「MSc International Development: Development management」Institute for Development Policy and Management, University of Manchester

出山 慧祐 さん

執筆:2016年4月

【自己紹介】

日本の大学の商学部に所属し、計量経済学を専攻。学部1年生の春休みに、40日間のインド1人旅を実行した際に、貧困を目の当たりにした経験から、途上国における問題に興味を持つようになった。また同時に、英語能力不足を実感し、3年生の夏から1年間アメリカ交換留学した。留学中に現地で必死に夢に向かって勉強している学生に感化され、悩みに悩んで、興味を持っていた開発学を大学院で学ぶことを決意。途上国で開発コンサルタントとして働くことに興味があったため、開発プロジェクトマネジメントを研究するためにイギリスの大学院に進学する。

【なぜマンチェスター大学か】

① 開発学を専門性をもって研究したかったため。マンチェスター大学では開発学を幅広く学びつつも、Development Managementコースで開発プロジェクトマネジメントを専門的に学ぶことが可能であった。

② フィールドワークがクラスに組み込まれていたため。大学やコースによってはフィールドワークが存在しないコースもある。

③ ロンドンにある大学院進学も考えたが、私は自費で留学しており予算に限界があったため、比較的に滞在費が安く住むマンチェスターに決めた。

【所属コースの概要】

マンチェスター大学のInternational Developmentの学部は細かく6つほどの専攻にコースが分かれており、それぞれのコースを1人教授が担当している。また、専攻コースによってコア科目や選択科目が異なる。私はDevelopment Managementコースに所属し、3つのコア科目と、5つの選択科目をとる形式であった。所属コースには学生が20人おり、中国人が過半数、その他はブラジル、レバノン、インドネシアやアメリカ等、世界各国から学生が集っていたが、コースによって全く人数や国籍の構成が異なる。所属コースのメンバーとは1年間を通じて、共に活動しディスカッションをすることになる。講義以外にも、頻繁に開発の世界で活躍されている著名人をお呼びしてセミナーを行っているので、積極的に聴講しにいくことをおすすめする。

【クラス例】

· Development Field work

途上国でのフィールドワークを行うクラス。私がマンチェスター大学を選んだ1つ理由として、途上国でのフィールドワークが必須だったことがある。毎年行く国は変わるが、私の年はウガンダに約10日間滞在した。内容としては、まず事前に現地で調べたいテーマを自分で決め、そのことについてリサーチをした後に、実際に途上国の現場でインタビューをして理解を深め、帰国後にレポートを提出する形式だった。事前にリーディングで得た知識と現場でのギャップや、立場の異なる人によって発言の内容が異なることがあり、現地での問題を直接経験することができた点が非常に有益だった。さらに現場で計画通りにリサーチすることの難しさも身をもって体験することができた。

· Planning and Managing Development

開発プロジェクトのマネジメント方法を学んだ。4人1組のグループに別れ、開発プロジェクトの調査から評価までの方法を、様々なツールを用いてケーススタディを作成する。途上国プロジェクトの経験が豊富な開発コンサルタントに手とり足取り教えてもらい、実際に現場でどのようにプロジェクトが実地されるのかを学べた。1学期全体を通してグループワークをする必要があるため、最も時間と労力を消費したクラスだったが、最も満足のいく内容であった。

【マンチェスターについて】

マンチェスターはバーミンガムに並ぶイギリスの第二都市であるため、生活に困ることはほとんどない。シティセンターにいけば大抵の買い物もでき、バーやパブも豊富である。イギリス中部に位置するため、他の都市へのアクセスもよく非常に便利。マンチェスター大学はイギリス最大の45,000人もの学生数を誇るため、大学のある南部は学生街という感じで非常に過ごしやすい。

【最後に】

私がマンチェスター大学で学んだ開発学は、実践の点から考えると直接活かせるとは言い難い。しかし、知識として身につけ自分の進みたい方向を決め、さらに同じ興味をもち将来同じフィールドで働くであろう、様々な国のメンバーとのコミュニティの形成する場所としては非常に素晴らしい場所であったと考えている。そのため、どんどんコミュニティの輪を広げていくことをおすすめする。さらに、1年間という短い期間であるため、一度大学院での生活が始まると勉強以外のことに手がつけられなくなる。そのため、インターンシップや就職活動の情報収集は出来る限り早めにやっておくべき。