「MA in Globalisation and Development」Institution of Development Studies (IDS), University of Sussex

(サセックス大学開発学研究所(IDS)「グローバリゼーションと開発 修士課程」)

亀岡 千佳(かめおか ちか)さん

執筆:2009年1月

自己紹介

留学理由:アフリカの経済開発の仕事を以前から志していたものの、開発関連の仕事に就くためには開発学の修士号取得が有利であり、かつ語学力も同時に身につけられる留学の道を選択しました。

これまでの経歴:日系の自動車メーカーにて、海外マーケティングおよび財務関連の仕事を6年経験しました。学生時代にはケニアでボランティア活動に参加しました。


所属コースの概要

グローバリゼーションと開発コースでは、グローバル化による、国際社会のアクターの政治的・経済的活動の変化やそれによる途上国への影響について研究します。特に、これまで西洋中心であった国際政治経済が、中国の影響でパワーバランスに変化が表れていることに注目し、貧困削減や格差是正に向けて国際政治経済がどう向かいつつあるのか、私たちは何をすべきかについて検証します。

コースの長所:IDSの中で唯一、国際政治経済が途上国の開発に与える影響について重点をおいたコースです。講師も開発経済などに強い方が多いです。

コースの短所:中国への研究旅行が授業料に含まれているため、学費が相対的に高いです。

クラスメイトのプロファイル:バックグラウンドの異なる、20代後半から30代後半までの男女が半々です。経済学のバックグラウンドをもつスウェーデン人やカナダ人から、NGOなどでの活動経験がある中国人、パレスチナ人、政府から派遣されたナイジェリア人など、学生の経歴は多岐に渡ります。日本からの学生は私を除いて2名おり、省庁や日本政府の開発機関からの派遣で来ています。


授業全体について

3 学期制 1学期につき、2つのメインテーマをもとにレクチャーとゼミ(Seminar)がある他、Group Supervisionというコースごとのミーティングが週1回行われます。コースによりますが、秋学期は週5日午前中に授業があり、午後は自習の時間としていました。

必修科目:「Managing Globalisation」「Ideas in Development and Policy, Evidence and Practice」 「Globalisation and Inequality」「Global Value Chain」他

選択科目:「Economics for Development」「Global Governance」「Vulnerability and Social Protection」

授業の雰囲気:自由に意見を言える雰囲気です。学生の積極的な参加を重視しています。


これまでに受けた授業の内容・感想

授業名:Ideas in Development and Policy, Evidence and Practice(秋学期)

内容・感想:

授業の内容は、「開発とは何か?」から始まり、経済と開発、環境と開発、キャパシティ開発、ジェンダーと開発など、開発学の様々な分野における基礎理論が中心で幅広いですが、それぞれの分野の有名な専門家などから講義形式で学ぶことができます。

感想としては、扱う範囲が幅広いため、浅く広い知識となりますが、開発の大枠を理解するためには、大変有意義な内容となっていると思います。又、全IDSの学生約130人が同じ教室で学ぶため、内容が多岐に及ぶものの、様々なバックグラウンドをもった積極的な他コースの学生達と意見を交換できる機会となりました。

(課題は2000語の論文を学期の中盤で1本、3000語の論文を春学期直前までに1本提出します。いずれもテーマはIDS側で与えられており、それに基づいて書きます。)


授業名:Managing Globalisation (秋学期)

内容・感想:

内容は、アジアやアフリカなどの途上国の農家や中小企業がいかにしてグローバルな市場に参入できるか、といった議論(グローバルバリューチェーン)から、 WTOと各国政府の貿易政策、EUなどの食品規制が途上国の農家に与える影響、世界金融市場の変動による貧困への影響、中国の対アフリカ政策など、グローバル化が与える貧困への影響を様々な観点から検証します。

週に2コマ授業があり、講義とゼミ(Seminar)に分かれています。課題は5000語の論文を春学期直前までに提出します。内容は授業をベースにしていれば基本的に自由でした。


授業名:Globalisation and Inequality

内容・感想:

内容としては、グローバル化が貧困と格差に与える影響について、統計などから具体的かつ実証的に検証していきます。グローバル化の中で途上国の労働者の雇用は創出され、貧困は削減するといえるのか、などの課題を扱っています。


その他の情報

Pre-sessionalコース・条件付き入学について

サセックス大学では、書類申請段階で英語のスコアが基準に達していない場合、Pre-sessionalコースへの参加とコースの最終週に行われるテストにパスすることを条件としてConditional Offer(条件付き入学許可)を出しています。また、いつからPre-sessionalコースに参加すべきかについては、基準点に到達していない度合いによって、期間をA(7月~)、B(8月~)、C(9月~)と設定されています。ただし、Pre-sessional C(9月~)分については、最終週のテストをパスすれば、後で900ポンド近く返金してもらえるので、実質Pre-sessionalA+B又はBの授業料とその他生活費を負担すればよい仕組みになっています。

一方で、Unconditional Offer(無条件入学)を得た場合でもPre-sessionalコースに参加できるものの、Conditional Offerによりコースに参加した場合と異なり自主参加しているものとみなされるため、Pre-sessionalCの学費は返金されず、自己負担しなければいけません。ただし、一旦Conditional Offerをもらったが、後で英語のスコアが上がり、再提出してUnconditional Offerをもらった場合は、例外として授業料の返金請求が認められる場合があります。

実際私の場合は、Conditional Offerをもらったものの、途中スコアを更新した結果Unconditional Offerに切り替わり、しかもPre-sessional Cのお金は後々返金されました。

上記のように、大学申請書類を提出する前に規定の英語のスコアに達していなくても、一旦提出してConditional Offerをもらい、コース参加までにUnconditional Offerをもらえるようスコアを更新していった方が、Pre-sessionalコースに参加する上では金銭的に得する場合があります。その場合は、ビザの更新手続きもいらずに、Pre-sessionalコースの最終学期の授業料も免除されることになります。