「MA International Development: Environment and Development」University of Manchester

(マンチェスター大学 「国際開発:環境と開発 修士課程」)

番場 亜季子(ばんば あきこ)さん

執筆:2011年2月

自己紹介

高校生の頃から国際関係学に興味があり、大学では国際関係学部 開発・環境専攻というところに属していました。そこで、開発学の基礎的な知識や、環境と開発の関連性などについて学びました。将来は国際機関やNGOなどで働いてみたいという思いは少なからずあったのですが、一般企業での経験も重要だと考え、大学卒業後は電子部品を扱う専門商社で貿易事務をしていました。6年3か月の会社勤めの後、以前から関わりたかった開発の方面に携わるべく、2011年9月よりマンチェスター大学大学院でMA International Development: Environment and Developmentに所属して勉学に励んでいます。

所属コースの概要

このコースでは、その名の通り、環境問題と開発がどう関わっていくべきなのかということに関して、わりと幅広い分野の中から学ぶことができます。環境に関しての昨今の動向を知りたい!という方や、環境問題には関心があるけど、興味がいろいろありすぎて絞り込めない!という方には良いコースだと思います。

クラスメートは17人中9人がイギリス人、アメリカ人1人、カナダ人1人という、開発学のコースにしてはネイティブイングリッシュスピーカーの割合が非常に大きいクラスになっています。あとはパキスタン人2人、メキシコ人1人、ペルー人1人、カメルーン人1人、日本人(私)1人です。WWFで働いていた人もおり、みんな本当に環境に対していろんな意見を持っていて聞いていると面白いです。

授業全体に関して

3セメスター制になっており、セメスター1とセメスター2は講義とチュートリアル(ディスカッションやディベート)、最後は修士論文を書くためのセメスターになっています。セメスター内で3コマは必修の授業、残りの1コマは選択授業になっています。また、セメスター2ではウガンダへのフィールドワークが授業の一環として組み込まれています。

授業の内容

<セメスター1>

・Environment and Development

専攻のコース名と同じ名前のこの授業では、環境と開発の現状や、問題点、どのようなセオリーがあるかについて学ぶことができます。おそらく基礎的な内容のはずなのですが、私の聞き取り能力の悪さのせいか、結構内容が難しいように感じました。評価は3,000ワードのエッセイ1本で決まります。

・Perspectives on Development

こちらは、開発学全般の概要について学べる授業になっています。オムニバス形式で、毎回違った開発学部の先生方が自分の専門分野に関して語ってくださいます。この授業の評価は前半に出す1,500ワードのエッセイと後半に出す2,500ワードのエッセイの総合で決まります。

・Environmental Economy

環境経済学の授業です。必修なので、どれだけ経済学が嫌いでも逃れることはできませんが、経済学の基礎から丁寧に教えていただけるので経済に関する前知識がなくても理解することができます。また、他の文献を読んでいても、経済学関連のワードが出てくることがよくあるので役に立ちます3回あるミニテスト(選択問題)と3,500ワードのエッセイの総合で評価されます。

・Global Food Systems and Agrarian Change

セメスター1の選択授業として取っていました。途上国の農業の問題や、食糧問題などについて学ぶことができます。農業や食料問題に興味があったのと、この授業の教授の英語がとてもわかりやすかったのとで、セメスター1で最も好きな授業でした。評価は3,000ワードのエッセイ1本で決まります。

<セメスター2>

・Development Research

開発学の分野でのリサーチスキルについて学びます。この授業もオムニバス形式で毎回違った先生がお話をされます。方法論的な授業です。3,000ワードのエッセイ1本で評価されます。

・Conservation and Development

自然保護について考える授業となっています。自然保護をすることはいいことだと単純に考えがちですが、その裏には現地住民たちとの問題などもあり、今まで知らなかった問題に気づかされる授業でもあります。こちらも評価は3,000ワードのエッセイ1本で決まります。

・Field Work

前述したウガンダへのフィールドワークのための前準備として、ウガンダの概要やどのような問題があるかを学びます。また現地に行って調査をするための文献収集やクラスメートとの意見交換もここで行われます。評価はフィールドに行く前に3回出す500ワードのミニエッセイと、フィールドに行った後の2,000ワードのリサーチレポートの総合で判断されます。


・Climate Change, Disasters and Urban Poverty

セメスター2の選択授業として取っています。気候変動が発展途上国の都市部にどのような影響を与えるのか、というのがこの授業のテーマです。グループプレゼンテーションと3,000ワードのエッセイの総合で評価されます。

大学情報

町全体が大学といっても過言でないほど学生街で、スーパーもパブもショッピングモールも日本食を売っているところも徒歩圏内にありますので、生活するのにそれほど苦労することはないと思います。パソコン室もいたるところにあり、図書館も夜11時ころまで開いているので、勉強する環境は整っていると思います。私は寮がキャンパスの敷地内にあるので、授業も開始10分前に家を出ても余裕で間に合うので、それはとても便利です。後は、なぜかやたらそこらじゅうの校舎の改築工事が行われていて、それが少し気になるくらいでしょうか。新旧いろいろな様式の校舎が入り乱れていますが、これぞヨーロッパの大学っぽい!と思うような建物もあり、自分のお気に入りの校舎を見つけたりするのも楽しいです。