「MSc in Development Economics」University of Sussex

(サセックス大学 「開発経済 修士課程」)

三澤 真美(みさわ まみ)さん

執筆:2013年2月

1.自己紹介

大学は経済学部を卒業し、ゼミの教授の影響などもあって、多少なりとも開発経済の分野に触れる機会があり、その頃から興味がありました。卒業後は金融機関に勤めていました。ただ、学生時代のフィジーへの語学留学やベトナムへのボランティア、社会人になってからの東日本大震災ボランティアの経験を通して、ボランティアというもののあり方について、疑念を持つようになりました。兼ねてから希望していたこともあり、やはり一度海外の大学院で開発の勉強をしたいという思いが強くなり、私の強み・バックグラウンドも生かせるのは経済だと思い、開発経済という分野を選び、留学を決意しました。

2.所属コースの概要

Department: Economics

Courses: Development Economics, International Economics, Economics

1moduleだけ選択出来る教科のコースがあり、Development Economics、International Economics もしくは Labour Economicsの中から選択し、それによって上記のコースが異なります。コースの変更はconvenerに相談すれば、期中でも変更は可能です。必須科目として全コース共通で、通年で、Economics Analysis (Micro, Macro Economics), Econometric、STATA(分析ソフト)のWorkshopなどがあります。

<強み、弱み>

MScにあたり比較的評価が高いので、それは強みだと思ってます。その代わり、いわゆる理系にあたるので数学Ⅲ・Cの知識が必要です。コースのスタート時に言われたのですが、Economistを育てるコースということで、researcherを目指したい人には最適だと思います。Economicsのtechnical な点まで網羅して勉強することができますし、分析ソフトなどとても実践的なことをするので、その後のキャリアにも役立てることが出来ると思います。ただ弱みとして、開発を勉強したいと思う場合は少し物足りないと感じるかもしれません。開発関連のmoduleは1moduleのみであるのと、そちらのコースでも比較的、理論よりも分析の知識が要求されます。

<特徴>

大学で経済関連学部を好成績で卒業していることが入学条件になります。該当しない場合には、直接は入学できない可能性が高いので、diplomaから始めることになるようです。日本の大学の経済学部の大半は文系かと思いますが、この大学での経済学部の位置づけは理系です。どの教科も数学を多用し、日本の経済学部の勉強とは異なるので苦労しています。ただ、こちらに入学してくる学生の皆ほとんどは学部レベルでそのようなものは勉強してから入ってくるので、事前に準備しておかれることをおすすめします。

<クラスメイト>

クラスメイトの半分はヨーロッパの学生で、残りの半分はアフリカの学生やインドの学生など、全体的にとてもinternational なクラスです。大学卒業後にそのまま入学してきたクラスメイトも入れば、国際機関で働いていたりするクラスメイトもおり、いろいろな話を聞くことが出来る、恵まれた環境です。今年は私以外日本人はいません。おそらく昨年度も1人もいなかったようです。

3.授業の概要

・授業名:Micro Economics(半期)

・内容:ミクロ経済。LectureとSeminarがそれぞれ週に2時間ずつあり、Lectureは先生の講義を聞き、Seminarは事前に出されたexerciseの解説とarticleの議論といった形式です。1500のエッセイが1本期間中にあります。Assessmentはunseenのexamです。

・感想:学部で学んだミクロの各topic(効用最大化・ゲームの理論・公共財など)をさらに掘り下げていくといった内容です。数学の知識を要求されます。

・授業名:Macro Economics(半期)

・内容:マクロ経済。LectureとSeminarがそれぞれ週に2時間ずつあり、Lectureは先生の講義を聞き、Seminarは事前に出されたexerciseをパートナーと2人でプレゼンし、みんなで議論するといった形式です。Assessmentはunseenのexamです。

・感想:こちらもMicroと同様に数学の知識を要求されます。大学院で学ぶMacroは学部時代に学んだものとは大きく異なると感じていますRomer の上級マクロを授業で使用することも多かったので、日本で事前に一度勉強しておかれるといいかもしれません。

・授業名:Econometric(通年)

・内容:計量経済学。LectureとSeminarがそれぞれ週に2時間ずつあり、Lectureは先生の講義を聞き、Seminarは事前に出されたexerciseを解くといった形式です。このコースの開始前に統計学の復習もしてくれます。Assessmentはunseenのexamです。

・感想:開発経済を勉強するにもこの教科の知識がないとできないほど、とても重要な授業です。比較的入門のところから授業はスタートしてくれます。また平行してSeminarやWorkshopで分析ソフトSTATAを使用します。

・授業名:Development Economics(通年)

・内容:開発経済学。(選択科目)LectureとSeminarがそれぞれ週に2時間ずつあり、Lectureは先生の講義を聞き、Seminarは事前に出されたarticleを担当者がプレゼンし、みんなで議論するといった形式です。前期はMicroの視点からpoverty, health, Education, Migration, Creditなどのtopicを勉強しました。逆に後期はMacroの視点から、growth, trade, Aidなどの勉強をしています。1500のエッセイが2本、半期毎にあります。Assessmentはunseenのexamです。

・感想:開発の様々なtopicを経済の視点から勉強していきます。こちらでもEconometricの知識がとても重要で、articleはそのようなデータ分析の結果をもとに書かれたものばかりです。実際に客観的な最新の分析結果をもとに勉強できますので、とても興味深いです。

・授業名:Research Methods

・内容:Lectureが週に2時間あり、Researcherの経済分析・プレゼンの方法についてや分析ソフトSTATAの講義があります。Assessmentはグループでのプレゼンと3000字のエッセイです。

感想:自分がresearcherの立場であると仮定し、policy makerにプレゼンするには何が重要かといったことを学び、実際にグループでプレゼンを行います。STATAの実践的なskillも指導してもらえます。卒業論文ではSTATAを用いて実際に分析し、その結果を考察して書くことを求められますので、とても重要な知識です。

4.大学紹介

大学は、ロンドンの南に位置するBrightonという海に面した街にあります。比較的こじんまりとしたかわいらしい街で、住みやすく気に入っています。大学の周りは緑に囲まれているので、とても自然が豊かな環境で勉強ができます。留学生も多く、とてもinternationalな大学だと思います。ロンドンへも1時間半でアクセスできるので、立地的にも便利な所だと思います。

5.その他

Campus内の寮に住むと、野生のりす、うさぎやきつねなどを見ることができるくらい自然が豊かです。学内には多数のcaféやcoopもありますので、 campusを出なくても生活するには不自由しません。またOff campusの寮でもバスで30分圏内が多いので、通学も比較的便利ですし、寮によっては部屋からocean viewなんてこともあります。

6.留学をめざしている人へ一言

こちらにきて強く感じるのは、自己管理力やタイムマネイジメントの重要性です。大学院はたった1年しかないので、充実した留学生活が送れるよう日々大切に過ごさなくてはといけないなと感じています。留学準備は英語の勉強や出願準備など、大変なことが多いと思いますが、実りある1年にするためにもとても大切ですので、ぜひ頑張ってください。この留学レポートが少しでもお役に立つとうれしいです。