナーは4回あり、実際の授業での学びを、ある国の政策を分析し、討議する形で実践的にとらえ直します。

感想:この授業では、教育とは社会と強く結びついていて、その社会や文化的背景の中で政策・教育の質を考えなえればならないということを改めて感じました。課題では、実際にpolicy briefを書き、政策の提案を行うという実践的なものになっています。

・授業名:CONFLICT, CIVIL WARS AND PEACE

内容:紛争を考える際の原因や、その後の平和のプロセスのおいてのフレームワークを学び、その後のセミナーでは、実際の紛争にどのように当てはめうるのかをグループでディスカッションします。また、スクリーングでは、授業の関係した映画を鑑賞し、どのような暗喩があるのかを議論します。

感想:授業を受け持つ教授がとても熱心で、授業に関する不明点や、エッセイのフィードバックなど、今まで経験したことがないくらい丁寧に相談に乗ってくれます。ただ、授業自体はかなり理解すべき内容と、コアリーディングが多かったので、追いつくのに大変でした。また、セミナーも、紛争についての幅広い知識を持つ人が多かったので、討論に参加するのに苦労しました、課題はエッセイ2500字と、examで、評価がつきます。

・授業名:GENDER DIVERSITY AND SOCIAL DEVELOPMENT

内容:ジェンダーとは何かから始まり、ジェンダーの平等が社会の発展には不可欠であるという観点から、人の流動化・紛争など、ジェンダーの概念に影響を及ぼしている社会現象を分析し、課題を明らかにします。課題は、グループプレゼンテーションをもとにしたseminar paper1500字と、essay2500字で評価がつきます。

感想:授業が前半は講義、後半はディスカッション、セミナーは全4回で評価はつかないですがグループプレゼンテーションでした。正直なところ、あまりうまくレクチャーが構成できておらず、何度か授業がキャンセルになったりしました。また、一時間ディスカッションするにしても、その時間配分や内容の共有の仕方があまり考慮されていなかったため、あまり自分のためにはならなかったと感じています。授業のアンケートにはしっかりコメントをしたので、改善されていることを望んでいますが、これが必修になる、social analysisのコースの方は、授業の受け方を工夫されたほうが良いと思います。


4. 大学紹介

田舎と都会のバランスが取れていると思います。構内には、いたるところにウサギがおりますし、リスもいるので、イギリスの田舎というイメージを楽しめると思います。構内ですべてが済むようになっており、スーパーから薬局、銀行、郵便局、パブやカフェなどがそろっています。

また、大学の寮がきれいなことも有名であり、大学院生専用のところなどは特にきれいなところが多いように思います。ただ、高いので、寮以外のシェアハウスに住むという選択肢も可能です。

大学の特徴としては、とにかく学科がコンパクトであることだと思います。クラスが小規模なので、クラスメイト同士も仲良くなりますし、教授との距離も非常に近いです。とりわけ私のコースは教授の面倒見が非常に良いと感じています。


5.その他

大学自体は市内からバスで20分ほどと離れていますが、市内でれば、おおよそのファッションブランドやスーパーはそろっています。また、こじんまりしていますが、かわいらしいカフェやパプも多いです。ロンドンへは、バスで片道3時間、5ポンドほどからで行くことができます。電車だと片道2時間、20ポンドほどからです。イギリスの中でも暖かく、冬でも東京とさほど変わらなかったです。また、ドライな気候なので、天気としてはすごしやすいです。


6,留学をめざしている人へ一言

留学を通し、あらたな友人と出会えたこと、そして、批判的に物事をとらえる姿勢を習得することができました。将来への不安や、留学してからの不安もあるかと思いますが、とにかく一歩を踏み出すことが重要だと思います!不安や悩みがあっても、何とかなります。誰かが助けてくれます。一度しかない人生、大切にされてください!!