「MA in International Social Development」

School of Development Studies, University of East Anglia

(イーストアングリア大学「国際社会開発修士課程」)

若林 みゆき(わかばやし みゆき)さん

執筆:2010年3月

自己紹介

私は某企業で経理部の収入管理と営業効果評価等の仕事を2007年までしていました。主任試験を受ける年になった際、今後のキャリアについて自分がどうしたいのか自問し、様々な分野で活躍する友人・知人との世間話をしている中、「留学」という考えが浮かびあがり、そのままその流れに身を任せ、今に至るというのが正直なところです。

卒業後は今までの経験と修士での知識を活かして働きたいとは思っていますが、開発分野での実践的な経験がなく、具体的な目標となってはいません。


所属コースの概要

私の所属する国際社会開発コースは、NGOや国際機関と地域社会との関わりについて様々な角度から検証するところです。また、女性学との関連性も深く、社会の中での問題の1つとして大きく取り扱ったりもします。UEAでは他のコースの科目も選択することが可能なので、別のコースの生徒が自分の必修の授業に入ってきて、別の視点からの意見を述べてくれることもあり、また自分が他のコースの必修授業に参加し、「開発」という分野の深さと広さを知ることも出来ます。

ここに来て一番驚いたのは、職務経験を持った方の多さです。開発という分野の特徴でしょうか、日本の大学院と違い、学部卒でそのまま院に進んできた人は稀です。


授業全体について

1学期は11~12週のターム制で授業自体は2タームになります。秋学期から春学期の間に3週間程のクリスマス休暇が入り、今年度は3月末に春学期が終わり、4月中旬にテストがあります。各学期の中間に1週間のReading Week(ターム中間にある1週間の休み)があり、その間は授業がありません。私のコースでは秋学期は必修科目が1つ、選択科目(全授業から選択可能)が2つでした。春学期は必修が1つ、3つの科目から1つを選ばなければいけない形での半必修が1つ、選択が1つでした。

授業の内容はどちらかというと理論重視ですが、社会経験やNGOで働いていたという経験者も多いので、授業の中で関連づいた自分の経験を「応用」として発表してくれる人が多く、講師もそのような発言を歓迎しているので、バランスの取れた内容になっていると思います。


これまでに受けた授業の内容・感想

授業名:Introduction to Social Development

内容・感想

トピックは以下の通りです。

・Social analysis of development

・Poverty, wellbeing, social exclusion

・Structure and agency

・Rights

・Religion

・Voice and participation

・Knowledge

・Culture

・Institutions

・Policy reflections

授業は1時間半で約2/3は講義、1/3はKey Reading(授業の必須リーディング)を使ったディスカッションでした。成績評価は20%がグループ・プレゼンテーション、80%が2500字までのエッセイでした。


授業名:Health and Development

内容・感想

トピックは以下の通りです。

・Understanding health, disease and illness in different socio-economic contexts

・Relationships between the processes of development and health outcomes

・An introduction to epidemiology

・Reproductive health care

・AIDS and development: an overview

・The economics of health

・Health care evaluation

・Health care systems and global policy trends

・Health sector reforms

・Global health initiatives in the 21st century

授業は1時間半で質問を挟む以外はすべて講義に当てられました。成績評価はセミナーの内容を加味した1000字までのショートエッセイと2500字までのエッセイです。


授業名:Gender Difference and Social Policy

内容・感想

トピックは以下の通りです。

・Thinking critically about social policy, gender and difference

・Social policy and the World Bank

・Gender, health and social policy

・Gender inequality, the MDGs and social policy

・Basic services and the state: education

・National-local linkages: OXFAM GB

・Domestic violence and social policy

・Social policy and indigenous people

・Gender, social policy and non-state actors

・HIV/AIDS and course conclusion

授業は1時間半で質問を挟む以外はすべて講義に当てられました。成績評価はセミナーの内容を加味した1000字までのショートエッセイと2500字までのエッセイです。


大学情報

キャンパスは広く、選択肢はあまりないながらも、すべてのことがキャンパス内で済ませられるほど充実しています。図書館、学食、寮、病院、スポーツセンターが徒歩5分圏内に収まっており、街までも頻繁にバスが出ています。ただ、あまりに充実した設備の為、大学から出る必要がなく、大学それ自体が小さな町と言い得える一方で、逆に孤立していると、取ることも出来ます。


その他の情報

留学前に自分の学科に関連のありそうな本をできるだけ読んでおくことは、かなりのアドバンテージになると思います。とはいえ、あまり難しく考えずに、「出来ない自分を楽しむ」位の気持ちで臨み、臆せず「出来る人から盗む」くらいの感覚で毎日を過ごしていけばいいと思います。様々な経験と文化を持った人たちと触れ合うことになるので、勉強以外にも「人間」を知る絶好の機会になるでしょう。