「Graduate Diploma in Business, Law and Social Sciences」University of Sheffield

(シェフィールド大学 「ディプロマコース」)

矢追 秀樹(やおい ひでき)さん

執筆:2014年4月

1.自己紹介

日本の大学ではフランス語圏文化学を専攻し、主にフランス語圏アフリカの文学作品を学びました。大学卒業後は海運会社に勤務しました。北米―中南米の貨物船運航業務を担当し、食料や肥料、鉱物などの南北間海上輸送に携わりました。東京勤務でしたが、南米やカリブ諸島への出張機会があり途上国を近くに感じる事が出来る仕事でした。その他、開発NGOの翻訳や事務ボランティアをしていました。修士課程では食料システムや食料安全保障について学びたいと思いますが、予備知識が乏しい為Diplomaコースより受講しています。


2.所属コースの概要

本学のDiplomaコースは自然科学系と社会科学系の大きく2コースに分類され、修士コースが国際関係学や開発学の学生は社会科学系のBusiness, Law and Social Sciencesコースを受講します。本コースはビジネスや法学、ジャーナリズム専攻の学生と共に受講する為、開発学関連の科目はなく、社会科学一般を学習します。

年間コースは、秋学期(9~12月)、春学期(1~4月)、夏学期(5~8月)の3学期編成です。受講コースは2学期制もしくは3学期制を選択可能で、3学期制を選択した場合、1学期目には英語のエッセイライティングやプレゼンテーション等の基礎的なアカデミックスキルを学習します。私は3学期制を選択しました。

コースはクラス分けされており、私が在籍するコースは17名中、中国人15名、韓国人1名、日本人1名となっております。他クラスも同じような編成で、学校全体の中国人学生の占める割合は非常に大きいです。


3.授業の概要

授業名:Academic Skills: Reading & Writing (1学期)

内容:基本的な英文エッセイの書き方を学習します。特にReferenceの書き方とPlagiarism について、時間を割いて学び、ショートエッセイの課題があります。

感想:効率的な参考文献の検索方法について課題をこなしながら学習でき、Referenceについて非常に丁寧に指導されます。英文エッセイの経験が無い人にとっては有意義なコースだと思います。


授業名:Academic Skills: Listening & Speaking (1学期)

内容:レクチャーのNote takingとプレゼンテーションを行います。

感想:Listening練習としてレクチャーやTEDの聞き取り(Note taking)課題が毎授業出されます。Listening課題は多く、一日約2時間の自習分に相当します。プレゼンテーションは、その構成の仕方や、注意を引く手法などを学習し、約10分のペアプレゼンテーションと約6分の個人プレゼンテーションを行います。内容は自由に選択可能なため、各自専攻を学習する機会となります。


授業名:Principles of Social Science (2学期)

内容:社会科学の各理念について学習します。レクチャー2時間とセミナー2時間で編成されています。学習内容は、自然科学と社会科学の違いについて、Ontology, Epistemology, Empiricism, Positivism, Falsification, Interpretive approach, Postmodernism等が挙げられます。学期末には、2,500字のエッセイ課題が出されます。

感想:学部が文学部であった為、Philosophyの学習には抵抗がありませんでしたが、この科目に最も苦労している学生が多く見られました。セミナーで扱う理念は毎回異なり、事前準備が最も大変な科目でした。


授業名:Academic Skills (2学期)

内容:Gender、Fairtrade何れかの題目を選択し、2,000字のエッセイとプレゼンテーションを行います。授業ではエッセイライティングについて、1学期よりさらに詳しい技術を学びます。

感想:途中エッセイOutlineの提出がある以外は、課題がなく、エッセイライティング、プレゼンテーション共に各自のペースに完全に任されます。私はFairtradeを選択しました。課題に関心が強かったため、文献検索に最も時間を割いた科目です。


授業名:Language and Communication Skills (2学期)

内容:IELTS対策講座で、Listening & Speakingモジュール、Reading & Writingモジュールに分けられます。特にReadingの学習量は多く、授業中は2時間課題を解くことのみに費やされます。

感想:IELTS対策について新しい知識を得られるというものではありませんが、課題量が多く英語の学習機会となります。


4.大学紹介

大学の施設は概してしっかりとメンテナンスされています。学内に4つの図書館があり、内1つは24時間利用可能です。館内はカフェとシャワールームが併設されており、勉強に良い環境だと思います。学生寮は徒歩30分圏内に集積しており、夜遅い場合も徒歩で帰宅します。Sheffieldは英国内で最も安全な都市の一つとして挙げられ、基本的には夜間も外出可能です。


5.その他

Sheffield市内には観光名所はありませんが、近隣にLeeds, York, Manhattan, Nottinghamがあり、Peak Districtという国立公園までバス40分で行くことが出来ます。週末は観光に出かける学生が多いです。


6.留学をめざしている人へ一言

基礎知識が乏しいことを理由にDiplomaコース受講を決めましたが、本コースでは開発関係の講座はありません。その代わり、エッセイやプレゼンテーションは選択の幅が広いため、自分の学びたいことを自学する感覚が強いです。

Sheffieldは中国人留学生が多く、英語学習の機会が少ないように捉える学生もいますが、Societyの活動が非常に盛んな大学な為、コース以外の場で多くの人と接することが出来ます。