HASUNA Co.,Ltd.

執筆:2013年4月

勤め先:HASUNA Co.,Ltd.

出身校:

「BA in Development Geography, King’s College London」

(ロンドン大学キングスカレッジ 開発地理学 学士課程)

白木 夏子(しらき なつこ)さん

1、 自己紹介

HASUNA Co.,Ltd. 代表取締役兼チーフデザイナー。

HASUNA Website http://www.hasuna.co.jp

1981年生まれ。2002年から英ロンドン大学キングスカレッジにて発展途上国の開発について学ぶ。卒業後は国連人口基金ベトナム・ハノイ事務所とアジア開発銀行研究所にてインターンを経験し、投資ファンド事業会社勤務を経て、2009年4月にHASUNA Co.,Ltd.を設立。人や社会、自然環境に配慮した「エシカル」なジュエリーブランド事業を展開中。

2010年日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011キャリアクリエイト部門受賞。

2011年世界経済フォーラム(ダボス会議)が選ぶ日本の若手リーダー30人に選出。

2011年AERA「日本を立て直す100人」に選出。

2012年Japan Venture Awards 中小機構理事長賞受賞

2012年APEC(ロシア)日本代表団としてWomen and Economy会議に参加

2013年世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)出席


2、所属していたコース概要

私が専攻していたのはDevelopment Geographyで、ひと言で説明すると、地理学の視点からの開発課題の研究でした。1年目は地理学や地政学、SSPPソフトウェアを使用した統計等を学び、2、3年目は「HIV/AIDSと貧困」や、「西アフリカにおける食糧問題」等、途上国開発問題を中心に学びましました。

SOAS(ロンドン大学東洋アフリカ研究所)の授業も履修できたためKing’s CollegeとSOASの両方に通いました。King’s Collegeは都市型大学で、大教室、大人数での講義形式が中心でしたが、SOASは少人数でのディスカッションが中心の授業が多かったので、両者の強みを活かしながら勉強していました。フィールドワークもあり、私は「インド・ケララ州における観光業が環境に及ぼす影響」の調査で現地に行きました

授業は週に3-4日ですが、学期中授業の時間以外は殆ど図書館で過ごしました。レポート提出課題もありますが、単位が取得できるか否かは、1年に1回のテストでほぼ決まります。

学部ということもあり、全体を通じて開発学を浅く広く学んだ印象です。


3、 就職までの流れ

卒業後にベトナム・ハノイにある国連人口基金とアジア開発銀行研究所にて約半年間のインターンをしていたため、就職活動は卒業後に行いました。

就職活動を本格的に行ったのは帰国後の2006年2月から、4月から正社員として働き始めたので、実質就職活動は2ヶ月程度しか行っていませんが、以下が就職活動時に行っていたことです:

・ ボストンキャリアフェアに足を運び、日本での面接アポイントメントを数社取りました

・ 第二新卒や若手人材専門の人材紹介会社に登録し、就職先を斡旋してもらいました

結果的に、人材紹介会社からの斡旋で面接を受けた会社に就職が決まりました。

ボストンキャリアフェアは、初日が勝負と言われているだけあって、日本での最終面接まで持ち込めた企業の殆どが初日に面接を受けたところでした。

人材紹介会社から斡旋を受けると、テストもなく、最初の面接で役員面接(最終面接)であることが多かったので、すぐに決まりました。


4、 在学中にしておいてよかったこと、またやっておけばよかったこと

【在学中にしておいてよかったこと】

1. 模擬国連。模擬国連サークルに入り、オックスフォードやエジンバラ、エジプトのシャムエルシェイクで行われる会に参加したこと。模擬国連では世界中の大学から学生達が一同に会し、数日間に渡って国連の会議ルールに従い開発課題に関する議論を行うのですが、ここ数年、APECや世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に参加する機会があり、その経験が役立ちました。

2. 途上国現地を訪問。在学中、夏休みや冬休みの期間を使い、可能な限りバックパックを背負って途上国の貧困層を訪ねて歩きました。人との出会いや感動した経験が現在の仕事に繋がっています。

【在学中にしておけばよかったこと】

1. 勉強。もっと勉強しておけばよかった、と若干後悔が残ります。今から考えると、一生懸命、全力で仕事以外で議論したり机に向かって勉強ができる期間は学生時代しかなく、もっとよい論文も沢山書けたはず・・・と思います。

企業でのインターン。夏休みは途上国貧困層を沢山巡りましたが、ビジネスの知識・経験がひとつもなかったので、一度ぐらいはどこかの企業でインターンをしておいてもよかったかと思います。就職活動の時に「なぜ国連やNGOでの経験ばかりなのに企業で働きたいと思ってるの?」と聞かれ、説明するのに苦労しました。一度企業でインターンをしていたら、もう少し就職活動もうまくできたかなと思います。

5、 今後のキャリアプラン、将来の夢など

現在、会社を設立して5年目となりますので、このまま10年、20年、それ以上に続く企業に成長させ、社会から求められ、人から愛されるものづくりを続けてゆきたいと思います。

現在はルワンダ、パキスタン、コロンビア、ミクロネシアなど、世界中の途上国貧困層の鉱山労働者、職人と取引をし、現地の方々の生活向上を促しながらジュエリーづくりを行っています。今後もより多くの方が貧困から抜け出し、自分の仕事に誇りを持てるよう尽力してゆきます。


6、これから留学する 学生、在学中の学生に一言

私が留学を始めた時は、まさか自分が起業をするなど全く考えていませんでした。

学校での勉強、NGOでの活動、国連でのインターン、その後の仕事を通じて学んだことを活かし、全て自分の実現させたいことを具現化するには起業するしかない!と思い、起業に至りました。

遠回りしましたが、全ての経験は無駄ではなく、私にとって必要なことでした。

大切なことは、今目の前にあることに一生懸命であることと、口だけではなく実際に行動することだと思うので、皆さんがんばってください!