「MSc in Agricultural Development Economics」University of Reading

(レディング大学「農業開発経済学 修士課程」)

大場 聖子 (おおば せいこ)さん

執筆:2010年3月

自己紹介

日本の学部時代(総合政策学部)に途上国の食料安全保障政策について卒業論文を執筆したのですが表面的な分析しかできず、引き続き研究したいと思い留学を希望しました。それには農業経済や農業開発の知識が要ると考えレディング大学の当コースを選びました。学部卒業後は約半年間、NGOボランティアや国連(東京)のインターンをしました。職務経験はありません。

所属コースの概要

このコースはThe Graduate Institute of International Development and Applied Economics内の12コースある講義主体型修士コースの1つです。MSc in Agricultural Economics(農業経済学コース)という似た名前のコースがあますが、必須の授業(貧困と平等関連)が1つ異なる以外は全て同じものを受講しています。また全ての授業は他コースの学生と受けるので、様々なバックグラウンドを持った学生の意見を聴くことができます。

コースメイトは15名程でアフリカ出身(ナイジェリア、マラウイ、ガーナ等)が大多数を占め、次にヨーロッパ(イギリス、ギリシャ)、アジア(タイ、ネパール、日本)が続きます。ちなみに本コースにおける本年度の日本人学生は私のみです。職務経験なしの学生も3名いますが、その他の学生は農業省に勤めている(いた)、開発コンサルタントをしていたなど当分野に関連する経験を持っているようです。

教授陣は授業中の質問だけでなく、授業外でアポイントメントなしでも時間があれば質問や相談にのってくれます。週に1度、大学の教授またはゲストスピーカーを招いた講演会があります。

授業の概要

3学期制で学期後にそれぞれ1、1、2ヶ月間の休暇が設けられています。履修が定められている180単位のうち、必修:100、選択:20、修士論文:60です(1科目10単位)。修士論文は12月中旬に指導教官が決まり、9月初旬に提出です。

多くの授業は教授による講義が主体であり、授業中に学生間のディスカッションが行われることはあまりありません。しかし、積極的に意見や質問を述べる学生もいますし、教授陣もそれらの発言にきちんと答えてくれます。

これまでに受けた授業の内容・感想

授業名:Market and Trade Analysis (秋学期、必修)

内容・感想:主に完全/不完全競争市場や消費者理論、貿易理論を扱いました。農業市場に特化するということは特になく、基本的なミクロ経済学という感じでした。評価はテスト2回:各45%、論文の要約:10%でした。

授業名:Appraisal of Agricultural and Rural Development Projects(秋学期、必修)

内容・感想:農業/農村開発プロジェクトを財政、経済、環境、社会面から事前評価する方法(最初の2つに焦点)を学びました。他の授業と異なり週に2コマあり、1コマ目は理論を、2コマ目はエクセルを使用してプロジェクトを実際に事前評価するという流れでした。評価は課題(プロジェクトの事前評価)2回:各25%、テスト50%でした。

授業名:Water, Agriculture and Irrigation(秋学期、選択)

内容・感想:植物の蒸発や太陽の放射、灌漑のしくみなどを学びました。これは当コースで履修可能な授業の中で数少ない農業色のあるものの1つでした。蒸発の計算方法やFAOのソフトウェアの使用方法などを教えてくれ、この分野に特に興味のある学生には役に立つのではと思いました。評価はレポート:65%、課題(蒸発量の計算とFAOのソフトウェアを使用した作物の育成予測)2回:10%と25%でした。

大学情報

キャンパスは市の中心からバスで10分程の所にあり、緑豊かで湖もあります。寮はキャンパス内外にあり、年度により寮費は変わりますが自炊の寮で1週間約£70~130と様々です。学食やカフェのメニュー数はあまり多くなく、味もそれほどといった印象です。

その他の情報

このコースは経済学の授業が多く、上級レベルでないものの基本的な知識がないと大変かもしれません。経済学未修者向けのPre-sessionalコース(9月中旬~10月初旬)がありますが、既習者も多く参加していました。

英語に自信のない学生に対しては、英語のIn-sessionalコース(秋学期のみ)が用意されています。エッセーの構成や文法を見直したり、提出前のエッセーのチェックを受けたりすることができます。

時間割に関してですが、履修したかった授業が必修と重なり取れない事もありましたので、出願前や合格後に学校を最終決定する前には確認しておくと良いかもしれません。