「BA in International Relations and Development studies」University of Sussex

(サセックス大学 「国際関係学・開発学 学士課程」)

宮原 綾子 (みやはら あやこ)さん

執筆:2011年2月

自己紹介

2009年にサセックス大学に入学し、現在学部2年生です。高校時代にタイ・バンコクに在住した経験から、英語での学問知識の習得に興味を持ち、渡英しました。高校卒業後、日本で国際NGOネットワークでのインターンを経て、国際開発学の分野で誉れのあるサセックス大学への進学を目指し、入学前の1年間、オックスフォードにある私立カレッジにて法律・政治ファウンデーションコース(教養課程)を修了しました。

所属コースの概要

私が所属しているコースはDouble Degreeというもので、2学部専攻し卒業後は2つの学位が取得出来るというものです。主専攻としてInternational Relations(国際関係学)を、副専攻としてDevelopment Studies(開発学)を専攻しています。2つの学部を専攻するのはこちらでは珍しくなく、国際関係学、政治学、法学などを主専攻として専攻し、全体の25%の比重に相当する副専攻として開発学、人類学、多言語学などの他学部を専攻することも可能です。

2学部専攻はとても魅力的で毎回の授業で他学部の生徒の意見にも触れられる反面、2学部の履修内容を3年間で取得しようというものですから、質・量・課題も自ずと倍になります。Global Studiesという国際関係学を司る学部内では、毎学期(秋学期=10週間, 春学期+夏学期=13週間※)、一人4科目の履修が必修とされ、私の様に2学部専攻の学生は各学部から2つずつ履修し計4科目が必修科目となります。3年を通じて主にすべて必修科目ですが、2,3年次にはより自分の専門・興味分野の科目を選べることが出来ます。

※夏学期は春学期の延長で3週間しかありません。

社会科学および文化研究(開発学、教育学、国際関係学、法律)で名高いサセックス大学は、およそ120カ国からの留学生(大学全体の約20%に相当)を擁し、特にGlobal Studies学部はとても国際色豊かです。とは言っても移民の国イギリスにて、英語が第2言語という国の人でも英語を母国語の様に流暢に使う人がほとんどなので、セミナーやディスカッションの場では全員で単一のトピックについて意見を深めることが出来ます。その反面、高度な英語力が必要とされ、かつ授業トピックの予習が出来ていないと授業について行けないこともあります。

科目によって成績評価は違いますが、主に30%がエッセー、70%が試験という比重になります。(エッセーのみで100%の成績をつける科目もあります。)エッセーは学期ごとに2000~3000単語程の長さのものを作成し、毎週の授業トピックからテーマになる質問を選びます。試験は年に1回で、1年間の最後(6月)にすべての科目の試験を実施します。

授業全体について

サセックス大学は3学期制で、秋学期の後にクリスマス休暇(12月)が、春学期の後にイースター休暇(3月)がそれぞれ約1ヶ月あります。5月いっぱいに授業はすべて終了し、6月は全学年とも試験期間に入り授業はありません。夏期休暇(7月~9月)を挟んで、新学期開始は他大学より少し遅めの10月の第1週目となります。

授業は1科目につき、教授による講義1時間と博士課程在籍者によるセミナー(少人数での議論)1時間になります。まず講義でトピックの概要を掴み、その後自主勉強やグループワークにより自己の知識を深めます。毎回1時間のセミナーでは足りないほどの深い議論が交わされていますが、チューター(指導教員)のOffice hour(質問受付時間)に更なる質問や議論を投げかけることも可能です。

サセックス大学の開発学には、現地調査をカリキュラムに組むコースはありませんが、夏期休暇やGap year(高校卒業から大学入学にかけての期間)の長期休暇を利用して、海外で自分の専門分野の調査に出る人はたくさんいます。おかげでセミナーには様々な年齢層から異なるバックグラウンドを持つ仲間が集まり、理論ベースの大学の授業と共に、より実践的な話題を交えての議論へと発展し、とても内容の濃いものになっています。

講師陣(教授、博士課程)のバックグラウンドもとても豊かで、彼らの様々な最先端の研究情報を拝聴出来るのもとても魅力的な一面です。授業での采配も講師によりますが、授業の始めにその日のトピックに関する簡単なプレゼンテーションを生徒が行い、それに沿って授業で議論がなされる、というのが主な授業の流れです。

これまでに受けた授業の内容・感想

授業名:The International System Today; Regions and Institutions

内容・感想:これは1年次の国際関係学部の必須科目です。その名の通り、地域的な国際関係と制度的な国際関係を、国際システムという枠組みの中から解析します。様々な歴史的事象を事例に、政治的、政治経済的、心理学的、社会学的、文化的な観点から国際関係を洞察します。様々な地域、国際機関のプラス面、マイナス面を様々な生徒たちのまた違った視点から考察することが出来、とても有意義な授業でした。

授業名:Classical International Theory/ Contemporary International Theory

内容・感想:これは2年次の国際関係学の必須科目です。様々な理論を基に、国際理論上登場するアクターや国際関係の構造などを読み解きます。ひたすら先人の著書を読み、理解するという簡単な様で質・量ともに膨大な勉強を行うわけですが、国際関係学を学ぶ以上、基礎となる理論を一から学ぶことが出来たこの授業は、開発学の視点でも他分野の学問でも、様々な議論を行う際に役に立っています。

授業名:Issues in Development

内容・感想:これは1年次の開発学の必須科目です。貧困、経済成長、支援、債務、移民問題、貿易、ジェンダー、人口問題、環境開発。開発学を知る上で基礎となる事象の問題提起、更に問題解決への取り組みを、毎週違ったトピックで様々なバックグラウンドを持つ講師・仲間と幅広く議論を深めることが出来るコースです。交換留学で知り合う日本人学生にも、この授業をよくお勧めしています。

授業名:Colonialism and After

内容・感想:これは1年次の開発学の必須科目です。英国にて開発学を学ぶ上で、基本となる植民地問題。近代西欧諸国の産業資本主義における発展や歴史的位置付けを、「植民地支配」というテーマに重点を絞り、議論を深めていく授業です。英国で開発学を勉強する意義を更に考えさせられたコースでした。

大学情報

ロンドンへのアクセスは電車で約1時間と大変便利な上に、ビーチ近くに立ち並ぶクラブやパブの賑わいのおかげでイギリス人にも大人気のブライトン。立地条件や利便性のおかげで生活費や、居住費はロンドンとさほど変わらず他の地域に比べ割高ですが、大体週£70~100程で家を探すことが出来ます。大学1年次や、大学院生(1年間)は大学キャンパス内の寮が自動的に割り当てられますが、2年次以降は自分で街や大学周辺に家を探します。イギリス人学生以外の様々な国の人や社会人などに触れ合うチャンスにもなります。

IDS(Institute of Development Studies)という開発研究所とも交流のあるサセックス大学は、頻繁に国際関係学や開発学関連の有識者による講義やワークショップが数多く開かれています。学部、専攻問わず色々な人に開かれているので、自分の授業以外にもまた違った分野の知識を深めることが出来、最高の学習環境であると言えます。