「MSc in Environment and Development, Department of Geography and Environment」London School of Economics and Political Science(LSE)
(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス 「地理環境学部 環境と開発 修士課程」)
福本 将士(ふくもと まさし)さん
執筆:2013年4月
1.自己紹介
大学時代は産業生態学を専攻していました。また、フェアトレードの推進サークルに所属していました。ヒトの生産活動と環境の共生を目指す産業生態学、持続可能開発の手法の一つであるフェアトレードの学びから、今後の開発は環境保全の視点がより重要になってくると考え、Sustainable Development(持続可能開発)を重点的に学ぶことができる現在のコースへ進学することに決めました。
就業経験はなく、大学卒業後留学までの期間は国際NGOでインターンシップをしていました。
2.所属コースの概要
私の所属する環境開発学コースは本来地理環境学部で開講されているものですが、国際開発学部とのジョイントコースであるため、両学部のクラスをまたいで幅広く履修することができます。クラスメイトはコース全体で50名ほど、ヨーロッパ・カナダ・アメリカ・ラテンアメリカ出身が大半で、アジア人の比率はかなり少ないです。また、ほぼ全員が何らかの職歴を有しており、大学卒業後ストレートに進学してきた生徒はかなり少ないです。
LSEではセオリーにフォーカスした講義が中心なので、開発学の実践的なことを深く学びたい方にはあまり向かないかもしれません。
講義の形式は基本的に講義+セミナーで、登録者全員で講義を受けた後、少人数クラスに分かれ、その週の講義に沿ったプレゼンテーションやディスカッションを行います。
3.授業の概要
・授業名:Environment and Development
・内容:コース必修の講義です。環境と開発の現状、歴史的背景、理論、問題点などを学ぶことができます。評価は3,000 wordsのエッセイ(25%)とテスト(75%)で決まります。評価外で二人組プレゼンテーションが課せられます。
・感想:この講義は唯一の必修授業でコースの生徒全員が集まるため、同じ境遇の学生と情報共有できる貴重な機会です。セミナーは20人前後で、毎週クラスメイトのプレゼンテーションを聞き、それについて討論する形式です。
・授業名:Poverty
・内容:国際開発学部の講義です。評価は2,000 wordsのエッセイ(30%)とテスト(70%)で決まります。
The course is an interdisciplinary analysis of poverty, where the focus is on poverty both as a dependent variable (what causes poverty) and an independent variable (what poverty causes). The course will draw from a variety of disciplines but will pay special attention to the political economy of poverty; however, no prior mathematical or statistical qualification is required.(シラバスより)
・感想:担当のElliott先生は非常にパッション溢れる教授で、2時間の講義後は声が涸れ息を切らしているほど全力疾走です。講義内容も様々な視点から考察されており、大変興味深く、惹きつけられます。セミナーのクラスメイトは15名ほどで、活発に意見交換がされています。人気があり、様々なコースの学生が受講するため早めに登録申請しなければキャンセル待ちになってしまいます。
・授業名:Emerging health threats and Development
・内容:国際開発学部の講義です。マラリアやHIVといった伝染病対策、今日のパンデミック対策、そのジレンマなどを学びます。評価は2,000 wordsのエッセイ(30%)とテスト(70%)で決まります。評価外のプレゼンは持ち回りで4回ほどやりました。
・感想:ゼミ形式の講義ではクラスメイトが4人と最少人数でした。その分発言を求められる機会が多く負担も大きかったのですが、クラスメイトが少ないことで質問がしやすい雰囲気もあり、受講してよかったです。ただ、比較的新しく作られた講義で、講義内容・形式ともに発展途上だそうです。
4.大学紹介
LSEの外観はあまり大学らしくありませんが、カフェテリア・購買などの施設は整っています。
毎週の講義がビデオ形式で学生に公開されており、オンラインで復習することができます。
ほぼ毎週あるPublic Lectureでは外部講師の講義を聴くことができます。分野で著名な講師も来られます。
図書館の設備もかなり充実しており、3つのタームのうち後半2タームは24時間利用することができます。
ロンドン大学の一つであるため、学生は他のロンドン大学の図書館を相互利用することができます。King's Collegeの図書館が近くて人気です。
テストが第1・2ターム分まとめてあるため、負担が大きいです。テストの過去問は公開されているので、それを分析しながら対策を行っています。
5.その他
私は部屋の空きがなく寮に入ることができなかったため、Shared flat(共同キッチン・トイレで一人部屋)を探して入居しました。場所はHolloway Roadで、学校まではバスで片道約1時間です。周辺にスーパーなどがそろっているので、学校まで少し距離があること以外は満足しています。家賃は月£520です。
留学後のフラット探しは大きな負担となるので、早めに寮の申込をすることをお勧めします。
6.留学をめざしている人へ一言
全く偉そうにアドバイスできるような立場ではないのですが、何にご自身の情熱をそそぐことができるか、それが分かっていれば留学はとても実りあるものになると思います。皆さんが充実した留学生活を過ごされるよう、心から願っています。