「MA in International Education and Development」University of Sussex
(サセックス大学 「国際教育開発学 修士課程」)
加曽利 みき(かそり みき)さん
執筆:2013年2月
1.自己紹介
2007年に大学を卒業後(言語教育学専攻)、教育関連の民間企業で働いていました。大学在学中に、日本へ移民した外国籍の子どもたちの学習支援ボランティアに携わったこと、その後在職中に社内ボランティア活動の一環で途上国に住む子どもたちへの支援業務担当を経験したことで、開発における教育の重要性を再認識し、教育開発学分野での留学を決意しました。
2.所属コースの概要
教育開発を学べる大学はイギリスでも限られていますが、サセックスで学ぶ強みはなんといっても開発と教育両方を主軸において学べることだと思っています。MAIEDは学部としては教育学部であり、開発学部(IDS)には所属していませんが、開発学・教育学双方の専門家が教鞭をとっていること、IDSとの交流も盛んであり、開発と教育をバランスよく学ぶことが出来ます。
今年の在籍者は20名強で(パートタイムの学生等がいるので人数は変動します)、国籍はイギリス人と日本人が7名ずつ、カナダ1名、セルビア1名、ナイジェリア1名、バングラデシュ1名、ポルトガル1名、マラウイ1名です。在籍者のバックグラウンドは多岐にわたり、途上国でのボランティア・勤務経験がある学生がほとんどです。
コースは秋学期(9月~12月)に開発学、教育学の理論やこれまでの政策を学び、春学期(1月~4月)は2グループに分かれてそれぞれの興味・関心に応じた専門分野を学びます。
3.授業の概要
・授業名:Theory of International Education and Development
・内容:開発学・教育学の理論
・感想:時代ごとの開発学・教育学の理論を学びます。開発学のバックグラウンドがない場合は概念や専門用語の理解に時間がかかるため、必要に応じて留学前に自分で学んでおくことをお勧めします。
・授業名:Curriculum, Learning and Society
・内容:専門課程の授業です。途上国で使われているカリキュラム分析を通し、アイデンティティ形成に及ぼす影響、評価方法、Hidden Curriculum(隠れたカリキュラム)といった要素を考察します。
・感想:カリキュラムと聞くと授業で教えられる内容だけと思いがちですが、授業ではカリキュラムを中心とし、それに付随するさまざまな教育における問題・事象を分析することで、様々な要素の存在を認識することができ、非常に興味深く学べています。
・授業名:Teachers: Policy and Practice in International Contexts
・内容:専門課程の授業です。主に教師教育について学びます。
・感想:途上国での教師教育を中心に、実際に用いられている手法や批判、効果、評価方法等について学びます。実際に途上国(主にアフリカ)で用いられている教師のための教材や子どもたちの使う教科書などを用いて授業が進められることもあり、より実践的な内容といえます。
4.大学紹介
サセックスはロンドン南東部のブライトン州にありますが、大学周辺には何もなく勉強に集中するにはうってつけの環境です。キャンパスは国立公園の中にあり、至る所でリスやうさぎといった野生動物を目にすることができます。電車やバスで容易にブライトンの街中へ行けるので、バランスよくオン・オフを切り替えて留学生活を楽しむことが出来ます。
5.その他
私は最も新しい寮(Northfield)に住んでいます。メインキャンパスから距離はありますが(徒歩10~15分程度)静かな環境で快適に過ごせています。Northfieldはひとつのフラットを6人でシェアしています。各部屋はen-suiteといって、トイレ・洗面台・シャワー備え付けられていますので、キッチンのみ共有する形になります。携帯の電波が入りにくい(2013年3月現在)ことを除けば、非常に過ごしやすい寮です。
6.留学をめざしている人へ一言
留学前は不安なことも多いと思いますが、案ずるがより生むが易しで、行動しさえすれば必ず道が開けると思います。といっても、十分な準備をするに越したことはありません。私はpre-sessionalから留学生活を開始しましたが、英語力のなさ、また開発学におけるバックグラウンド不足にしばしば悩まされました。万全とまではいかないまでも、しっかりと準備することで留学生活は必ず身を結ぶと思います。頑張ってください。